“高級外車の代名詞”ベンツとBMW、日本でシェア低下の複雑な事情


 庶民感覚では一向によくならない景気に加え、若者の車離れが進んでいる状況にありながら、実は好調なのが輸入車市場。日本自動車輸入組合によると、2018年の輸入車新規登録台数は昨年比1.1%増の30万9405台で、3年連続のプラスとなっている。

若者は自動車、特に外車を所有することに消極的な傾向があるものの、中高年層は外車がステータスシンボルという感覚は根強く、人気が高いのだろう。そういった輸入車市場の意外な好調の理由を、自動車ジャーナリストの遠藤徹氏はこう分析する。

●ここ10年でドイツ車の国内シェアは約1割も低下

「日本国内新車販売市場は年間500万~550万台の規模で、価格帯は100万円台の軽自動車から1000万円台の高級プレミアムモデルまで数多く存在しています。そのうち日本車の価格帯は大半が500万円までの価格帯に属しているのに対し、輸入車は200万~3000万円とその幅が広い。しかも輸入車ユーザーは、代替えをする際にさらに上級ランクの車にシフトする傾向にあるため、今後も潜在的に市場が拡大する要素を含むマーケットなのです」(遠藤氏)

そして近年、外国車メーカーの多くは日本法人を設立し、積極的にマーケットニーズの高い新型車を投入し、各社販売サービス網や宣伝PRを強化している。このことも、市場を活性化させている要因だという。

だが、輸入車市場全体の好調に反して、そのシェアを徐々に縮小しているのがメルセデス・ベンツ、BMWなど“外車”の代名詞といえるドイツ車だ。ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲンという輸入車の売上トップ4の輸入車新車販売シェアは、2008年の約67%から2018年の約60%に低下している。

●やはり強いドイツ車 今後、販売台数は回復の見込み

これは一見、日本人の“ドイツ車離れ”を示しているように見えるが、「そうとは言い切れない」と遠藤氏は続ける。

「これまで輸入車のシェアで最高80%も占めるほど圧倒的な占有率を示していたドイツ車が、ここ10年で約67%から約60%と1割ほどシェアを落としているわけですが、それはドイツ車のパワー(人気)がダウンしたというわけではないのです。ドイツ車の人気が下がったわけではなく、ボルボ、プジョー、シトロエン、ジャガー、アルファロメオなど、ほかのヨーロッパ車が伸びたことでマーケットが拡大したため、相対的にドイツ車のシェアが低下しただけと見るべきですね」(同)

外国産のメーカーだけでなく、2018年の登録実績前年比20.8%増となったレクサスのような日本のグローバルブランドの好調も、ドイツ車の売上が伸びない要因とみる向きもあるだろう。しかし、遠藤氏いわく、「レクサスがドイツ車のシェアを奪っているというよりは、トヨタの上級車からレクサスへシフトするユーザーが多いだけ」とのことで、ドイツ車の人気に陰りがあるととらえるべきではないようである。

「そもそもドイツ車全体の売上減は一時的なものと考えられます。というのも、2018年は有力ドイツ車メーカーにニューモデルが少なかった。その影響で2018年の販売台数は、メルセデス・ベンツは前年比-1.0%、BMWは-2.9%、アウディは-6.6%とそれぞれ業績を下げています。ですが2018年後半から2019年にかけて、ベンツはA、BクラスとGLE、BMWは3シリーズとミニクラブマン、Z4、X7、アウディはA8、VWはゴルフなど相次いで新型車を発売します。これによって、ドイツ車各メーカーの販売台数は今後、再び増加傾向に転じるはずです」(同)

2018年末の販売台数が多少減ったとはいえ、ベンツは輸入車市場で4年連続のトップ。フォルクスワーゲンにいたっては同6.0%増とむしろ売上を伸ばしている。これにBMWとアウディ、MINIと続き、ドイツ勢が上位を独占している。これらを踏まえると、“日本人のドイツ車離れ”ということはなく、まだまだステータスシンボルとしての存在感は健在といえるだろう。
(取材・文=A4studio)

当記事はビジネスジャーナルの提供記事です。

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