松田凌×神永圭佑インタビュー 役者同士が手札の切り合いを予感させる、舞台『+GOLD FISH』

SPICE

2019/4/13 18:00


2019年5月10日(金)より東京・紀伊國屋ホールにて上演される舞台『+GOLD FISH』。演出家・西田大輔が描く本格派ミステリ作品『ONLY SILVER FISH』の第二弾作品として、2013年に上演された音楽劇が“上質なミステリ”をテーマに約6年ぶりに再演される。

本当の名前を知ることで過去を振り返ることができるという“オンリーシルバーフィッシュ”。魚の名を得るただ一人になるため、イギリスの片田舎にある古い洋館に12人の男女が集まりストーリーが展開されていく。決して一筋縄ではいかないワンシチュエーション会話劇に挑むキャスト陣から松田凌、神永圭佑にインタビュー。物語の魅力はもちろん、役者としての厚い信頼関係も垣間見ることができた。

ーーまずは脚本を読まれたご感想をお聞かせください。

松田:面白かったです! 小説のように台本を読みました。まだ体現してもなく、立体的に描いてもいないですけど単純に作品を楽しんでいましたし、現時点で想像できる範囲でもこんなに面白いんだなと。
松田凌
松田凌

神永:僕はもともとミステリ作品が好きなんですけど、王道の中にプラスアルファで面白い要素やドロッとした部分が組み込まれていた印象です。たぶん、お客さんとして観たらいろんな感情が渦巻いたような状態になるんだろうなと。そういう面白さを感じました。

ーーちなみに、特に好きなミステリ作品は?

神永:「ガリレオシリーズ」(東野圭吾)、「三毛猫ホームズシリーズ」(赤川次郎)。シリーズ通して読みますね。小説を読んでいても映像でもそうなんですけど、ミステリの良さはすごく心が動くところ。(登場人物の)内側で起こっている探り合いやせめぎ合いは読んでても面白いし、演じる側の楽しい部分でもあります。

松田:この作品に携われたということもあって、僕も最近、ミステリのなかでもサスペンスに目覚めました。好きな映画でもある「ユージュアル・サスペクツ」と「真実の行方」をもう一回見ても、やっぱり面白いんです。裏返しを見ることによって幸福感を得られるのは、ミステリとかサスペンスならでは。何か一つでも欠けこぼしちゃうと表に見えちゃうかもしれない、“表裏一体感”は強いと思います。お客様は俯瞰して物事を見られる、という立場のもう一人の出演者でもある。『+GOLD FISH』ももちろん、おそらく皆様の脳内で最終的な答えを探すと思うので、それを僕たちが騙せるかどうか。そういう裏切りも見せたいですし、今回僕たちが一番やるべき仕事でもあります。

ーー今作は映画&舞台の連動プロジェクト「ONLY SILVER FISH」のもう一つのストーリー。この2作に続き出演される松田さんですが、今回は偶然にも館に居合わせた考古学者の青年・マーティズを演じられます。役に対する印象は?

松田:舞台『ONLY SILVER FISH』で演じたマシューよりも、今回演じるマーティズのほうが僕本人に近いと思います。(西田)大輔さんにも言われていたんですけど、(「ONLY~」の)ロイという、マシューとは相反する役のほうが僕らしかった。ちなみに、マシューはロイを演じた玉城(裕規)くんだとも言われたんです。そんな経緯もありつつ、今回は『+GOLD FISH』という作品が重なって、自分でもはっきりとマーティズが自分に近しいとわかりました。もちろんそんなことはないですけど、“松田凌”が出すぎないようにしないと……圭佑にも「それ凌ちゃんや!」って言われてしまうのが想像できるな。

神永:たしかに、台本を読んでいて「凌ちゃん、ピッタリやな」って思いました。僕、一番顔がきれいな役者を聞かれたら、絶対に松田凌って答えるんですよ。

松田:えっ!? それはうれしいな。

神永:それくらいきれいな顔立ちなのに、振り切った表情すら思いっきり表現できる。初めて共演した舞台『美女と魔物のバッティングセンター』のコミカルな場面では「すごい顔するな!」ってシーンもありましたし。今回、マーティズのト書きを読みながら「ああいう表情するんだろうな」って想像していました。台本を読みながら「この人だ!」って思えるのって、すごいことですよね。
(左から)神永圭佑、松田凌
(左から)神永圭佑、松田凌

ーー神永さん演じるベイトンはいかがですか?

神永:アーシュラ(高柳明音)の婚約者という役どころではありますが、ほかの登場人物に比べて濃いドラマがあるわけではないんです。あくまで付添人という形で洋館に来ている。ある意味、不気味でどれが本心なのかわからない人物かもしれない、という印象を受けました。個性派の役者さんが揃う中でどう演じていけばいいのか、という不安はありますが、一番掴みどころのない人物になれたらと考えています。

松田:僕もベイトンは圭佑らしいと思ったよ。僕個人としては、推理モノには大きく伏線となる人物がいないと作品の奥行きが出ないと思っていて。「実は白紙でしたけど、この役をどう想像しました?」という役割を担う人物が難しいんです。共演させていただいていて僕が個人的に感じているんですけど、圭佑は影が似合うということ。人物の奥にある影をちゃんと背負える役者さん。したたかで、一物抱えているんじゃないかなって思わせる役どころがピッタリだなって。圭佑の好きなところでもあります。

ーー過去に何度か共演されていますが、改めてお互いの印象を教えてください。

松田:初めて会ったとき、圭佑はまだ10代だったもんね?

