収益1000億円!米大学スポーツを参考にした統括組織「UNIVAS」とは?

ソウルオリンピック金メダリストで、スポーツ庁の鈴木大地長官が、テレビ東京系で3月2日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(毎週土曜24:20~)にゲスト出演。3月1日に設立された大学スポーツ協会「UNIVAS」の狙いを明かした。

当時21歳、大学4年生だった鈴木長官は、得意のロング潜水泳法“バサロ”を駆使し、1988年のソウルオリンピック100m背泳ぎで金メダルを獲得。日本競泳陣に16年ぶりとなる金メダルをもたらした。現在は、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定を機に発足したスポーツ庁の初代長官に就任し、アスリートの強化・育成をはじめ、学校体育のカリキュラムの作成、高齢者の健康増進など、スポーツ政策全般で手腕を振るっている。

そんな鈴木長官が、最も注力しているものの一つが大学スポーツ。しかし、箱根駅伝や東京六大学野球など一部は有名だが、その他の競技の知名度が高いとは言えず、さらにサッカーなどの競技では「プロに行くなら大学は遠回りになる」といったイメージが根強いのも事実だ。番組アナリストの北澤豪も、当時は同様に考えていたというが、「現在は、技術や戦略、肉体的なことなどを伸ばせる」と述べ、愛知学院大学から鹿島アントラーズ、日本代表へと上り詰めた秋田豊も「試合をやらなければいけない年代で経験を積めるのはメリット」と大学スポーツの効果を語った。

実は、日本のオリンピック選手の約3分の2が大学出身者で、東京オリンピック・パラリンピックを目指すアスリートの多くが現役大学生か大卒選手。まさに才能の宝庫なのだが、どうして大学スポーツのイメージはイマイチなのか? 鈴木は、下の年代には日本中学校体育連盟や全国高等学校体育連盟といった組織があるのに対して、大学スポーツには統括する団体がなく、各競技がバラバラに動いていることを指摘。そこでスポーツ庁は、全国約800校の部活動をまとめる大学スポーツ協会「UNIVAS」を設立。競技力の向上だけでなく、暴力・ハラスメント対策、試合の映像配信サービス、新しい大学対抗戦の設立など、環境整備を推し進めていくという。

そのUNIVASが見本にしたのが、アメリカ大学スポーツを統括する全米大学体育協会「NCAA」。全米大学2300校の半数を超える約1200校が加盟、約1万9000チームが活動している。アメリカンフットボールの試合では10万人のスタジアムを埋め、放映権料などの年間収益は約1000億円を誇り、これは2017年のJリーグ営業収益1105億6200万円とほぼ同じ規模。これらの収益は各大学に還元され環境強化が行われているのだとか。

しかし日本では、学生スポーツで収益を上げることに対してネガティブなイメージを持つ人が少なくない。鈴木長官は、「大学野球の早慶戦はチケットの取りづらい人気コンテンツとなっているが、入場料は500円と安く、その一方で“3000円でも見に来る”という人は大勢いる」と話し、「人気コンテンツであげた収益を懐に入れるのではなくて、新しいスポーツ環境への投資することで、様々な人々にスポーツの恩恵が行き渡るような仕組みを整えることが重要」と説いた。また、昨今問題になっている指導者によるパワハラなどについても、「かつて暴力を振るわれて育ってきた指導者が、自分がやられていたことを同じようにしてしまうという連鎖になっているので、それを断ち切るいい機会。研修会などで最新のコーチングを学んでもらえるようにしたい」と狙いを明かした。

さらに番組では、UNIVASの模範となる筑波大学蹴球部の取り組みを紹介。ここにはトップチームのサポートを目的に5年前に作られたパフォーマンス局という独自の組織がある。160人の部員のうち約半数が所属し、それぞれ「アナライズ班、ニュートリション班、データ班、トレーニング班、ビデオ班、フィットネス班、メンタル班、ホペイロ班」として行動。データ班はプロではお馴染みのGPS測定器を使って選手のパフォーマンスを測定し、戦術にも取り入れている。そして、ホペイロ班の部員は靴についた傷を見ながら「スパイクから人がわかる」と言って「この人は相手との接触が多くて、絶対に勝つという想いが強い」と分析。「卒業後はスポーツメーカーでスパイクやサッカー用具に関わりたいと考え、ここで得られる知識を将来に繋げたい」と話した。

また、資金の多くない蹴球部のスポンサー企業を学生自身で集め、現在、ホームセンターや地元のお弁当屋さんなど8社が選手のジャージに描かれている。この資金で先程のGPS測定器(400万円)といった設備を充実。さらに、同じ部員が取ってきたスポンサーを背負っていることに責任を感じチームの結束力が増したという。蹴球部の小井土正亮監督は「選手としてゲームを見る力や、プレゼンする力を付けることで、それが直接的にピッチ上に反映されている。大学生が一生懸命スポーツをする意義だと思います」とコメント。VTRを見た鈴木も「このような情報を他の部活や大学と共有することがUNIVASで出来るようになる」と話した。

そして、来年に迫る東京オリンピック・パラリンピックの話題になると、「各競技団体が金メダル30個という非常に高い目標を設定してくれている」とモチベーションの高さを喜び、日本でラグビーワールドカップ、オリンピックと連続して国際大会が開催されることに触れ「日本人全体のスポーツに対する考え方を変える時期にしていきたい」と意気込んだ。また、見るだけでなくやる人も増えれば、健康寿命も延ばせて、医療費も適正になって日本自体にも活力が出てくると述べ、「スポーツは金メダルの数だけではない、スポーツの価値を見せたい」「競技者だけでなく、誰もがスポーツをできる国にしていきたい」と約束していた。

当記事はテレビドガッチの提供記事です。

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