常盤貴子主演『グッドワイフ』が描く検察組織のダーティぶりがリアルすぎる! 番組Pはなぜか小渕優子の夫

リテラ

2019/3/17 21:33


 ここ最近、やたら弁護士が主人公のドラマが目立つが、そんななか、安倍政権と検察で実際に起きている不正が克明に描かれていると一部で話題になっているドラマがある。日曜夜に放送している、常盤貴子主演のドラマ『グッドワイフ』(TBS)だ。

常盤演じる主人公の蓮見杏子は、唐沢寿明演じる検事の夫・壮一郎と結婚、子どもができたことを機に弁護士を引退し専業主婦となっていた女性。ところが、東京地方検察庁特捜部長までのぼりつめていた夫・壮一郎が現職のまま突然収賄疑惑で逮捕され、さらに不倫スキャンダルまで発覚する。杏子は生活のため、十数年ぶりに弁護士に復帰し、夫の弁護にも乗り出すことになる。

『グッドワイフ』はアメリカのドラマが原作で、やや荒唐無稽な部分があるが、実際にドラマを見返してみると、たしかに、検察の実態を彷彿とさせるストーリーやディテールが次々に出てくる。

たとえば、そのひとつが、壮一郎の逮捕の裏側だ。逮捕前の壮一郎は、大物政治家の汚職を捜査していた。そこで、捜査の手が迫った大物政治家と検察上層部が組み、捜査を止めさせるため逆に壮一郎の汚職をでっち上げ、逮捕していたのだ。

検察が疑惑封じ込めのために身内の現役検事をでっち上げ逮捕するなんてありえないと思うかもしれないが、検察ではこういうケースが実際に起きている。2002年検察庁の調査活動費の不正流用をテレビで実名告発しようとした三井環・大阪高検公安部長(当時)を直前、微罪で別件逮捕、口封じした事件だ。実際、ドラマを見ていると、ディテール部分が三井事件とよく似ており、参考にしているのではないか、とも思えてくる。

また『グッドワイフ』は、検察の強引な捜査や人質司法、取り調べの実態も描いている。

後任の特捜部長となった脇坂が「必ず起訴して有罪に持ち込め!」「落とせ」と部下にはっぱをかけるシーン、東京地検特捜部検事正が「大事なのは正義でなく有罪にすることだ」と呟くシーン、そして、壮一郎に保釈を餌にして自白を強要するシーンなどが繰り返し出てくるのだ。

「お前を起訴してやる! それだよ、その顔が見たかったんだよ。正義漢ヅラが悔しさで歪むのがな。裁判で有罪になれば当然、検事を辞める羽目になる」
「これだけは言っておくがな、何回申請しようとも絶対君は保釈されない。裁判が終わるまで薄暗い独房で生きるんだ」

また、脇坂特捜部長が妻の杏子にアプローチし、こう揺さぶりをかけるシーンもあった。

「(家が)大変でしょう。色々と。あのー、私も言ってるんです、ご主人に。罪を認めさえすれば、すぐにでも拘留は解かれる。家族の元に帰れるんだぞって」
「蓮見くんも家族のことを思えば更生してくれるだろう。お子さんを巻き添えにするのはかわいそうだからな」

保釈を自白の交換条件にする人質司法はゴーン逮捕でも散々話題になったが、
『グッドワイフ』はその実態も繰り返し描いていた。

ほかにも、証人に虚偽の証言をさせたり、証言の音声データを捏造したり、大阪地検特捜部が証拠を改ざんした厚労省の村木厚子氏の冤罪事件を彷彿とさせるようなシーンもあった。

●検察と政界の癒着、加計問題や公文書改ざんを彷彿とさせるシーンも

さらに、『グッドワイフ』は、検察と政界の癒着も描いている。壮一郎が不正を暴こうとしていた大物政治家というのは、南原次郎(三遊亭円楽)官房副長官なのだが、南原は検察OBで検察有利な司法改革をしてくれるという設定。つまり、検察は自分たちの利益になる改革のために、南原の不正を隠蔽しようとしていたわけだが、これまた、実際の検察と政界の間で同じようなことが起きている。

それは、甘利明元経済再生相の収賄・口利き疑惑。この事件はかなりの証拠が揃っていたにも関わらず不起訴処分になったが、これは法務省の黒川弘務官房長(当時)が安倍官邸の意を受けて、露骨な捜査潰しを行ったといわれている。黒川官房長は、当時、司法取引の導入や盗聴法の導入などを推し進めた中心人物。甘利捜査潰しは検察有利の刑事訴訟法改革をやってくれた安倍官邸へのお礼だったのではないかといわれているのだ。

