騙しやがったな「後妻業」最終話の衝撃。大竹しのぶ映画版の構成と比較検証「お前と俺は最強のバディや!」

エキレビ!

2019/3/20 09:45

「お前と俺は、最強の」『バディや~!』

3月19日(火)、ドラマ『後妻業』(フジテレビ系)が最終回を迎えた。原作は黒川博行の同名小説だ。


映画との類似点からネタばらしまで
映画とも原作とも違うという最終話の結末。特に、映画『後妻業の女』を見ていたために、映画と似たシーンとそこからのどんでん返し的展開には振り回された。

結婚相談所で老人男性とマッチングし、公正証書を書かせて殺しては遺産を総取りする「後妻業」の小夜子(木村佳乃)。小夜子を「後妻業のエース」として金持ちの老人を紹介していた結婚相談所所長の柏木(高橋克典)。そして、小夜子に父親を殺されたことをきっかけに、悪事を暴こうと動いてきた朋美(木村多江)と探偵の本多(伊原剛志)。

朋美と本多の探偵チームに加え、小夜子のターゲットだったイケメンじいさん・舟山(中条きよし)の息子・喜宜(松尾諭)の暴力団チームが後妻業チームから金を奪い取ろうと動き出した。これまでシラを切っていた柏木だが、意外にもあっさりと、本多にも喜宜にもそれぞれ3,000万円を支払うと言い出す。

一方、小夜子は「今度こそ、本当のこと話す」と言い、自宅に朋美を呼んだ。老人たちを殺してはいないこと、遺産は児童養護施設などのこども関係の施設や財団に寄付していたこと、自分はこどもを産んだことがあることを打ち明ける。

小夜子「けど、母親とはちゃう。産んでも母親になれん女もおるんや。産んだら偉いっちゅうわけやない」

いつになく深刻な口ぶりの小夜子に、朋美はすっかり飲まれてしまう。

朋美が帰ったあと、小夜子の息子・博司(葉山奬之)が柏木のバイトを終えて小夜子の家を訪れた。柏木に「お前、小夜子に打ち明けてみたらどうや。ほんまは姉貴やのうて母親やって、お前が知っとるいうことを」と言われていた博司。小夜子に、なぜ自分を息子として扱ってくれないのか問いただす。

口論の中で小夜子に「産むんやなかった!」と言われた博司は、カッとなって小夜子の首を絞めて殺してしまう。柏木を頼り、死んだ小夜子をスーツケースに詰め込み、車のトランクに乗せようとする。そこへ警察官が現れた。夜中にスーツケースを運ぶ柏木に、職務質問のように声をかけてくる。博司を逃がす柏木。このシーンは映画版と同じだ。

しかし、警察官が「手を挙げろ」と柏木に銃口を向けるところから話は変わってくる。いやいや、いくらなんでも無抵抗の一般人に職務質問で銃を出すことないでしょう~、と笑ったところでこれがネタばらしの合図であることに気づく。ここまでの全てが、柏木の計画だったのだ。

映画を思い出してしまうほどの類似点を、ネタばらしのきっかけに利用する。ドラマの放送が始まった頃、まだ始まったばかりなのにネット上で映画版と比較されディスられていたことへの鮮やかな報復のようにも感じられ、振り回されながらもちょっと気持ち良い。

小夜子が生きてた! やったー
上空からクルーザーを映したシーンもまた、映画版を思い出させるものだ。映画版では、クルーザーの甲板に大竹しのぶが演じる死んだはずの小夜子が立って、結婚相談所の会員老人たちに自己紹介をしていた。

ドラマ版では、甲板で朋美と本多が祝杯をあげていた。小夜子は死んで柏木は捕まったのか……、と落胆しかけたところに、柏木、そして小夜子が登場。小夜子は死んでいなかった!

柏木は、本多も朋美も暴力団も警察も、そして警察も巻き込んで「WIN-WIN」の落としどころに事を運んでいた。現役警察官だった頃に暴力団を取り逃しそれを悔いていた本多には、喜宜たちを捕まえるチャンスを与える。元々小夜子に多少の同情心を持っていた朋美には、その同情心をさらにたきつけて仲間に引きずり込む。

小夜子「あんたいま、身も心もズタボロやろ。親が死んで、離婚して、うちと争うて。医者にかかって妙な薬飲むより、悪党成敗したほうがパーッと気も晴れるで」
朋美「私のこと、心配してくれてるわけ?」

小夜子は朋美の父・耕造(泉谷しげる)を殺してはいないと言って、朋美はそれを聞き入れた。でも、本当のところはわからない。耕造が自分で捨てたはずの注射器も、寄付の記録となる通帳や領収書も、引き払った小夜子の部屋に捨ててあった。「やっぱり殺したのかー」と思う。朋美も完全には信じていないようだった。

それなのに、死んだと思った小夜子がシャンパンを抱え、大きな口で笑いながら登場したときは「やったー」という気持ちになってしまった。朋美も嬉しそうに小夜子との恋バナと口喧嘩をして、イキイキとしている。

小夜子と木村佳乃の「巻き込む力」
小夜子の話は、何が嘘で何が本当かはっきりとは明かされなかった。これまで小夜子が語ってきたこと、すべてが嘘かもしれない可能性さえある。養護施設などへの寄付だって、朋美に見せた通帳が偽物だったのかどうかもわからない。領収書も、偽物だからではなく要らないから捨てただけかもしれない。

小夜子の気持ちややってきたことを知りたい。けれど、小夜子がそれを言葉にして話せば話すほど、真実や真相は何なのかわからなくなっていく。真相を解明するように見せかけて、実はどんどん逆方向に走ってきていた脚本と演出。そして、木村佳乃のあっけらかんとしたパワフルが演技が、みんなが知りたい「本当」を蹴散らしていく。

「お前と俺は、最強の」『バディや~!』

柏木と小夜子が、誰に向けているのか大声でそう言い、そしてキスをする。何もわからないけど、なんかハッピー。大団円っぽい。小夜子と木村佳乃が「ハッピーっぽいもの」をドンと心に残して去っていった。

ドラマ版『後妻業』が描いたのは、時代の悲愴でも犯罪者抱える闇でもない。関わる人をハッピーな感じに導く小夜子の巻き込む力だった。気持ち良く巻き込まれてしまった。
(むらたえりか)

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ドラマ『後妻業』(フジテレビ系)
毎週火曜 よる9時~
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる、伊原剛志、ほか
原作:黒川博行『後妻業』(文藝春秋刊)
脚本:関えり香、阿相クミコ
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
主題歌:宮本浩次「冬の花」
企画・プロデュース:栗原美和子
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原 崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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