買わずに試供品をねだる女性客。キレられた店員の困惑

日刊SPA!

2019/4/27 15:54

「お客さんが喜ぶと思ってコスメの試供品を気前よくあげたのに、それがアダになるとは想像できませんでした」と嘆くのは、コスメアドバイザーの平原聡さん(仮名・36歳)。試供品を渡した客のクレームがきっかけで、派遣契約を切られてしまったという。

最近よく話題になる、クレーマー顧客の実例を聞いてみた。

◆購入しない客にも試供品を渡す

コスメ会社に勤務していた平原さんは、3年前に退職。友人と一緒に美容関係専門の人材派遣会社を立ち上げた。そして自身は、前職で得た知識やマーケティングを活かしたコスメアドバイザーに。都内の雑貨ショップや地方のデパートと提携し、コスメ選びに悩む人たちの要望などを聞いて販売する新事業を始めた。

「コスメって、2~3日継続して使った方が、使用感がわかりやすいんです。そこで複数の試供品を気前よく客に渡していました」

そのうち、試供品を渡していた常連客の70代女性が、購入するふりして試供品をねだるようになったという。

「購入していただけたら他の試供品も渡そうと思っていたんですが、僕を見つけるや否や試供品をねだるので、1種類だけ渡すようになりました」

元の会社では、購入しそうもない客に試供品を渡すのはNGだった。だが平原さんは「いろんなものを試してもらうのも、コスメ好きなお客さんが喜ぶだろう」という善意で、渡していたのだ。

「ところが、そのお客さまが『試供品が少ない』とキレてしまって。『いま試供品全体が少ないんですよ』と嘘をついたのですが納得してくれない。あろうことか店長に直訴したんです」

客からの苦情を嫌う店長からの命令で、その女性客に大量の試供品を渡してなだめたが、このままではいつも試供品をねだられると危機感を覚えた平原さん。女性客に、「会社から、試供品は購入したお客さまに、と命じられました。会社の方針が変わったので、ご了承ください」と、やんわりと伝えた。ところが…。

◆別の客に試供品を渡したシーンを目撃され…

「冬から早春にかけて、つまり季節の変わり目は肌が敏感になるため、試供品を使ってみてから決めたいというお客様が増えていました。試供品を渡したいところですが、あの女性客のことがあって渡せずにいました。

でもわざわざ、ネットではなくショップで買い物をしたいというお客様には、試供品がないのはまさにPR不足になります。どうしようかと思案しました」

そんな頃、ある30代後半の女性客が、コスメを手に取ったり棚に戻したりを繰り返していた。平原さんが「何かお困りですか」と声をかけると「迷っているんですよね」と、2つのクリームを指さした。

「どちらも使ってみたいけど、金銭的な問題があるので、1つを選びたいというのです」

平原さんの脳裏に、例の客が浮かんだ。だが目の前にいるお客さんに、実際に使ってもらいたいという気持ちが強くなり、試供品を取り出して「使ってみてください」と2種類を渡した。

ところが、運悪くそれを例の70代常連女性に見られてしまったのだ!

「例の客は『購入しない客に渡した。私にはくれないのに』と、また店長に直訴したんです。店長からは、『渡しちゃダメって言ってるでしょ!』と怒られてしまいました」

客とのコミュニケーションツールだった試供品を使用できず、平原さんはすっかりやる気をなくし売上も激減した。そしてクレームが影響してか次の更新はなく、契約が解除されたという。

「幸い、別の店舗と契約できたのでほっとしています。あの客のことで悩まなくてもいい。ストレスは、お肌に悪いですからね(笑)」<取材・文/夏目かをる>

― シリーズ・店員が語る困ったモンスター客 ―

【夏目かをる】

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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