テレビ局が憲法国民投票のCM規制を拒否した裏! 金欲しさに公平性無視、安倍自民党の「改憲CM」大量放送に全面協力

リテラ

2019/5/10 07:00


  憲法改正について来年2020年施行を目指すと再び宣言した安倍首相。そんななか、もっとも注視すべきなのが、憲法改正の賛否を問う国民投票におけるCM問題だろう。

そして、本日、衆院憲法審査会が開催され、憲法改正の賛否を問う国民投票の際のテレビCM規制について日本民間放送連盟(民放連)幹部2人を参考人として招致、意見聴取をおこなったが、そこで民放連の永原伸専務理事は「放送事業者の表現の自由に法令で規制をかけるのは望ましくない」と主張した。

これは昨年9月20日に、民放連会長である大久保好男・日本テレビ社長が「量的な自主規制はしないという考え方のもとで検討していく」と明言したとおりの主張だ。

あらためておさらいしておくと、憲法改正が発議されれば国民投票運動が60~180日間にわたっておこなわれるが、現行の「国民投票法」では、新聞広告に規制はなく、テレビ・ラジオCMも投票日の15日前まで「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する」CMを無制限に放送することが可能になっている。しかも、投票日前2週間のあいだも「賛否を勧誘」しないCMならば投票日まで放送できる。つまり、有名人が登場して「私は憲法改正に賛成です」などという意見広告は放送可能だ。

ようするに、現行法のままでは約179億円(2019年度)というダントツの政党交付金を受け取っている自民党をはじめ、国会で多数を占める改憲派が潤沢な広告資金を抱えているため、CMを使った広報戦略では圧倒的に有利となる。そのため、2006年に参院憲法特別調査特別委員会で国民投票法が可決された際には〈テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること〉という附帯決議がつき、メディアには「公平性の確保」が求められた。

だが、それを民放連は拒否。本日の憲法審査会でも永原専務理事は「政党が自らの取り決めで広告出稿量を調整すれば、国民の表現の自由を脅かす心配はなくなる」と強調したのだ。

どんな手を使ってでも憲法改正という悲願を成し遂げようという安倍首相の姿勢を見ていると、広告出稿量の調整に応じるなんてことは到底考えられない。しかも安倍自民党はこのところ、改元と合わせて有名クリエイターをかき集めて大企業によるキャンペーンかと見紛う大々的な広告戦略を展開中だ。今後、改憲PRに安倍応援団や関係を深めている吉本興業の芸人を大量動員することも考えられる。

だいたい、CMを出稿するのは政党にかぎったものではなく、改憲派の団体や資金力をもった安倍応援団企業が有名人を動員して「憲法を改正しよう」というキャンペーンを張る可能性は十分ある。民放連がCM量の公平性を担保せず、野放図になってしまえば、憲法改正という重大事の賛否が金の力で左右されてしまうという事態に陥ることは火を見るよりあきらかだ。

にもかかわらず、民放連が放送に求められる公平性の確保を「表現の自由」の問題にすり替えて拒否しているのは、自分たちの儲けを優先させているからだ。

●改憲CMの広告料欲しさに公平性の確保を拒否する民放連

憲法改正の国民投票時のCMにかんして問題提起をおこなっている本間龍氏によると、衆院選や参院選といった国政選挙でメディアに流れる金は、1回の選挙で400億円程度だという(『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』集英社新書)。国民投票は国政選挙よりも運動期間が長く、そうなると国政選挙よりも数倍~数十倍のCM広告料がテレビ局にも流れることになるのだ。まさに「特需」である。

公平性よりもCM特需にあやかりたい──。さらに、もうひとつ気になるのは、あのマスコミ界を牛耳るドンの存在だ。じつは昨晩、安倍首相はナベツネと会食していたのだ。時事通信の首相動静には、こうある。

〈午後6時27分、東京・丸の内のパレスホテル東京着。同ホテル内の宴会場「桔梗」で渡辺恒雄読売新聞グループ本社主筆、福山正喜共同通信社社長、熊坂隆光産経新聞社会長、海老沢勝二NHK元会長らと会食〉

昨年6月に民放連会長に就任した日テレ社長の大久保氏は、読売新聞政治部出身の「ナベツネのイエスマン」として知られた人物で、前述したように大久保社長が民放連会長として「国民投票CMの量的な自主規制はしない」と明言したのも、ナベツネの意向を反映させてのものだった。当然、昨晩の会食できょうの憲法審査会の話題におよんだことは想像に難しくなく、ナベツネの協力体制を安倍首相は確認したはずだ。

現に、これと同様のことが過去にも起こっている。2017年、安倍首相が最初に新憲法の2020年施行を宣言したのは憲法記念日である5月3日の読売新聞の単独インタビューだったが、このインタビューを収録した4月26日の2日前にも、安倍首相はナベツネと会食。改憲について詳細に相談したとみられている。安倍首相は国会で「自民党総裁としての(改憲の)考え方は、相当詳しく読売新聞に書いてありますから、是非それを熟読していただければいい」と発言し批判を浴びたが、まさしくこれはナベツネ=読売グループとの一体化を象徴するような発言だ。

●安倍改憲をバックアップするナベツネ率いる読売グループ

そして、実際問題として、ナベツネの威光は絶大だ。昨年、安倍首相は安倍応援団番組を地上波でも流せるようにするため、政治的公平を義務づける放送法4条の撤廃やネット事業者などのテレビ参入促進などを盛り込んだ放送事業見直しを画策したが、これにナベツネが激怒。ナベツネの指示で読売新聞が猛批判を展開した上、読売ジャイアンツ戦を一緒に観戦した際には、ナベツネが安倍首相に「日テレがテレ朝みたいになっていいのか」と恫喝したと報じられたほど。結局、安倍首相は放送法撤廃を引っ込めた。

このときのナベツネの目的は、『ニュース女子』のような政権擁護ヘイト番組の放送を阻止しようとしたわけではなく、たんに放送局の既得権益を守ることだった。だが、今回の国民投票のCM規制問題は特需が生まれる上、ナベツネにとっても悲願である憲法改正を実現させる千載一遇のチャンスがかかっているのだ。

そもそも、大久保社長と安倍首相はメシ友であり、そこにナベツネの意向も合致しているとなれば何の障壁もない。民放連会長として安倍首相を最大限にバックアップしていくことは間違いないだろう。

安倍首相の息がかかった応援団が暗躍して進んでゆく憲法改正をめぐる議論──。民放連が公平性を確保できないというのならば、どう考えても国民投票法の議論をイチからやり直すのが道理だが、自分たちの利益がかかったこの問題を掘り下げる民放の報道・情報番組は、はたしてあるだろうか。
(編集部)

当記事はリテラの提供記事です。

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