「図解デ理解 アイマイカイワイ」を支える「ねほりんぱほりんイズム」ディレクターに聞く港区女子の生態

エキレビ!

2019/5/2 22:00

5月3日(金・祝)夜11時50分から放送の特別番組『図解デ理解 アイマイカイワイ』(NHK総合)。

顔出しNGのゲストがブタの人形に、MCの山里亮太、YOUがモグラの人形に姿を変え、顔を出しては言えない本音満載の赤裸々トークで話題となった『ねほりんぱほりん』(Eテレ)のスタッフが集結。マイルドヤンキー、ネトウヨ、さとり世代など、何となく聞いたことがあり、わかった気になっているけれど実はよくわからない人たちの生態を、彼らの持論や証言をもとに徹底的に図解して明らかにしていく番組だ。

今回のテーマは、「港区女子」。


出演者は、今年3月いっぱいでTBSを退職した宇垣美里をはじめ、千葉雄大、燃え殻、長井短という今までにない組み合わせの4人だ。芸人など場を回しそうなメンバーがひとりもいない中で、いったいどのような雰囲気の収録になったのだろうか。

『ねほりんぱほりん』に続き、『アイマイカイワイ』の企画を立ち上げたNHKディレクター・藤江千紘さんに、出演者の人選理由や「港区女子」がテーマに選ばれたわけを聞いた。

「図」の中で見えてきた出演者たちの関係性も見どころ
───フリーアナウンサーの宇垣美里さんは、TBSを退職してから初めての他局のテレビ収録だったそうですね。

藤江千紘(以下、藤江) そうなんです。宇垣さんは、本音で嘘がないところ、そして発言の歯切れの良さが面白いなあと思っていました。港区に本社があるTBSに勤めていた方なので、「港区女子」についてどう思っているか聞いてみたくて。


───宇垣さんの収録を見て、いかがでしたか。

藤江 率直にお話してくださったと思います。「港区女子」という人たちに、本音トークが魅力の宇垣さんをぶつけたときに何が起こるか。それは『アイマイカイワイ』の見どころの1つになっています。

───その横に俳優の千葉雄大さんがいるというのも、今までにない感じです。

藤江 宇垣さんが「闇系女子」などと言われるように、千葉さん自身も「草食系男子」「ヌクメン」とカテゴライズされてきた方です。だから、「港区女子みたいなくくりで人に言及したくない」という気持ちもあったようなのですが、テーマや番組のコンセプトに興味を持ってくださり、出演が実現しました。


───モデル・女優の長井短さんは、ドラマ『家売るオンナの逆襲』『プリティが多すぎる』(ともに日本テレビ系)で、千葉雄大さんと共演していました。

藤江 長井さんは、ご出演されていたラジオ番組を聞いて「自由で、肩の力の抜けた話しぶりが気持ちよいなあ」と感じていました。千葉さんとは共演が続いていることもあって、番組からもおふたりの仲の良さそうな雰囲気が感じられると思います。

───そこに燃え殻さんが入るというのが、さらに不思議な組み合わせだなと思いました。燃え殻さんの姿を初めて見た、という人もいそうですよね。

藤江 燃え殻さんは、作家としてご活躍されていてSNSで発信されている文章も人気ですが、テレビの美術制作をされているサラリーマンでもいらっしゃいます。大衆居酒屋さんで飲んだりするのがお好きだそうで、キラキラとした印象の「港区女子」とはある意味対極にいる存在だと思い、どのように「港区女子」をとらえるのだろうと興味をもってオファーしました。


───収録中の4人の雰囲気は、藤江さんから見ていかがでしたか。

藤江 ユーモアある優しい人たちがお家でテレビを観ながら仲良く雑談しているような、あたたかい雰囲気の収録でした。その中で宇垣さんがズバズバ本音を言ったり燃え殻さんが突っ込んだりしていて、4人の正直な感じが出ていたと思います。今回、図解がコンセプトなので、4人がいる場面の画面構成も「図」っぽくしようと4分割にしたんです。それが期せずして、普通の会話のようなテンポで4人が楽しそうに喋っている様子や4人の関係性を見せる効果も出たように思います。4人の「素」のおしゃべりも、ぜひ楽しんで見ていただきたいです。

───あったかくて優しい雰囲気だけど、ズバズバも言うって、「ねほりんイズム」なのかもしれないですね。楽しみだなあ。

点で掘り下げる「ねほりんぱほりん」、面で掘り下げる「アイマイカイワイ」

───今回、「港区女子」をテーマに据えています。取材対象が港区女子だからこそ大変だったことはありますか。

藤江 港区女子は、みんな忙しいんです! 飲み会とかしてるから!(笑)


───確かに……! 全然捕まらなさそう。

藤江 何十人もの港区女子たちを見つけて、そのスケジュールに合わせて撮影、取材をするのが大変でした。『ねほりんぱほりん』と比べると、短い取材期間だったのですが。

───『ねほりんぱほりん』は、2014年9月に発案、2015年7月に第1回放送と、1年弱の準備期間がありました。『アイマイカイワイ』は、どれくらいの期間で制作したのですか。

藤江 2019年の1月下旬に「20~30代向けの新しい深夜番組を開発してください」ということになって、そこから企画を立てました。「港区女子」を取り上げようと決まったのが、2月中旬、「曖昧な人たちを図解しよう」とコンセプトが固まったのが3月中旬くらいでした。ゴールデンウィーク中に放送するということだけは決まっていて。


