塚田副大臣辞任も、安倍首相の利益誘導を物語る文書が! 忖度案件の道路に要望書提出、山陰自動車道、下関人工島にも疑惑

リテラ

2019/4/5 16:00


「安倍・麻生道路」と呼ばれてきた下関北九州道路の建設計画をめぐって、「総理とか副総理が言えないので、私が忖度した」と発言した塚田一郎・国土交通副大臣がようやく辞任を表明した。

しかし、問題は塚田副大臣の辞任で済む話ではない。これは安倍首相と麻生財太郎務相の地元に露骨な利益誘導がおこなわれたという話だからだ。

先日の記事でも既に伝えたが(https://lite-ra.com/2019/04/post-4643.html)、塚田副大臣は、昨年12月、「私の逆らえない」相手だという吉田博美・自民党参院幹事長と福岡県選出の大家敏志・参院議員のふたりと面会。そこで「塚田、わかってる? これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」「俺が何で来たかわかるか」と言われ、対して塚田国交副大臣は「わかりました」と返答したと語っていた。そして、下関北九州道路は今年度から国直轄の調査となり予算として4000万円が計上された。

「逆らえない」相手である政治家の固有名詞まで挙げて、こんな具体的な嘘をつく理由はどこにもない。「忖度」どころか「圧力」があったと考えるのが普通だろう。

しかも、やはり昨日おこなわれた野党合同ヒアリングでは、立憲民主党の長妻昭議員から「吉田氏と塚田氏の面会がだめ押しになって4000万円の予算がついたのではないか」と問われると、国交省側は「時系列的にはそうなる」と回答。またこの面会の際、国交省の池田豊人道路局長と担当課長までもが同席していた。

さらに、ここにきて、「本人からしっかりと説明すべきで、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたい」などとまるで他人事のように語ってきた安倍首相に、直接的な関与を物語る物証が出てきた。

2016年3月31日付けの石井啓一国交相宛てに提出された「下関北九州道路の早期実現に向けての要望書」。この要望書の提出者は「関門会」なるグループなのだが、その提出者のひとりとして〈安倍晋三〉と明記されているのだ。昨日の参院決算委員会で共産党の仁比聡平議員が突きつけた。

総理大臣が国交相に対して「道路の建設を早く進めろ」と要望をおこなっていた──。その事実だけでも驚くが、この要望書には、こんなことが書かれていた。

〈「関門会」は、関門すなわち下関、北九州にゆかりのある自民党、公明党国会議員の有志によって結成された会である。去る二月二十四日、安倍総理を囲み懇談会を開催させていただいたところ、その際、「第二関門橋」の早期建設促進の件が話題となり、「関門会」の総意として要請活動を行うこととなった。〉

つまり、安倍首相が発端となって、この要望書は提出されていたのである。

要望書を読み上げた仁比議員が「こうやって忖度させてきたんじゃありませんか?」と追及すると、安倍首相は「私自身ですね、そういう要望書が出されたってことは、いま拝見するまで知らなかった」などと言い訳をしたが、無責任にもほどがある。実際、下関北九州道路は2008年の福田康夫政権時に調査が中止されたにもかかわらず、第二次安倍政権で復活。要望書が提出された翌年の2017年度からは自治体予算と国の補助で調査を再開させているのだ。

●安倍首相が地元を通る「山陰自動車道」について「必ずできる」と豪語

しかも、問題は下関北九州道路だけではない。第二次安倍政権になってから、こうした「安倍案件」の公共事業が息を吹き返し、事業化に向けて動き出しているのだ。

たとえば、下関北九州道路と同様、「安倍道路」と呼ばれてきたのが、安倍首相の地元・長門市を通る「山陰自動車道」(山口県美祢市~鳥取県鳥取市)。総事業費は約4500億円とも言われるものだが、本サイトでも連載をしているジャーナリストの横田一氏がこの問題をレポートした「週刊朝日」(朝日新聞出版)2013年6月7日号によれば、山陰自動車道は小泉純一郎政権時に総延長距離が1万4000キロから9342キロに引き下げられたのだが、第二次安倍政権の発足によって議論などなかったかのような状態に。そして、2013年1月には中尾友昭・下関市長(当時)が、このような安倍首相の発言を紹介したという。

「『(私が)首相になったから下関は良くなりますよ』と仰られ、『山陰自動車道は(国交省OBの)山本繁太郎知事が誕生したのだから必ずできますよ』とお墨付きを与えてくれました」

実際、安倍首相は事ある毎にこの山陰自動車道に言及してきた。2016年には「国土の骨格となる基幹的な道路だ」「予算を確保したい」と言い、昨年7月にも「山陰は最大のミッシングリンク(高速道路未整備区間)だ」と明言。そして、国交省もそれに合わせるように、昨年11月、先行整備する優先区間を最終決定するために動きを進めている。

さらに、同じく安倍首相のお膝元である山口県岩国市では、民主党政権時代に槍玉にあがって検証対象となった「平瀬ダム」が、安倍政権下の2014年3月より着工。2023年に完成予定となっているが、総工費は当初の想定から120億円増え、860億円にまで膨らんでいる。

●下関人工島でも利益誘導、下関港「国際旅客船拠点形成港湾」選定の裏も

また、父・晋太郎氏も推進した総事業費755億円の下関市の人口島「長州出島」も、「事業化には安倍首相や父晋太郎氏の国への働き掛けがあった」(東京新聞2014年2月19日付)と言われているが、今年3月1日、国交省が下関港を「国際旅客船拠点形成港湾」に選定したと下関市が発表。これにより、現在は岸壁を貨物船と客船が共用しているが、国がクルーズ船の専用岸壁を整備するという(西日本新聞3月7日付)。

安倍首相の地元で、安倍政権の「国土強靱化計画」のもと、「無駄な公共事業」として見直された計画が復活したり、国がバックアップしている事実──。安倍首相は森友学園問題の追及を受けた際、「私自身がずっとかかわってきた山陰自動車道なんかもずっとミッシングリンクのままでございますし、妻が名誉校長だったからといって、近畿財務局がそれはそう簡単にそういう行為をするということはあり得ない」などと述べて森友問題を矮小化しようとした。だが、現実には、今回の下関北九州道路の問題が象徴するように、こうした公共事業でも森友や加計同様、「忖度」がなされ、安倍首相の地元への利益誘導は進んできたのだ。

塚田国交副大臣の辞任は当然だが、それでこの問題を終わらせてはならない。安倍首相の「私物化体質」をこのまま放置しつづけるのかどうか。それがいま問われているのである。
(編集部)

当記事はリテラの提供記事です。

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