妻がW不倫していた…“菅野美穂似”のほっこり妻に秘められた魔性

女子SPA!

2019/4/23 15:46

【ぼくたちの離婚 Vol.11 お気に召すまま #1】

「妻は僕以外の2人の男と同時に不倫していました。男は2人とも既婚者で、2人とも妻と同じ部署の先輩です。片方の男に至っては、彼の妻も同じ部署。つまり、関係者5人中4人が同じ会社の同じ部署に所属する同僚でした」

短く刈り込まれた頭と太い黒縁メガネ、キャイ~ンの天野ひろゆきをもう少しシャープにした印象の木島慶さん(仮名/38歳)は、約8年前の壮絶な修羅場に至るまでの経緯を話しはじめた。

木島さんは都内に本社のある全国紙の新聞記者。ノーネクタイ、糊のきいた真っ白なワイシャツにしわひとつないジャケット、磨き上げられて光沢がまばゆい革靴。激務だとついおざなりになりがちな髪、ヒゲ、爪の手入れも、完璧に行き届いている。左手の薬指にはプラチナリング。昨年、再婚したそうだ。

◆菅野美穂似のほっこりした女性が…

千葉県出身の木島さんは、都内の一流私大に現役合格して進学。そこで、のちに最初の妻となる典子さん(仮名/現在37歳)と出会う。

「典子は僕が所属していたマスコミ系サークルに、僕が2年の時に新入生として入ってきました。実家は四国の某県で、3人きょうだいの末っ子。お父さんは銀行員で、お母さんは保健師。一家をあげてプロテスタントのクリスチャンで、毎週日曜には家族揃って教会に行っていたそうです」

離婚の3年後にFacebookで偶然見つけたという典子さんの写真を見せてもらった。当時34歳、菅野美穂似の美人だ。色白、黒目がち、たっぷりした涙袋。えくぼがチャーミング。ほっこりした柔らかい雰囲気をまとっており、のちにW不倫を2つも同時進行させるような魔性の女性には、とても見えない。

「いや、魔性の女ですよ。写真で見るとこんなもんですけど、動くと魅力が引き立つタイプです」

その言葉の意味は後で判明することになる。

◆“2番目に気になった女”だった

交際アプローチは在学中に木島さんからだったが、ひと目見て恋に落ちて……という感じではなかった。典子さんが1年生の時点では完全にノーチェックだったという。

「僕、ずっと童貞をこじらせていたんです。でも20歳を過ぎてさすがに焦ってきて。2年生の終わりになって、サークルで美人と評判だった同級生にアタックしたんですが、玉砕。それで“二の矢”として目をつけたのが、サークルの1年後輩である典子だったんです。僕は3年生、典子は2年生になっていました」

“二の矢”と木島さんは言った。“一の矢”が外れた結果、次に放つ矢のことだ。

「玉砕した直後、はたと周りを見回してみて、典子って結構いいんじゃないか? と思うようになったんです。サークル内でも“かわいいじゃん”と言われていたのも、僕の気持ちを後押ししましたね」

木島さんは典子さんを美術館や映画に誘い、3カ月後にめでたく交際開始。木島さんにとって生涯はじめての彼女だった。木島さんは卒業後、都内の新聞社に就職。北陸の地方支局に配属されたため、典子さんとは遠距離恋愛状態に。1年遅れて卒業した典子さんは、都内の中堅広告代理店に営業職として入社する。

「遠距離でしたが、月1くらいで会っていたので、さびしくはなかったですね。というか、支局の仕事がめちゃくちゃ忙しかったので、寂しさを感じる余裕もなかったです」

2年後、木島さんは本社勤務を命じられて東京に戻る。典子さんが一人暮らしする部屋の近くに部屋を借りるが、互いの部屋に入り浸ることが多くなったので、木島さんの提案で2007年秋に都心のタワーマンションで同棲をスタート。1年後の2008年末にそのまま結婚した。木島さん28歳、典子さん27歳。……と聞くと、トントン拍子にことが進み、何も問題がないように見える。しかし木島さんはため息をついた。

