日常のやりとりが恐ろしい事件の幕開けだったとは……家庭内やご近所の犯罪を描いた『シンプル・フェイバー』



「ちょっとお願いしてもいい?」「もちろんよ! 友だちじゃない」

そんな日常によくあるやりとりが、世にも恐ろしい事件の幕開けだったとは……。本日3月8日(金)公開の『シンプル・フェイバー』は、今や出版界ではヒット続出、日常の謎ならぬ、家庭内やご近所の犯罪を描いたドメスティック・ノワールの映画化最新作です。

幼い息子と二人暮らしのステファニー(アナ・ケンドリック)は、家事や育児に手を抜かず、スーパーママ目指して毎日全力投球。テンション高いステファニーがこまめにアップするビデオブログは、生活のちょっとした知恵や子どもの喜ぶレシピなど、ママたちの間ではけっこう人気。ある日息子のマイルズを学校に迎えに行くと、マイルズの親友ニッキーのママで、有名デザイナーの広報をしているエミリー(ブレイク・ライブリー)に初めて声をかけられます。まるでファッション誌から抜け出たような彼女の完璧なルックスにぼーっとしたステファニーを、エミリーは生活感皆無のバブリーな豪邸に招きます。作家の夫ショーン(ヘンリー・ゴールディング)とホットなキスをかわすエミリーに羨望のまなざしを向けながらも、そんな彼女とママ友になれてステファニーは大喜び。

それからというもの、残業のエミリーの代わりにニッキーの送り迎えでひんぱんに家を訪れるようになったステファニーは、とうとう最強の秘密までエミリーに話してしまいます。ある日いつものようにお迎えを頼んできたエミリーは、夜遅くなってもニッキーを引き取りにきません。連絡がとだえてから数日が経ち、外国から戻ってきたショーンはついに警察に失踪届けを出すのですが……。

原作は2017年に早川書房から刊行されたダーシー・ベル『ささやかな頼み』(東野さやか訳/ハヤカワ文庫)。なんと出版前に映画化が決まったという驚異の話題作で、最後の最後まで何がどうなるかわからない、黒い展開に満ちたサスペンスです。映画版では夫の職業やエミリーの過去など、随所で細かな設定が変えられていますが、最も大胆な改変はその結末です! ドメスティック・ノワールならではの底知れぬ闇にどっぷりハマる原作に対し、新『ゴーストバスターズ』のポール・フェイグ監督による映画は、洒落たブラック・コメディとして楽しめるような脚色がなされています。それをより魅力的にしているのは、なんといっても主役2人のファッション! メンズライクなパンツスーツをはじめとしたシックでゴージャスなエミリーの装いに、動物プリントやキャンディカラーが楽しいステファニーのキュートなコーデ。甲乙つけがたい魅力たっぷりの衣装を担当したのは、『ドリーム』のレネー・アーリック・カルファス。ほかにも家のインテリアのすみずみにまで2人の個性が表れていて、作り手のこだわりがひしひしと感じられます。

映画化されたギリアン・フリンの『ゴーン・ガール』、ポーラ・ホーキンズの『ガール・オン・ザ・トレイン』、リアーン・モリアーティの『ささやかで大きな嘘』(ドラマタイトルは『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~』)などなど、現代の女性作家が描くノワールは、どれも一気読みせずにはいられないほどの面白さ。その最新作『シンプル・フェイバー』と原作の『ささやかな頼み』、あなたはどちらの結末がお好みでしょうか? ぜひ映画と原作の両方でお楽しみ下さい。


【プロフィール】♪akira

翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、月刊誌「本の雑誌」、「映画秘宝」等で執筆しています。




『シンプル・フェイバー』公開中

http://simplefavor.jp

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