中国売春店からの嫌がらせに、私が「戦わずして勝つことができた」理由

日刊SPA!

2019/2/25 08:52

 こんにちは、内野彩華(うちのあやか)です。

新宿・歌舞伎町にキャバクラを4店舗経営する歌舞伎町の女社長。そんな私が野心の大切さを説く、この連載。第39回は「嫌がらせの対処法」がテーマです。

敵はなるべく作らない方がいいと思いますが、でも、時には意識しないうちに敵ができてしまっている場合があります。今回は、戦って勝つのではなく、戦わずして勝つ方法をお話ししたいと思います。

◆隣の中国人とキャバ嬢がケンカした理由

歌舞伎町には、中国人経営による売春可能な店が多数存在します。もちろん風営法に違反しているので、最近ではやや減少傾向にあります。

警察に見つかれば一発アウトですが、それを目当てにしているお客様がいるのも事実。システムは飲み代が1万円で中国人の女の子を連れ出すと、ショートコース2時間で3万円、ロングコース一晩で5万円が標準相場のようです。

かつてうちの店の隣には、そういう「連れ出し店」がありました。はじめのうち、ご近所としての関係は決して良好ではないものの、悪くもありませんでした。

しかしある時、その店から出てきたお客様が、うちのお見送りをしていたキャバ嬢に酔っ払って寄りかかり、それを見た中国人ママが烈火のごとく怒ってしまいました(事件の詳細は第33回の記事をご覧ください)。

ママは「こっちは体を張って商売してんのに、うちの客をとるんじゃないよ!」と。うちの店のキャバ嬢は、中国人ママにビンタを食らったこともあり、「暴行で警察を呼びたいなら呼べ!」と大変感情的になっていました。

◆お客様が中国人ママ・パパと大げんかに

ある日、私のお店のお客様が、中国人ママと大げんかになったことがあります。エレベーターを一緒に降りた時、お客様が彼女に対し、差別的な発言をし、1階の踊り場で中国人ママがお客様のネクタイを掴むなど、騒ぎになりました。

それを遠目で見ていたママの旦那さん(パパ)は、「妻が襲われている」と勘違いし、ママを守るべくお客様に飛び込んでいき、大乱闘になりました。お客様の一人が警察を呼び、うちのお客様2人と、中国人ママ、パパは警察に連れていかれました。

その後、4人は和解したのですが、エレベーターのところでママに出会って挨拶をしても完全にシカトされるようになりました。

それからしばらくして、同じフロアにあるうちのアフター店(女性スタッフの接客のない店)のほうに毎日警察が来るようになりました。深夜営業の許可は取っているので、法律上問題ないのですが、毎日のように警察が来て「営業許可証をみせろ!」「中をみせろ!」と言われ、商売になりませんでした。

◆「いったい誰が通報しているのだろう?」

警察の人が来るたびに、私が「どうして毎日来るんですか?」と言うと、彼らは「今日も通報があったので来ました」というあいまいな返答。どうも警察は通報があったら毎回出動しなくてはいけないようで、いつも違う人が来るので、私はいい加減うんざりしていました。

「いったい誰が通報しているのだろう?」

最初はいろいろな要因を考えて、敵リストを作ってみましたが、3か月間、毎日毎日ピンポイントで通報電話をかけられるというのはやはりご近所、隣の店が通報している可能性が高いと考えるようになりました。

はじめに考えた方法は「敵をつぶす」でした。そこで、やってきた警察の人に「隣の中国の店は売春の店で違法店なので取り締まってください」と言ってみました。でも、売春の取り締まりというのは現行犯逮捕が基本のようで、警察官が飲みに行き女の子を買ってラブホテルに入りコトがはじまる直前に逮捕する以外に逮捕する方法はないのだそうです。

しかも、失敗するとおとり捜査として訴えられることもあるようです。彼らの回答は「丹念な調査を続け、確定的な証拠を握ってからじゃないと、そういうおとり捜査のようなことはできない。調査するまでには半年~1年かかる」というものでした。

◆お店に潜入して撮影するのも難しい…

友達の探偵にも相談してみました。

しかし、探偵は警察のように逮捕ができません。ましてや飲みに行って女の子を買ったところを逮捕というわけにもいかず、店内の様子を撮影したり、売春を行った人の証言を集める地道な作業をするしかなく、これも長い時間がかかりそうでした。

私は考えました。

「もし敵がツブせなかった場合、さらなる逆襲にあってしまう。長い時間をかけてはいけない。ではどうしたらいいのだろう?」。そして、うちのお店の部長と今までの情報を整理して仮説を立ててみることにしました。

「中国人のパパは正義感が強い人柄なので、コソコソ通報するような人柄ではない。通報があるのは決まって、パパがいなくなってママが一人で店にいる時間帯」「ママはパパがいなくて寂しくてつまらないから警察に通報するのではないか?」

「警察に通報しているのは、ママの可能性が高いが断定はできない。確定的な証拠はない」「でも、もしママがやっているとしたら、その事実をパパには絶対に知られたくはないはず」

◆ついに中国人パパに電話をかける。結果は…

「それなら、私たちがいつでもパパと話せる環境にあり、そのことをママが察知すれば嫌がらせは止まるかもしれない」

そう思った私は部長に「パパの電話番号って知らない?」と言いました。すると、部長は「もしかしたら、昔、電話番号を交換したかも……」と携帯の電話帳を見返しました。すると、なんと中国人のパパの携帯番号が入っていたのです。私は「すごい!!」と言って、部長にパパに電話してもらうことにしました。

夕方19時頃、店にパパとママが一緒に入ったのを見計らって、パパに電話しました。

「最近、うちは毎日深夜に警察がきます。きっとうちの店を恨んでいる誰かの嫌がらせなのでしょう。でも、そちら側の中国の店にも、迷惑がかかってしまう可能性があるので、お互い情報共有をしておきませんか?」と。

パパには「あくまでも”見えない敵”と一緒に戦いましょう」というスタンスで話をしましたが、隣にいるママには「うちの店の人間はパパといつでも連絡がとれる環境なので、これ以上、警察に通報をやめないのであれば、パパに電話をしますよ!」という牽制の意味が伝わったでしょう。

◆頭を使って、戦わずして勝つのが一番

次の日から警察通報の嫌がらせはピタリととまり、深夜に警察はまったく来なくなりました。私たちは、敵に戦わずして勝てたのです。

敵と戦って、勝てたとしても、勝つまでに時間がかかればかかるほど消耗してしまいます。例えば、うちが警察や探偵を動かすために労力を割いたとして、そのためには膨大な時間と労力とお金がかかります。

その期間が長ければ長いほど、敵に気づかれてしまう可能性が高くなり、そうすれば逆襲に合う可能性もあります。今回はママだけの嫌がらせで済んだところが、うちが店を潰そうとしてるとなれば、パパとママが協力して躍起になって店をツブそうとしてくることでしょう。

そうすればさらなる消耗をします。敵はなるべく作らないほうがいいです。でも敵ができてしまったら、時間をかけずに頭を使って、戦わずして勝つのが一番です。

【内野彩華】

新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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