弁護士、税理士…”士業”資格ではもう食えない。資格を取る価値はあるか?

日刊SPA!

2019/5/17 08:50

「司法試験に受かれば、人生安泰」「安定した生活を送りたいから、税理士を目指している」……弁護士、税理士、行政書士、司法書士、社会保険労務士、公認会計士、弁理士等、「~士」と名のつく職業は、「専門性の高い国家資格」という“刀”を武器に現代社会を生きる、「士業(しぎょう、サムライ業)」と称されている。

◆サムライ資格は使い方を誤ると『何の役にも立たない』

厳しい修行研鑽の末にその“刀”(サムライ資格)を手にした者は、将来にわたって高い社会的地位と報酬を約束され、「先生」と呼ばれて人々の尊敬の念を集めてきた。

しかしながら、そんなサムライ資格を手にしても「食っていけない」時代が到来した……そう警鐘を鳴らしているのが、『サムライ資格という毒薬』を上梓した行政書士法人、全国理美容コンサルティングの代表を務める福井識章氏だ。

「『この資格さえ取れば先の人生は安泰だ』という考えを持つ人が数多いますが、『一体、いつの話ですか?』と、私は声を大にして言いたい。“刀”の価値が大きく変わりつつあるこのご時世に、何を言っているのかと」と福井氏。

「サムライ資格は難関です。それゆえ取得すれば人生において大きな強みになる可能性が高いことは確かです。しかし、それはあくまで『可能性』の問題であって、使い方を誤ると『何の役にも立たない』あるいは『かえって害になる』ものです」

それは一体どういうことなのか?

「『資格があれば安心できる』『就職・転職に有利』『もっと稼げる』というのは、資格を取る目的とは言えません。資格を持っていれば何か得をするという、資格をアテにした願望であり、もっと下世話な表現をすれば、資格への下心のようなものです。

本当の意味での“目的”とは、自分はどうなりたいか、何をしたいのか、であるはず。それはつまり人生の夢であり、ビジョンです」と福井氏は説く。

◆それでもサムライ資格取得を目指したい人への心得

いわゆるサムライ資格は簡単には取得できない。取得のための勉強をしている期間、それは決して短くなく、その間家族がいれば負担を強い、友人との楽しい時間も我慢し、自分の時間もほとんど勉強に費やさなくてはならない。福井氏が主張するのは「それだけの“犠牲”を払ってでも取るだけの価値がサムライ資格にあるのか? それだけのことをしてでもアナタの人生の目標に役立つのか?」ということ。

繰り返すが、サムライ資格を取ってもそれだけでは食っていけない時代である。勿論、サムライ資格は使いようによっては強力な“武器”になる。問題は持っているという事実ではなく、その使い方である。

それでもサムライ資格取得を目指したいという人に、福井氏が提言するのは次の七つ。

① 資格はコストパフォーマンスで考えよ……資格取得におけるコスパとは、“人生対効果”のこと

② 資格は記号。士業は「自分自身」で勝負せよ……資格を過信するな。必要なのは知識量でなく、それを持つ人の魅力である

③ 資格は「仕事の機会」を増やすために使え……資格は人生の「ファストパス」

④「資格×資格」で独自のビジネスモデルを考えよ……人生の棚卸し――これまで自分を深く振り返る――をすれば、採るべき資格が見えてくる

⑤ 試験の実情を知り、柔軟に対応しよう……例えば、税理士試験は今や大学院での「科目免除制度」が主流

⑥ サムライ資格は「起業」で役に立つ……自分で起業して経営者を目指さないと役に立たない

⑦ 自由に柔軟に、ポーターレスな思考を……サムライのイマジネーションを縛る法律はない

難関資格は合格すれば「あとは大丈夫」という時代は去ったようだ。これからは資格の有無にかかわらず、「どう生きていくか」がますます大切になっていくと言えよう。

【福井識章】

(ふくい・のりあき)大阪市立大学経済学部卒業。中央大学法学部卒業。大阪市立大学大学院創造都市研究科修士課程中退。大学卒業後、理容師である両親からの勧めで理容師免許を取得。その後、行政書士国家資格に合格。その知識とパワーにより、卒業校であるヘアラルト阪神理容美容専門学校が協力美容店として設立した有限会社ヘアラルト監査役に就任。26歳で中小企業の経営やコスト軽減のコンサルティング会社、行政書士事務所を開業。執筆活動、数々のセミナーや講師を務め、現在スタッフ16名をかかえる行政書士法人全国理美容コンサルティング代表を務める。近著に『サムライ資格という毒薬』

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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