渡辺謙 福島第一原発・吉田所長役へ決意「福島の現実を忘れないで欲しい」

 俳優の佐藤浩市(58)と渡辺謙(59)が17日、都内で開かれた映画「Fukushima50(福島フィフティ)」(2020年公開、監督若松節朗)クランクアップ記者会見に出席した。佐藤と渡辺は映画「許されざる者」(2013年公開)以来の共演となる。昨年11月にはじまった撮影はつい先日終了したばかり。佐藤は「信頼できる先輩」渡辺との再共演で「戦友のような気持ち頑張って来られた」と力強く語った。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災時の福島第一原発事故を描いた同作。佐藤は主人公で現場を指揮する伊崎利夫役を演じ、渡辺は福島第一原発所長の吉田昌郎役を演じた。渡辺も佐藤を「すばらしい同志だと、『許されざる者』の時から感じていた」という。実は渡辺は吉田氏をモチーフにしたドラマをやらないかと何度か持ちかけられたことがあったが、「我々の仕事は、エンタテインメントなので、なかなか僕自身、その一歩が踏み出せなかった」と明かした。しかし今回は「そこで伊崎という男を中心に人間模様として事故と戦った男たち描く、そこで吉田さんという男が関わっていく」映画になると聞き、「そこに佐藤浩市が立っていてくれることで、エンタテインメントになる。そこを頼りに吉田さんという男をやらせていただいた」と話した。

 震災後、各地の避難所を回ったという渡辺は「福島だけは僕たちのエンタテインメントという仕事の中でなかなか力を貸すことができませんでした。でも僕たちが力を発揮できる映画という中で、現実を知っていただく、こういうことが起きたんだということをもう一回皆さんの目に触れていただける」と喜んだ。

 2020年の公開になることについて、佐藤は「まだ8年か、もう8年かは、思いは一人一人違うと思うんですよ。この映画をその当時、衝撃的な印象の中でまだ見ることができない、振り返ることができない、あのとき、生まれてはいたけれどほぼ幼少期で記憶がない10代の方たち、いろいろな方々がいる中で、是か非かということではなく、この映画を見る中で何かを若い世代の方にも感じ取ってもらいたいし、自分たちにとって何が必要なのか、何が不必要かおのおの感じとってもらいたい、そのことだけに僕はやってきました」。

 渡辺は「単に反原発、いいか悪いかをうたう映画ではないと思います。ただそこであったことを検証する材料にしてもらいたい」とし、「福島はまだゼロにもなっていないという現実を忘れないで欲しい。自分を含めて問いかけながらこの作品を世に出すまで関わっていきたいと思います」と語った。

 Fukushima50(福島フィフティ)とは東日本大震災による福島第一原発の事故発生以後も現場に残り続けた作業員のこと。英BBC、英ガーディアン紙、米ABCなど欧米メディアが一斉にこの呼称を使用し、広まることとなった。

 原作はジャーナリスト門田隆将氏による関係者90人以上に取材をして書き上げたノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)。

当記事はスポニチアネックスの提供記事です。

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