「今思えば、典子は僕と結婚する気なんてなかったと思うんです。典子は、状況にものすごく押し流される女なんですよ。離婚した後で気づいたことですが」

◆押しの強い夫と、すべてを受け入れる妻

状況に押し流される。それはどういうことか。

「典子に交際をアプローチしたのも、デートで行く場所や観る映画を毎回提案したのも、同棲話を持ちかけたのも、結婚を申し込んだのも、全部僕でした。

自分で言うのもなんですが、僕はわりと押しが強くて、相手をロジカルに詰めるタイプなので、彼女が反論する理由を漏れなく潰していった。その結果、彼女はすべてを承諾せざるをえなかったのかもしれないなと。いま振り返ると、そんなふうにも思えるんです」

驚くべきことに、木島さんが典子さんとの間には、交際から不倫が発覚するまでの約7年間、1度もケンカがなかったという。

「典子は、自分の我を通すために積極的に行動するということがないんです。誰かと意見衝突して揉めるなんてことが、そもそも起こらない。休みの日に行く場所や観たい映画や食べたいもので意見がぶつかることも、まったくなかったです」

◆相手に合わせる天性の才能

仕事面にも彼女の資質は現れていた。ただし、ネガティブな意味で。

「大学時代、典子は広告代理店のコピーライター志望だったんですが、就職活動では希望が通らず、代理店ではあっても営業職で就職したんです。入社後しばらくして、典子が仕事内容について僕に愚痴を言ってきました。だから僕は『コピーライターの仕事にこだわったほうがいいんじゃないのかな』と言って、社内異動のためにできることはないか、転職を考えてみてはどうだろう、などと色々提案してみたんです。

でも典子は一向に動こうとしない。生活・人生の全般において、多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない。そういう人なんですよ」

プロポーズや結婚式の時もそうだった。

「何かの記念日にちょっといいレストランでプロポーズしたんですが、僕の申し出に対して典子は、驚くでも、歓喜するでも、感動して涙を浮かべるでもなく、わりとそっけなく『うん』とだけ応答しました。

結婚式のウエディングドレスを決める時も、全然こだわりがなかったですね。彼女の実家のお母さんが、共済会で安く借りられるからと勧めてきたドレスが異常に安っぽくて僕は辟易したんですが、典子はそれでいい、と。びっくりしました」

すべてにおいて、異常なほど受け身姿勢の典子さん。しかし、と木島さんは言う。

「こうやって話すと、あらゆる局面で僕や周囲が典子の意思を無視して強引にことを進め、典子が渋々同意していた、典子の人権を無視していた――みたいに聞こえると思うんですが、全然そうじゃないんです。

これ、説明が難しいんですけど……典子は僕に、いや、僕だけじゃなくいろんな人に『乗り気じゃなさそうだけど、大丈夫かな?』みたいな不安を一切抱かせない、天性の能力を持っているんです。相手にすごく合わせられる。相手の期待に100%応えられて、それでいて相手に罪悪感を抱かせない。そういう能力が卓越してるんです」

自己主張せず、相手の求めには気持ちよく応える。来るものは拒まない。それでいて、相手を背徳的な気分にはさせない。少しずつ、典子さんが不倫に至るヒントが見えてきた。

◆洗濯機と蛇口がつながっていない…超ズボラな生活ぶり

時計の針を少し戻そう。木島さんが本社勤務を命じられて東京に戻り、典子さんのマンションへ頻繁に行き来するようになってから、いくつかおかしなことに気づいたという。

「洗濯機と蛇口がつながっていないんです。普通、壁から出た蛇口と洗濯機はホースでつながっているじゃないですか。でもホースがない。じゃあどうするかというと、洗濯機のスイッチをオンにして洗濯槽のフタを開け、同時に蛇口から水を出して洗濯槽に水を溜めて洗う。そうすると、なんとなく脱水までいくんです」