───取材期間は約2ヶ月、すごいスピードです……。なぜ「港区女子」に注目したのでしょうか。

藤江 元々は、『ねほりんぱほりん』で港区女子の取材をしていたのがきっかけです。そのときに、港区女子にも色々なタイプの人がいることに気づいて……。ある港区女子は「港区女子って言われるのは嫌だ」と言っていました。「『港区女子』って、ある意味では蔑称でもあるんですよ」って。他にも「私は港区女子だけど、あのタイプの港区女子たちとは一緒にされたくない!」と言っている人もいました。


───港区女子の中にも、種類があるんですね。

藤江 『ねほりんぱほりん』は、ある界隈の中でも1人や2人を取り上げて深く掘り下げる番組でした。港区女子にも色々な主義主張や志向をもった人がいると気づいたときに「ひとくくりでわかったような気になっていた界隈にも、実はよくよく見るとすごく多様な人がいるんだ」ということを番組にしたいと思いました。だから、最初は『レッテルの中の人』という番組名を考えていたんですよ。

───「港区女子」というレッテルを貼られた人たち。

藤江 でも、港区女子の中にもそれをポジティブに捉えている人もいます。「曖昧な言葉でくくられている人たちは、結局どういう人たち?」ということを、点ではなく面で取材していく。これが、『ねほりんぱほりん』と『アイマイカイワイ』の違いです。


茶化さず、真面目に。「知りたい」と思う人に確実に届く番組を
───「図解」というコンセプトは、どこから発案されましたか。

藤江 港区女子を取材していく中で、番組にも登場してくれるかのんさんという方が「港区女子っていうのは、ピラミッドがあるんですよ」 みたいな話をしてくれて。港区女子にはピラミッド型のランクがあって、上からSS、S、A、B……って。かのんさんは「私はBの下なんですよ」って言って、ピラミッドの図を描いてくれました。どういう風に港区女子の世界をとらえているのかがよくわかり、とても面白くて、それを見ながらスタッフ間の話が尽きなかったんです。それで、図がいっぱい出てくる番組って面白いんじゃないか、と思ったのがきっかけです。


───取材の中で発見したんですね。

藤江 ただ、こっちが勝手に港区女子をジャンルに分類した昆虫図鑑みたいにはしたくなかった。彼女たちが「私にはピラミッドに見えていて、私はここ」と言うことのように、あくまで彼女たちの目で見た世界を表すものとして図を出したいなと思いました。港区女子に自分の考えを図解してもらったり、持論や証言、取材結果をもとにした客観的事実を図解したりする番組にしようと思いました。

───自分の思いをすぐに言語化できる人ばかりではないでしょうし、その持論や証言を集めるにも、ものすごいマンパワーがかかっていそうです。

藤江 「野良港区女子」がいないだろうかと、六本木でディレクターたちが「あなたは港区女子ですか?」と野良猫探しみたいに捜索したこともありました。

───野良港区女子……!

藤江 雑誌とかでは見かけるのに、意外とその辺を歩いてはいないんだなってことがわかりました(笑)。それから、港区女子は男性と一緒に行動していることも多いので、男性の許可が下りずに撮影NGということも。結局、約40名の港区女子に取材させてもらって、その他にも100人にアンケートを取りました。


───『アイマイカイワイ』がレギュラー番組になるかどうかは別として、藤江さんが個人的に調べてみたいと思っている「界隈」はありますか。

藤江 「ネトウヨ」ですかね。

───ネトウヨ、確かにわかった気でいるけど、具体的にどういう人たちなのかわからない……。

藤江 「なんとなくイメージはあるけど、どういう人たちかわからない」という点では、できたら実写で見たい界隈だなあと思って。いろんなネトウヨの方に会ってみたいですね。

───すごく面白そう。港区女子のように、他称だったり自覚なくネトウヨをやっていたりする人もいそうですね。

藤江 実際に会うためには、集会をしている場に行けばいいのか、インターネットで呼びかければいいのか……、まだわからないですけど。いつか実現すると良いです。


───最後に、『アイマイカイワイ』はどんな人に届けたいと思って制作しているか教えてください。

藤江 基本的な考え方は『ねほりんぱほりん』と変わらなくて、みんなが面白いと思うものを作りたいというよりは、100人に1人でも「すっごく面白い!」と思ってくれる人がいたら良いなあと思って制作しています。さらにその中で、新味のある出演者たちだったり、4分割の画面構成だったり、やたら図が出てくるなあという違和感で、普段あんまりテレビを観ない若い視聴者の方々にも、なにか少しでもひっかかりのあるものになると良いと思います。

ただ、根本にあるのは、「港区女子のこと、知った気になっていた。ちゃんと理解しきることなんて到底できない。けど、それでも少しでも理解したい」という思いです。私たちがひとくくりにしている「界隈」にも、いろんな人がいて、それぞれに言い分や思いがあるのだということが伝わるといいですね。茶化さず、真面目に。それは、『ねほりんぱほりん』のときから変わらず大切にしている思いです。


(インタビュー・構成:むらたえりか)

【放送情報】
『図解デ理解 アイマイカイワイ』(NHK総合)
5月3日(金・祝)後11:50~深0:20 放送
出演:千葉雄大、宇垣美里、燃え殻、長井短

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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