いまだに続く就職差別 連合が18~29歳男女1000人に聞きました

OVO

2019/5/17 06:00


 日本労働組合総連合会(略称:連合、東京)は、採用選考における就職差別の実態を把握するため、「就職差別に関する調査」を実施、最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の18歳~29歳の男女1,000人の有効サンプルを集計した。

まずは、応募する際の応募用紙や履歴書から。適性や能力のみを基準とした採用選考を行うために、応募用紙については、高等学校卒の採用試験の場合は「全国高等学校統一用紙」を使用するよう定められているが、最終学歴が高等学校の人(143人)に聞くと、採用試験に際して「全国高等学校統一用紙」ではない応募用紙を提出するように求められたことがある人が32.2%に達した。

また、大学卒や専門学校卒などの採用試験の場合は「JIS規格の様式例に基づいた履歴書」を使用することが推奨されている一方、事業主が独自に応募用紙やエントリーシートの項目・様式を設定する場合は、適性や能力に関係のない事項を含めないよう留意するべきとされている。最終学歴が四年制大学・大学院・専門学校・短期大学の人(846人)に尋ねたところ、大学等から指定された履歴書または「JIS規格履歴書」ではない会社独自の履歴書を提出するように求められた人が58.0%だった。

加えて、採用試験に際し、およそ5人に1人が戸籍謄(抄)本の提出を求められたことがあるほか、採用決定前に健康診断書の提出を求められた人が半数近くいる。調査の結果、差別につながりかねない書類の提出を求める企業は多い実態が明らかになった。

応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められた内容について聞くと、大多数の人が「性別」(91.2%)の記入を求められ、「本籍地や出生地」(56.4%)も過半数の人が記入を求められたと回答。そのほか、「家族構成」(35.9%)や「住居や資産状況」(21.8%)、「自宅付近の略図や居住環境」(19.9%)、「家族の職業・収入」(15.8%)、「尊敬する人物」(12.3%)などの記入項目が多い。さらに、「労働組合や市民活動についての見解や加入経験」(7.2%)や「思想信条」(6.5%)、「支持政党」(4.0%)、「宗教」(3.6%)といった、当人の思想を推し量りうるような内容の記入を求められたケースもある。いずれも応募者の適性や能力に関係がない個人情報だが、実際の採用試験では収集が行われていることが明らかになった。

他方、面接での質問内容について、最も多いのは「転勤ができるかどうか」(42.3%)となり、以下、「家族構成」(39.1%)、「残業や休日出勤ができるかどうか」(34.7%)、「本籍地や出生地」(31.6%)、「性別」と「尊敬する人物」(どちらも18.9%)と続いた。そのほか、「婚姻状況(未婚・既婚)」(16.5%)や「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」(14.2%)、「結婚の予定」(11.5%)といった結婚・出産に関する内容を聞かれたという人もいる。「性自認への違和感の有無」(3.3%)や「性的指向の確認」(3.1%)、「支持政党」(2.9%)、「宗教」(2.7%)など、面接の場でも適性や能力と全く関係のないような内容を聞かれた例があった。

回答者に複数の内容を提示し、面接官が聞いてはいけない質問だと思うものを聞いたところ、「宗教」(66.5%)が最も多く、「支持政党」(61.9%)、「家族の職業・収入」(52.6%)と続いた。最も少ないのは「尊敬する人物」(12.9%)だが、これも、適性や能力に関係のない質問であり、採用試験の面接で質問することは不適切だとされている。

提示した例は、すべて面接官が聞いてはいけない質問内容ながら、受ける側の認識率に差があった。

では、実際に採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされたことがある人は、どれくらいいるのだろうか。今回の調査で「ある」と回答した人は14.5%。その具体的な内容を列挙してみると…。

「『女性だから出産や育児で抜けるのだろう』と言われた。私は子どもを産むつもりはないので、女性の生き方を一律に決めつける態度に辟易した」(20歳女性)

「『恋人はいる?どれくらい恋人がいない?』など、プライベートに踏み込んだ質問をされたことがある」(29歳男性)

「家族の職業を聞かれ、『全く違う業種なのに、あなたはなぜうちを受けたのか』と言われた」(25歳女性)

「『身長低いな』と言われた」(23歳男性)

「『太ってるね』と言われた」(21歳女性)

採用現場では、適性や能力に関係のない質問や発言に加え、明らかな差別発言が行われている例があるようだ。

ところで、事業者が応募者を出身学校名によって振り分け、採用選考の対象とするかどうか決めることは「学歴フィルター」と呼ばれている。たとえば、特定の大学の学生しか説明会(セミナー)に参加できないといったことが例として挙げられる。実際、「学歴フィルター」を感じたことがある人は約4割。最終学歴別でみると、高等学校が25.2%、専門学校・短期大学が18.9%、四年制大学・大学院では46.4%。大学・大学院の割合が多いのは、学校名が採用に影響していることを示している。

男女差別については、「ある」と感じた人28.3%。どのようなことで差別を感じたか聞いたところ、「採用予定人数が男女で異なっていた」(43.8%)、「男女で採用職種が異なっていた(男性は総合職、女性は一般職など)」(42.4%)、「男性のみ、または女性のみの募集だった」(39.9%)などが目立つ。男女雇用機会均等法によって、労働者の募集および採用に係る、性別を理由とする差別は禁止されているものの、募集条件が男女差別的だと感じた経験がある人は少なくないようだ。

当記事はOVOの提供記事です。

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