聞いていて、頭にいくつもの疑問符が浮かんだ。面倒くさいからつながない……のだとしても、洗濯ごとにいちいち蛇口をひねるほうがよっぽど面倒だ。しかし典子さんは一人暮らしの間、それでずっと通したという。「多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない」の行動原理が徹底されている。典子さんにとって「ホースをつなぐ」は、ものすごく面倒くさい「環境を変える」ための大仕事なのだ。

「典子の部屋に掃除機があったんですけど、長らく使った形跡がない。調べてみると、吸ったゴミが中の紙パックに目一杯詰まっていました。聞くと、掃除機を買ってから紙パックを一度も交換していないって言うんです」

その掃除機に合った替えの紙パックを買い、交換する。典子さんはそれをしない。否、できない。掃除機が使えなくて多少不便でも、大きくは困らないからだ。これも「多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない」だ。

「典子は料理も一切しません。すべて外食か、すぐ食べられるものを買って食べていたようです。だから冷蔵庫は『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイの冷蔵庫みたいでした(笑)。長らく使ってない調味料くらいしか入っていないんです」

なんと、部屋にはカーテンがなかったという。

「布みたいなものが部屋の隅に置いてあって、カーテン替わりに使おうとしたけど諦めたみたいです。枕カバーもなし。枕の中身には汗ジミがついていました。あと、洋服を満足に畳めないみたいで、洗ったものが適当に置いてあったり。洗濯機がああですから、下着をまともに洗っていたかどうか怪しいです。ただ、あまり汗をかかない人みたいで、臭いと思ったことはありません」

次々出てくる奇行エピソード。しかし典子さんは決して身なりに無頓着ではなかった。

「服はいつもVIA BUS STOP(ヴィアバスストップ)という、海外デザイナーズブランドを集める高級セレクトショップで買っていましたし、化粧品はシャネル、カバンも10万円は下らないもの。こまめにサロンにも行っていたし、髪の毛もきちんとしていて、ちゃんとお金をかけていました。学生時代も社会人になってからも、周囲から“オシャレでセンスのいい子”で通っていたと思います」

◆「私は不倫しています」

美人でセンスよく着飾った外見からは想像できない、危うい生活基盤と乱れた生活習慣。木島さんは同棲するにあたって、不安はなかったのだろうか。

「深刻には考えていませんでした。掃除も洗濯も料理も僕がやればいいと思っていたし、現にタワマンに引っ越した後も全部僕がやっていましたから。家事配分が不公平だと腹が立ったこと? まったくありません。それに怒る意味がわからない」

木島さんの結婚観が見えてきた。

「それぞれ独立した大人なんだから、週末以外は自由にしていればいいじゃないという結婚観でした。掃除も洗濯も料理も、やりたい方がやりたいタイミングでやればいい。互いにどれくらい収入があるかの話もしませんでしたし、貯蓄計画も立てていませんでした。子供を欲しいという願望が僕になかったので、そんな話も出ず。もちろん彼女からも出ません」

独立した夫婦関係がゆえ、仕事で終電を逃しても、互いに連絡することはなかったという。

「典子からいつ帰るかなんて一度も聞かれたことはありませんでした。というか、『帰るコール』が義務化されるなんて、うざいにもほどがある。だから気楽でいい夫婦関係だと思っていましたよ。それに週末はちゃんとベタベタしていたから、夫婦関係が冷え込んでいるとは感じていませんでしたね。もちろん、僕に浮気心はゼロでした」

全国紙の新聞記者と広告代理店勤務のダブルインカム、都心のタワマン住まいで子供なし。ケンカは皆無。夫は多忙だが週末は仲良し。ふたりとも若い20代。ほころびの一端も見えない。しかし結婚から2年後の2010年秋、木島さんの携帯電話に謎のメールが届く。

「『私は不倫しています』というメッセージが届いたんです。差出人は典子でした」

※続く#2は4月30日(火)に配信予定。

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

【稲田豊史】

編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。

【WEB】inadatoyoshi.com

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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