度肝を抜く圧巻のパフォーマンス…進化する伝統芸能 京都・松尾大社「石見神楽」

TheNews

2019/3/5 16:00

松尾大社 「永遠のモダン」を追及した重森三玲の庭


松尾大社の赤い大きな鳥居

松尾大社は、大宝元年(西暦701年)に社殿が創建された由緒ある神社です。阪急嵐山線の「松尾駅」の前に大きな赤い鳥居があり、そこから参道が松尾山の麓に建つ社殿に向かって伸びています。

酒造家より奉納された酒樽 松尾大社

松尾大社には「お酒の神様」である大山咋神(おおやまくいのかみ)が祭られていることから、「拝殿」の南側の軒下に酒樽が積まれた「神輿(みこし)庫」に、名だたる酒造家より奉納された酒樽が積まれていました。

「永遠と瞬間とはここでは同居しているのであり、永遠と瞬間は同じものなのである。」
この言葉は生涯庭を愛した重森三玲(しげもりみれい)の言葉です。ここ松尾大社の境内の中には、「曲水の庭」、「蓬莱の庭」、「上古の庭」の三玲松風苑三庭があります。

松尾大社の曲水の庭
※「曲水の庭」

今回見学した「曲水の庭」は平安時代の貴族たちが行う、曲水の宴の舞台とされた庭を現代に表し、"永遠のモダン"を追及した重森三玲の代表的な庭の一つです。

子供たちの憧れでもある「石見神楽」- 魅力的な演目の数々


「松尾大社」の節分祭では、毎年石見神楽が奉納されます。なぜ島根の伝統芸能である石見神楽が京都で?と不思議に思いますが、出雲の神「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」は松尾大社の祭神「大山咋神(おおやまぐいのかみ)」の祖父神にあたる、というご縁からだそうです。

松尾大社境内中央の「拝殿」で「石見神楽」(いわみかぐら)の奉納

島根県西部と広島県北西部に伝わる「石見神楽」(いわみかぐら)は、伝統芸能でありながら、豪華絢爛な衣装と、時に見る者の度肝を抜くような大胆なパフォーマンス、そしてわかりやすいストーリーで、石見地方の子供たちの憧れでもあります。芸術的な気品を与え、出雲神楽に劣らない郷土芸能を育成しようと、活発な石見人の気性そのままに、勇壮な八調子とよばれるテンポとなり、大太鼓、小太鼓、手拍子、笛のメロディーとリズムは聞く人を魅了します。金糸、銀糸の 総縫いつぶしの衣装は視覚を夢の世界に誘い、 舞手の厳粛な所作は神話の世界を再現させています。演目は三十数種、出演する団体は百以上あり、石見神楽を愛する一般の人々によって、今なお受け継がれ上演し続けられています。

「石見神楽」(いわみかぐら)の「鈴神楽(すずかぐら)」

神楽の奉納は、午後から行われる節分祭に先駆け、午前10時から境内中央の「拝殿」にて約2時間行われました。奉納神楽の最初の舞は「鈴神楽(すずかぐら)」です。一人で手に鈴と扇を持って舞い、
鈴の音で清めます。

「石見神楽」(いわみかぐら)の菅原道真公(天神様)の物語

次の演目は、学問の神様、北野天満宮や太宰府天満宮に祀られている菅原道真公(天神様)の物語です。神楽では、道真が雷神となって藤原時平と戦うように創作してありました。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目塵輪(じんりん)

三つ目の演目塵輪(じんりん)は、神2人鬼2人が対決する鬼舞の代表的な神楽です。第14代天皇・帯中津日子(たらしなかつひこ)が、異国より日本に攻め来る数万騎の軍勢を迎え撃ちます

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目塵輪(じんりん)の悪鬼

。その中に身に翼があり黒雲で飛びまわる「塵輪(じんりん)」という悪鬼が、人々を害していると聞き、天皇自ら天の鹿児弓(あめかごゆみ)、天の羽々矢(あめはばや)をもってこれを退治します。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目塵輪(じんりん)

徐々に、激しくなっていく音の響きとともに、踊りの速さが上がり、荘厳な舞と躍動感あふれる圧巻の舞台です。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目「大蛇(おろち」

最後の演目は、「大蛇(おろち」、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)とも言います。大蛇は石見神楽の代名詞とも言うべき神楽で、大蛇の舞手は身体を胴の中に隠し身体を見せずに舞わなければならないそうです。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目「大蛇(おろち」

スサノオノミコトが出雲の国・斐伊川にさしかかると、嘆き悲しむ老夫婦と稲田姫に出会いました。理由を尋ねると、ヤマタノオロチが毎年現れて、既に七人の娘がさらわれ、残った稲田姫もやがてその大蛇にさらわれてしまうと言います。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目「大蛇(おろち」のスサノオ

一計を案じたスサノオは、種々の木の実で醸した毒酒を飲ませ、酔ったところを退治します。

「石見神楽」(いわみかぐら)の演目「大蛇(おろち」

この演目では何といっても、大蛇の動きが注目です。まるで生きているかのような動きで、固唾を飲む展開に釘付けになります。



石見神楽は今もなお、現在進行形で進化しており、「古き良き伝統を大切に守り、未来へつなげる心」と「従来のスタイルだけにとらわれることなく、常に新しいものを取り入れる精神」を融合しながら守り伝えられているところに、大きな魅力があります。石見神楽は、地元島根はもちろん、その人気は留まることを知らず、全国に広がっています。2019年4月には、大阪府浪速区に、石見神楽の上演施設『石見神楽なにわ館』がオープンされるそうです。外国人観光客が急増している大阪でも、注目の施設と期待されています。島根の伝統芸能「石見神楽」は、世界を魅了することになるでしょう。

M.Sawaguchi
ライター、輸出ビジネスアドバイザーとして活動中。
早稲田大学文学部にて演劇を専攻し、能、狂言、歌舞伎、浄瑠璃といった日本演劇、西洋演劇、映画について学ぶ。一方で、海外への興味も深く、渡航歴は30か国以上。様々な価値観に触れるうち、逆に興味の対象が日本へと広がる。現在は、外資系企業での国際ビジネス経験を元に、実際に各地に足を運び、日本各地発の魅力ある人、活動、ものについて、その魅力を伝えることで世界が結ばれていくことを願い、心を込めて発信中。

当記事はTheNewsの提供記事です。

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