まかないの名物グルメは二度味わえる
新宿歌舞伎町。きれいになり、歩きやすくなったその街は、ゴジラ見守る繁華街として国内外の観光客も急増している。昼から深夜まで賑わうその街に、名前からしてちと珍なるグルメを見つけた。
「とんかつ茶漬け」ってナニ!?
そう、今日はこれを食べに来たのだ???
歌舞伎町でも、最も通行人密度の高い一番街のその入り口という、めっちゃ最高のロケーションにある老舗とんかつ屋。そこの名物(?)がコレらしいのだが……。
元は従業員のために、冷めたとんかつを暖かく食べられるレシピとして考案されたという。
店内は窓ガラスが大きく、明るくて清潔感ある雰囲気。お昼時を外して入ると、目の前のテーブルには、アチラ系と思われるおじさまと、ソチラ系と思しき妙齢の美女カップルが。いかにもな歌舞伎町の風景ではあります。
オーダーしたのは、とんかつ茶漬けの普通サイズ。ソースは「定番醤油味」、「からし醤油味」、「にんにく醤油味」の中から、「定番醤油味」をお願いし、温玉のトッピングも。
10分足らずで着皿したのは、まさかの丼ではなく鉄板! お茶漬けなのに鉄板て!?
若干驚く筆者に、店員さんは優しく説明してくれた。
「半分ほど食べましたらお声をかけてください。出汁をお持ちしますので、ご飯にとんかつを乗せて、その上から出汁をかけてお茶漬けにしてお召し上がりください」
あ、そういうシステムだったのね。ちなみに、ご飯とキャベツはお代わり無料らしい。
にしてもこの観てくれは、まるでキャベツ炒めじゃないか。運良く下にトンカツらしきひとかけらが見えちゃってるので「?」と思えるが……。
そのひとかけらを箸でつまみ、じっくり観察してみると、
どうやら、ヒレカツっぽい。
まあ、まずは、出汁をかけずにそのままご飯にトッピングしていただくことに。
や~わらか~~い……(笑)。
衣が湿ってるところと乾いているところがあり、絶妙のしっとりサクサクからの、やんわらか~い食感! ヒレなのでロースに比べて肉汁は少ないものの、豚肉の旨味がドドっと押し寄せてくる!
キャベツも柔らかく炒め煮されていて、柔らかいとんかつと実によく合う。これぞ「日本の味」じゃないんスかね~。
とんかつを3切れほど残したところでお出汁をお願いし、残った温玉とキャベツと共にとんかつをお茶碗に乗せ、お出汁を注ぐ。
と……、
途端にいい香りの湯気が美顔器のスチームのように、カメラと筆者の顔めがけて立ち上ってくるのだった。
どーよ、これ!
冷めたとんかつも暖たまり、さらさら食べられるお茶漬けで、二度目の美味しさが込み上げてくるのだった。
思えば、東池袋大勝軒を一躍全国区にした「特製もりそば」も、元はまかない食だというし、東京・深川名物のアサリたっぷりの丼「深川めし」もそうだった。
そう考えてみると、まかない食って、名物になる要素が多いのかもしれない。ま、他人が食べてるものって美味しそうに見えるんだよね!
とんかつ茶漬け、うもうございました!
新宿 すずや「とんかつ茶漬け」1530円SNS映え ☆☆
味 ☆☆☆
珍級度 ☆☆
(写真・文=よしよし)