3M、ジュニアアイドルブーム、おバカキャラ……極私的平成アイドル史【女優・タレント編】

日刊サイゾー

2019/4/30 21:00


 平成時代をドルヲタとして過ごしてきた私が、ファン目線で平成アイドル界を振り返る企画。今回は「女優・タレント編」である。

アイドル女優の台頭


 平成が始まった頃、現在もアイドル評論家として活動している北川昌弘氏が中心となって、『NIPPONアイドル探偵団』(JICC出版局)という本が、毎年作られていた。

そこでは、活躍中のアイドル、女優、アーティスト、女子アナ、アスリートなど、広い意味での「女性アイドル」と考えられる人たちを、ある程度の実績や将来性、そして独断と偏見を加えてランク付けし、それについて、読む者がああだこうだと語り合えるような作りになっていた。

例を挙げてみると、平成元年(1989年)の1位は宮沢りえ、翌年は発行がなかったが、平成3年(91)は鈴木保奈美、その後、和久井映見(92年)、牧瀬里穂(93年)、内田有紀(94年)、常盤貴子(95年)と続いていく。

一目瞭然なのは、いずれも女優をメインとして活動している人が1位をとっているということだ。平成のアイドル界は、若手女優を中心に回っていたというのもある意味真実なのだ。

特に、平成初期に活躍した、宮沢りえ、観月ありさ、牧瀬里穂は、3人のイニシャルから「3M」と呼ばれ、映画やドラマに引っ張りだこだった。もちろん、それぞれ歌手デビューもしたが、あくまでも「女優」がメインである点は、いわゆるライブアイドルとは異なる点だ。

この、「女優メイン」の活動というのは、その後の内田有紀、菅野美穂、仲間由紀恵などへと繋がっていき、後に広末涼子の大ブレイクを迎えるのである。ハードな踊りや歌をメインにするよりも、年齢に合わせた役を演じることができるため、息の長い活動ができる点が大きなメリットである。

私はこの、“女優系のアイドル”というのも大好きで、特に、演じた役と本人のキャラクターがぴったりと合い、一層の魅力を持って輝き出す瞬間がたまらなかった。広末涼子でいえば、『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)での和泉真琴役、菅野美穂なら『イグアナの娘』(テレビ朝日系)の青島リカ役などが、まさにその奇跡を感じさせた。

この系譜はその後も、堀北真希や多部未華子などが継承し、現在の土屋太鳳広瀬すずへと受け継がれている。直接会う機会は少ないが、写真集やカレンダーイベントなどで目の当たりにすると、テレビだけでは伝わらないオーラのようなものを感じて、感激することしきりなのである。

広末涼子がブレイクした平成10年頃、アイドル界で一つのブームが起きつつあった。それが、小中学生の女の子をフィーチャーしたテレビや雑誌による「ジュニアアイドルブーム」である。

きっかけとなったのは、小中学生向けファッション誌のモデルとして人気を集めた野村佑香のブレイクだったが、それに続き、前田愛・亜季姉妹や中田あすみなども活躍し、活況を呈した。

『天才てれびくんシリーズ』(NHK Eテレ)の「てれび戦士」や『おはスタ』(テレビ東京系)の「おはガール」などは、その登竜門でもあり、当時のアイドルファンの多くがチェックしていたものだ。

それらの中からは、蒼井優ベッキー、飯田里穂など多くの人気者が生まれていったし、宮崎あおいや長澤まさみといった女優も、当初はジュニアアイドル的な活動をしていたのだ。

もちろん、私もご多分にもれず、秋葉原で多く行われるようになったジュニアアイドルのイベントに通っていた。単純に可愛い子を見るのも楽しかったが、「この中から、次はどんな子がブレイクするのだろう」という、宝探しのようなトキメキを感じていたものだ。

最近は「ジュニアアイドル」という言葉はあまり使われなくなったが、アイドルが全体的に低年齢化しており、特別なことではなくなっていったという背景が大きいだろう。

平成10年代には、アイテムとしてもアイドル界に新たな流れが登場する。それがイメージDVDである。

もちろん、それ以前のVHSビデオの時代からアイドルのイメージ作品は作られていたが、DVDの手軽さなどもあって、爆発的に広まっていくのである。そして、それまでは、アイドル歌手や女優が活動の一環として行っていた「グラビア」を、メインで行うアイドルが出てきた。雛形あきこや小池栄子などが当時所属していた、イエローキャブが有名だが、ハロー!プロジェクトのメンバーや、先に挙げたジュニアアイドルなども、グラビア活動を行っていた。

最近は規制も多く、以前のように若いアイドルが水着になることも少なくなったが、それでも、グラビアアイドルのイベントなどには多くの人が集まり、ひとつの文化を形成している。

私がイベントに行っていた中では、中川翔子、浜田翔子、吉木りさ、壇蜜などが、メジャーになっていったところだろうか。

忘れてはいけないバラエティタレントの存在



最後に挙げておきたいのは、歌手でも女優でもない、いわゆる「タレント」としてのアイドルである。元々は、昭和の終わり頃、山瀬まみや井森美幸が「バラドル」と呼ばれて、人気を博したのが始まりだが、平成の時代においても、その時々によって、求められるバラエティアイドル像があるのである。

バラドルの中でも、一番スキルが高いと思われるのが、島崎和歌子や森口博子などのように、番組の仕切りなどもできるタイプだ。正統派アイドルを目指していたのが、そちらの才能を買われて転身してきたり、MEGUMIなどのように、グラビア界から入ってきた人もいる。現在では、小島瑠璃子などが第一人者だろう。

次に、多いのは不思議ちゃん系である。“天然”などとも呼ばれるが、西村知美や、釈由美子、小倉優子などがこの系譜にあたり、今ではどのアイドルグループにも一人はいるキャラになっている。

そして、現在も続いているのが、「おバカキャラ」である。昔から「アイドルはものを知らない」というイメージはあったが、それを特に強調したり、間違えた時でも、普通の人は考えないようなことを言ったりすることで人気を得る人たちが出てきた。これは、平成17年に始まった『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)でクローズアップされるようになり、里田まい、木下優樹菜などが人気を集めた。現在も、鈴木奈々や、滝沢カレンなどに受け継がれている。

バラエティタレントは、ファンと直接交流する機会は少ないが、イベントのゲストやトークライブなどに出演する人は多い。チャンスがあれば、ぜひ“生の面白さ”を感じてもらいたいものだ。

以上、平成という時代のアイドルを、駆け足で振り返ってみたが、まさにアイドルは「時代を写す鏡」である。かつては、歌や演技、グラビアなど、総合的な能力が求められていたが、それは取りも直さず、日本人の多くがマルチな力を必要としていたことの反映に他ならない。それらが細分化されていった平成の後期は、何かに特化した“一芸”が評価されてきた時代なのだ。

令和の時代に入り、アイドル界はどのように変わっていくのか。それは多分、日本人の心のありかたがどう変わっていくかを表す、一つの指標になることだろう。いずれにせよ、アイドルを追いかけることができる幸せを噛み締めながら、この時代を過ごしていければいいと思う。

(文=プレヤード)

当記事は日刊サイゾーの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