物理学者「脳震盪を理解するために…ビーカーをハンマーで叩いてみた」

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Image: Patrick J. Lynch/Wikimedia Commons

頭をぶつけてクラクラする目眩は、小さな気泡のせい?

脳震盪の研究は通常医学の領域ですが、フランスの物理学者のグループが手を動かす方法でこの問題に取り組むことにしました。頭にかかる力とその動きが脳をどう損傷させるか、より良く理解することを期待して水いっぱいのビーカーをハンマーで叩いたのです。

通常、脳震盪は脳への衝撃、 頭が一定の臨界しきい値を超えて加速した結果に起こります。ラグビー、アメリカンフットボールやボクシングといった、特定の接触系スポーツをすることによって引き起こされることが一般的な例ですね。科学者たちは脳震盪の間に脳内で起こっていることを正確に知ろうと試みていて、何人かは小さな泡がそれと関係があるかもしれないと思っています。実は過去の研究でも、脳内の微小な気泡が脳震盪のような外傷性脳損傷に関与していることが指摘されていたのです。

水を突き回す実験方法


フランスの研究機関エコール・ポリテクニークの研究者は、水を入れたビーカーを使って脳の単純なモデルを作りました。そしてビーカーが壊れる前に、その反対側に泡が形成されるのを見ながら、ハンマーで叩いてスローモーションでそれを撮影する方法を取ることに。

また、水で満たした長いチューブにより鋭い加速度を加えてより長い時間観察が出来るといった、偶発性に頼らない実験も行ないました。ボストンで行なわれた、米物理学会の会議で今週発表された発表によると、実験での加速は圧力の低下を引き起こし、一定の加速しきい値を超えると水中に泡が発生したのだそうです。

謎の解明は「脳脊髄液」がヒント?


しかし、密封されたガラス管を加速させても、脳内の泡が脳震盪とどのような関係にあるのか説明できません。そこで研究者たちは、「脳脊髄液」と呼ばれる脳内の体液が脊柱管内に移動することが出来るという身体の仕組みを真似て、チューブの底に柔軟な膜を導入しました。

すると膜を持つチューブは、ないチューブよりも大きな気泡を生じさせました。さらに、さまざまな長さのチューブを使用して、さまざまな加速度でテストした結果、げっ歯類の外傷性脳損傷の原因となった加速度のグラフと一致するように、気泡が形成されたことがわかりました。

でもまだわからない


ただし、ローレンス・リバモア国立研究所の博士研究員ガース・イーガン氏によると、「小さな気泡は詳しく理解されていません」とのこと。彼とそのチームは、レーザーでナノメートル級の気泡を作り、それらを電子顕微鏡で測定し、気泡の崩壊がポリマーに損傷を与えるかどうかを判断しようとしました。その結果、ナノバブルがポリマーを損傷するという間接的な証拠をいくつか明らかにしたたものの、決定的なものは何も得られませんでした。

これらの結果は本物の脳ではなく、単純なモデルからのものなので100%の信憑性はありません。彼らは「脳脊髄液」の中に崩れ落ちるエアポケットが生成されることが、脳震盪による外傷性脳損傷であるメカニズムの可能性だという、証拠骨子を付け加えたのでした。


100%仕組みが判明したわけではありませんが、この報告はかなりもっともらしい気がしますね。いつか完全に解明され、さらに脳震盪も制御できる技術が生まれることに期待です。

Source: Science News for Students, NCBI

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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