でっち上げ捜査、自白強要、証拠改ざん、そして政界との癒着……弁護士や検察を描いたドラマは最近非常に多いが、ここまで、検察の“黒さ”をリアルに徹底的に描いたドラマがあっただろうか。

しかも、『グッドワイフ』が批判的に描いているのは、検察だけではない。安倍政権の不正を風刺するような設定や描写もたくさん出てくる。最たるものが、壮一郎が捜査していた大物政治家・南原の不正疑惑。その内容というのが、五輪跡地の「経済特区」の企業選定をめぐるものなのだ。

これだけでも十分加計問題を想起させるが、ほかにもリアルなディテールやシーンがやたら出てくる。

特区に選定された企業の株をめぐるインサイダー疑惑がもちあがり、南原が「特区選定をいつ知ったか」ということが問題になるシーンは、安倍首相が加計学園の特区申請をいつ知ったか、を国会で追及されていたことを彷彿とさせるし、インサイダー疑惑の証拠を消すため、公文書改ざんまで起きるのは、明らかに森友問題に関する公文書改ざん事件を意識したものだろう。しかも改ざんを実行したのは、加計問題で、文科省への圧力など暗躍していた「内閣府」という設定だ。

ドラマでは決裁文書の改ざんを部下に指示した内閣府特命推進事務局長に杏子の上司弁護士の多田征大(小泉孝太郎)が、改ざん前の文書を渡すようこんな言葉で迫っている。

「南原はいざとなったらあなたを切る。文書の改ざんを職員に命じたのはあなただ。事件が発覚すれば誰が責任を取らされるのか。今なら内部告発で済む」

森友文書改ざんでは、改ざん当時財務省理財局長だった佐川宣寿氏がすべての責任をかぶり国税庁長官を辞任した一方、安倍首相も麻生財務相も辞任はおろか説明責任すらも果たしていないが、このセリフはそのこと皮肉ったものとも受けとれる。

●演出は『逃げ恥』の監督、でもプロデューサーは小渕優子の夫

ドラマでは他にも、裁判官と弁護士が仲良くフットサルをしたり、また武田鉄矢演じる落ちぶれたジャーナリストがネット番組『真実報道』で放言やデマを撒き散らしていたのが、『報道特注』(文化人放送局)や『ニュース女子』(DHCテレビ)といったネット番組に似ていたり、と現実社会や言論状況までをパロディしているかのような設定やディテールなどが随所に散りばめられていた。

テレビの報道が忖度や圧力によって、政権批判を完全に封印してしまっている中で、『相棒』など、一部のドラマが政権批判を盛り込んで一矢報いようとする動きを見せているが、この『グッドワイフ』からも明らかにそういった意図が感じられるのだ。

しかも、『グッドワイフ』は検察と政界の癒着という、新聞テレビが絶対に触れることのできないもっとも強固なタブーを、これまでにないリアルさで切り込んでいる。

演出を務める塚原あゆ子氏は、大ヒットした『逃げるは恥だが、役に立つ』(TBS)で知られる人物。『逃げ恥』でもそのリベラルな視点が際立っていたが、昨年放送の『アンナチュラル』(TBS)でも、山口敬之氏による伊藤詩織さん性的暴行事件を彷彿とさせるような事件を描いていた。『グッドワイフ』はアメリカのテレビドラマが原作だが、壮一郎の事件などは日本版オリジナル。塚原氏のリベラルでジャーナリスティックな視点がかなり生かされているのではないだろうか。

しかし驚くのは、このドラマのチーフプロデューサーが瀬戸口克陽氏だということ。そう、小渕優子議員の夫なのだ。小渕議員といえば、2014年、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑が浮上したものの、まさに検察と政界の癒着によって、起訴を免れたといわれている。そんな政治家の夫がなぜこんなヘビーな検察批判のドラマをプロデュースしたのかさだかではないが、ドラマのスタンスはあっぱれというほかはない。

今日17日、最終回を迎える『グッドワイフ』だが、ドラマの展開は現実はと違って、小泉孝太郎に説得された内閣府特命推進事務局長が証拠文書を提供し明るみにしたことで、大物政治家のインサイダー疑惑を暴いた壮一郎は検察に復帰し検事正に出世、今度は壮一郎が、妻・杏子に想いを寄せる多田弁護士を裁判官との癒着、贈賄容疑で逮捕するという驚きの展開を見せている。ドラマの行方と同時に検察という組織がどういう描かれ方をして終わるのか。その行方も注目される。
(伊勢崎馨)

当記事はリテラの提供記事です。

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