4月7日に放送された『3秒聴けば誰でもわかるあなたの名曲ベスト100』(
テレビ東京系)が
SMAPのアーカイブ映像を流したことで話題となっている。
『3秒聴けば誰でもわかるあなたの名曲ベスト100』は、藤圭子や美空ひばりといった歌手による1960年代の映像から、昨年の大ヒット曲である米津玄師「Lemon」まで、時代を彩った名曲の映像を100曲分流すという趣旨の特番。そのなかでSMAPの映像も流れたのだ。
番組で使われたSMAP関連のアーカイブは、「$10」(1993年)、「KANSHAして」(1995年)、そして、
香取慎吾が慎吾ママ名義でリリースした「慎吾ママのおはロック」(2000年)だ。森且行在籍時代のレアな映像まで放送される粋な計らいに、SMAPファンは大いに沸いた。
SMAPの楽曲は地上波テレビで放送禁止になっている?
たかだかアーカイブ映像が流れたぐらいのことでなぜそんな話題になるかといえば、2017年の秋以降、地上波テレビではSMAPの映像が不自然にカットされるということが起きていたからだ。
その典型が、昨年11月19日に放送された『歌のゴールデンヒット -年間売上げ1位の50年-』(
TBS系)である。
この番組は、1970年代から現代に至るまで50年間のヒット曲を紹介するというもので、1年ごとにいちばん売れたヒット曲を1曲取り上げていた。
そこでおかしなことが起こった。
2002年の
浜崎あゆみ「Independent」が流れた後、なぜか2003年が飛ばされて2004年の平井堅「瞳をとじて」が流れたのだ。番組はそのまま何事もなかったかのように2003年の存在だけを無視したまま終了した。
これは視聴者に強烈な違和感を与えたが、2003年のナンバーワンヒットがなにかを知ればその理由はおのずと見えてくる。2003年最大のヒット曲はSMAP「世界に一つだけの花」なのだ。
この不自然なカットは、
嵐など他の
ジャニーズ事務所のタレントとSMAPを同じ番組のなかで扱うことを避けた製作サイドの「忖度」なのではないかとされている。
それを考えると、『3秒聴けば誰でもわかるあなたの名曲ベスト100』がいかに英断かがよくわかるだろう。
この番組では、SMAPと同様に、嵐「Love so sweet」や
関ジャニ∞「ズッコケ男道」の映像も流し、スタジオトークコーナーにはKing & Princeの岸優太が出演したうえ、彼が「A・RA・SHI」の振り付けを完コピで踊る一幕もあった。
他のテレビ局ならば、ジャニーズ事務所への忖度からSMAPの映像はお蔵になってもおかしくないのだが、テレビ東京はそうした判断はくださなかった。
NHKは「忖度」せずにSMAPのアーカイブ映像を流せるか?
こういった状況下で注目されている番組がある。今月29日に放送予定の『総決算!平成紅白歌合戦』(NHK)だ。
この番組は平成の間に行われた『
NHK紅白歌合戦』をもとに平成の歌謡史を振り返るという趣旨の番組だ。
『総決算!平成紅白歌合戦』は視聴者からのリクエストを募っている番組で、ホームページ上では<「総決算!平成紅白歌合戦」では平成30年間の紅白の名歌唱名場面を振り返ります。あなたの好きな名シーンを理由と一緒にお送りください>とリクエストを募集している。
ツイッター上ではSMAPへの投票を呼びかける流れがある一方で、絶望的との声も上がっている。というのも、この番組の司会は嵐の
櫻井翔で、嵐メンバーの出演も予定されているからだ。
NHKといえば、
新しい地図の3人の冠番組が決まりかけていたが、東京オリンピックをテーマにした特番に嵐を起用したがっているNHK 上層部がジャニーズ事務所に忖度して番組企画が握りつぶされたと「
週刊文春」(文藝春秋)2019年1月31日号で報じられたばかりだ。
昨年大晦日の『第69回NHK紅白歌合戦』のオープニングVTRでは、SMAPが「世界に一つだけの花」を歌っている映像が一瞬映し出されたことは話題となった。
しかし、『総決算!平成紅白歌合戦』において、SMAPの扱いが、「一瞬映った」程度だったとしたら、強い違和感を生むだろう。それは客観的な数字を見ても明らかだ。SMAP は1991年(平成3年)の初出場以降23回にわたって出演し、大トリの大役を6回も務めた。また、
中居正広は6回も司会を担当している。こんな貢献をした歌手は他にいない。
『総決算!平成紅白歌合戦』はSMAPをどのように扱うのか、ジャニーズ事務所への忖度に屈せずにきちんとした番組製作を行うことができるのか。NHKの姿勢に注目が集まっている。