新社会人にお勧めの「イノベーティブ」な働き方 第5回 イノベーターが内省を必要とする理由を紹介


前回はイノベーティブな働き方について5W1Hで考え、そして実際のイノベーターに共通する面を紹介しました。そうしてイノベーターがどんな人たちかイメージができたところで、彼らの目的や動機について考えてみましょう。

○目的を磨き切る

イノベーターへのインタビューの際、次のような言葉がよく出てきました。

「我々はどんな新しい価値を創出するのか?」、「いったい、誰の役に立ちたいのか?」「それは何のためにやるのか?」、「なぜやるのか?」。

例えば、売り上げ1,000億円を目指そう、これは目標です。この技術や特許を生かしてイノベーションを起こそう、これは手段です。そのどちらでもなく、イノベーションは目的先行型であるべきべきです。

すべてのイノベーターは明確な目的を持っていました。このイノベーションは何のために、誰のためにやるのか。どうやったらもっと大きな価値を提供できるのか。それらは「自分は何のために生きているのか」という問いでもあるのです。

イノベーターには目的を磨き切るための執念が必要です。誰がなんといおうとやる。一度決めたら徹底的にやり切る。
○15泊16日歩き続ける

皆さんの会社には、勤続10年、20年の社員を対象にしたリフレッシュ休暇制度はありますか? よく耳にするこうした制度を活用して、驚くべき行動にでて、徹底した内省を重ねた末、いくつものイノベーションを成し遂げた人がいます。元ドコモ・ヘルスケア社長の竹林一氏です。

ドコモ・ヘルスケアは、NTTドコモとオムロン・ヘルスケアの合弁会社で、竹林氏はオムロンの出身者です。オムロンには、課長昇進6年後に3カ月間休んでいい、という長期リフレッシュ制度があります。竹林氏は課長になって10年目に、この制度を活用しました。

その頃の竹林氏は、課長として激務に追われる日々を送っていました。ある日、この制度の利用を上司に打診します。答えはYes。そこで休むことにしたのですが、竹林氏がとった行動が「自宅まで歩いて帰る」というものでした。

それだけではびっくりしませんが、問題は自宅の場所です。当時、竹林氏は東京に単身赴任。自宅は滋賀県大津にありました。元々歩くことが趣味だったので、東海道をてくてく歩いて大津まで帰ってみようと思いたったのです。そして即実行しました。

都合15泊16日。竹林氏は歩き続けました。その間に考え続けたこと、それは、「自分はいったい何のために仕事をしているのか?」ということでした。

東海道をひたすら歩く。歩きながら考える。自分とは? 仕事とは? 社会とは? 自分の存在意義は? 時間的の束縛から解き放たれたからこそ、こんなことを徹底的に考えられたのでしょう。まさにWhyの連続による深い自問自答・内省です。

この東海道行が1つのきっかけとなり、竹林氏はさまざまなイノベーションを起こすことになるのです。
○イノベーターには内省が必要

内省は自分との対話です。自分の心の声をきくことです。そもそも「きく」には聞く、聴く、訊くの3種類があります。

聞くは聞こえるという物理的なものです。聴くは心で聞く、ということです。そして、訊くは尋ねることです。竹林氏の場合は、自分の心の声を聴きました。そして、自分とは、事業とは、という問いかけ、つまり訊くことを行ったのです。

イノベーターには自分の声を素直に聴きながら、仮説を自分自身や関係者に問う、訊くという内省が必要なのです。それが、Why、つまり「なぜイノベーションをおこすのか」という問いに自然につながっていくのです。

皆さんは何かを成し得ようとする目的がありますか?

○執筆者プロフィール : 井上功(いのうえ・こう)

1986年リクルート入社、企業の採用支援、組織活性化業務に従事。2001年、HCソリューショングループの立ち上げを実施。以来11年間、リクルートで人と組織の領域のコンサルティングに携わる。2012年より現職。イノベーション支援領域では、イノベーション人材の可視化、人材開発、組織開発、経営指標づくり、組織文化の可視化等に取り組む。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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