なぜヤクザになったのか? 不良にすらなれない若者が組の門を叩くワケ

日刊SPA!

2019/4/16 08:53

 暴対法の施行以来、法律と摘発でがんじがらめになったヤクザ。任俠の道を究めるなどという若者は激減。そんなヤクザ業界に足を踏み入れた若者は一体、何を考えているのだろうか。

◆組の門を叩くのは、不良にすらなれない若者

ヤクザの日常生活を追いかけ話題になったドキュメンタリー映画『ヤクザと憲法』。この作品の中で部屋住みの20代前半の若者、N君が登場する。

監督を務めた圡方宏史さんにN君のその後と、ヤクザ組織に足を踏み入れる若者について話を聞いた。

「N君によると中学、高校と友達に“からかわれていた”と言ってましたが、いじめられていたんでしょう。中学2年生の頃から学校に行かなくなり、ずっと家に引きこもっていたそうです」

ヤクザになるのは不良の世界で頂点を極めた、ワルの中のワルというイメージが一般的だが、圡方さんによると、今やヤクザになるのは、N君のように不良にすらなれない若者だという。

「不良の世界で名を馳せた者は、お金も知恵もありますから、半グレになりますよ。半グレの仲間はネット犯罪や振り込め詐欺をするビジネスパートナーという感があります。一方、ヤクザは組長をオヤジと呼び、家族のような関係があります。そこに自分の居場所を求めているのではないでしょうか」

家族ゆえに叱られることはあっても、陰湿ないじめはない。メシを食べさせてくれて、わずかだが小遣いまでもらえる。最近ではやめられることを恐れて、若い衆にも随分と優しいという。そんなヤクザという存在が行き場のない若者にとって最後のセーフティネット的な側面があることも否めないと、圡方さんは指摘する。だが、シノギもなく上納金を納めない者は組にとっては負担でしかない。

実際、N君も電話番程度でシノギもなく、組長から盃も貰えない存在であったようだ。

「組長はN君のことを『いつか役に立つときがくるかもしれないから』と言ってました。シノギがなければ組の役に立ちませんからね」

その後、N君は組を飛び出した揚げ句、強盗未遂で逮捕された。組からも「破門」された。

「いちばん重い絶縁ではなく、破門ですから、本人が戻りたいと言えば組は受け入れるかもしれません。もっと多様性を認める世の中であればと思いますね」

行き場のない若者にとって最後のセーフティネットがヤクザとは、なんともやり切れない社会ではなかろうか。

<取材・文・撮影/永谷正樹>

【圡方宏史(ひじかたこうじ)】

’76年生まれ。上智大学英文学科卒業、’98年、東海テレビ入社。報道部ディレクターとして働く傍ら、ドキュメンタリー映画『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(’14年)、『ヤクザと憲法』(’16年)の監督を務めた

※週刊SPA!4月16日発売号「それでもヤクザになる若者たち」特集より

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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