神永:そうですね。

松田:そのときからあまり年下に思えない雰囲気でした。頼りがいがあって、安心感がある。今回、また共演できることが素直にうれしいです。

神永:…もうおなか一杯です。

松田:まだまだ! 胃もたれするくらいになって帰ってもらわないと。

神永:(笑)。これまで共演した2作とも、凌ちゃんが座長でした。背中で引っ張りつつ、後輩の面倒もちゃんと見てくれる兄貴肌。共演という形以外では、ミュージカル『薄桜鬼』の観劇が初対面でした。そのときから「うわ、めっちゃ顔きれいな方やな」って(笑)。今も変わらず美しいです。

松田:……なんだか、申し訳ない気持ちになってきました(照)

ーー西田さんの演出や、『ONLY SILVER FISH』『+GOLD FISH』の世界観についてはどう感じていらっしゃいますか?

神永:凌ちゃんは舞台と映画で『ONLY SILVER FISH』に出演されていますし、ストーリーが異なる今作でもどこか似た空気感があると思うので、そのあたりを聞いてみたいですね。僕、西田さんの作品に出演するのが初めてなんです。どういう方なんですか?

松田:大輔さんはね……詐欺師(笑)。物語を作る上で、大輔さんの脳内で僕たちがパズルのように組みあがっていく感覚。真剣に作られているなかでも遊んでいる。そこに面白みを感じながら作れるし、大輔さんの遊びにいっしょに遊びつつ、遊ばれてもいるんだと思います。空気感という意味では、今回に関してはキャスト同士の探り合いがいい作用を生むんじゃないかな。お芝居の手札の切り合いが、対話する中の緊迫感につながっていくというか。稽古を経て自分も変わっていくっていう緊張感もお芝居に乗っかると思う。僕はそこがすごく楽しみだし、圭佑を含め初めて大輔さんとご一緒する方にとって面白く感じる部分でもあると思います。

(左から)神永圭佑、松田凌
(左から)神永圭佑、松田凌

ーー稽古や本番を重ねるごとに新しい手札も増えそうですね。

松田:そうですね。思ったことのないような組み合わせができるだろうし。

神永:今のお話を聞いて、あんまり手の内をさらけ出さないほうが本番に活きてくるのかなって思いました。たぶん自分も詐欺師であった方が……もちろん会話もするし楽しく稽古はさせていただきたいんですけど、役柄も含めて、思いっきりさらけ出しているふだんの部分は出さないほうがいいのかなと。

松田:個人的には、僕がお芝居を志した頃からずっと見てきた粟根さんをはじめ、成熟された役者さんたちがどういう掛け合いをして、どんないいものを与えてくださるんだろうかという期待感もすっごく強いですね。圭佑は初めましての方が多いの?

神永:多いですし、年齢的には下から2番目。最近は上から数えたほうが早い現場を経験しているので、ある意味初心に返る思いです。

ーーパーソナルに迫る質問もさせていただけたら。大変恐縮ではありますが……タイトルにちなんで、お二人の好きな魚をぜひ教えてください。

松田:僕ね、魚大好きなんですよ! 肉か魚かでいうと、間違いなく魚ですね。特にお寿司が好きで、芽ネギが大好き。すいません、魚じゃないんですよ(笑)

神永:女の子みたい(笑)。焼き魚とか、煮魚とかいろいろあるじゃないですか。

松田:(しばらく考えて)……サメかな、サメ。

神永:もはや寿司ネタでもない(笑)

松田:サメになったら歯医者に行きたい瞬間がないわけじゃないですか。歯に何かあっても、自分で折れば再生するし。「あの時、歯医者に行っていれば……」って振り返る瞬間がないじゃないですか。

神永:作品の“過去を振り返ることができる”にちなんでね(笑)。それより面白いのもうないよ。とはいえ、僕もお寿司が一番好きなんです。
神永圭佑
神永圭佑

松田:そうだ! その話、前にしたもんね。

神永:行くお店もかぶってるんですよね。ただ、僕のいちばん好きなネタはエビなんですよ。

松田:甲殻類じゃん。

神永:(笑)。魚ならサーモンですね! どの調理法でも好きです。生でも炙ってもいいですし、塩鮭は焼いてお茶漬けにしてもおいしそうですし。

松田:わかる、圭祐を魚に例えたらシャケっぽい。シャケ感あるよ。

神永:うまい返しが全然思いつかん(笑)。サーモン神永に改名すればいいのかな?

松田:いい響きだね(笑)

ーー“FISHトーク”、ありがとうございました! 最後に、作品を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。

神永:僕自身、今回が初めてのミステリ作品への出演ということで、楽しみな気持ちが大きいです。大先輩がたくいらっしゃるなかで、どう自分の仕事ができるか現段階から考えています。稽古を経て、初日には先輩たちに負けないようなお芝居ができるよう、今から頑張っていきますので、ぜひお楽しみにしていてください。

松田:お客様に飽きさせないことはお約束できると思います。今までの話をひっくり返しちゃうかもしれませんが、ミステリとはうたいつつ、人が感じること、考えることがあって推理が生まれる。人の関係性や思惑を緻密に重ねて、そんななかで作られてしまった罠がある。(登場人物が)どんな言葉を発しても推理戦になると思うので、傍観者として、今までに感じたことのない気持ちを持って帰ってもらいたいです。何度でもぜひ劇場に足を運んでください。よろしくお願いします。
(左から)神永圭佑、松田凌
(左から)神永圭佑、松田凌

取材・文=潮田茗 撮影=池上夢貢

当記事はSPICEの提供記事です。

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