【インタビュー】『アリータ:バトル・エンジェル』ロバート・ロドリゲス監督「この映画は、アメリカ人にインスピレーションを与え続けてくれた日本の漫画やアニメに対するラブレターです」

テレビファン


 数百年後の未来。スクラップの山の中から脳だけが無傷の状態で発見されたサイボーグの少女アリータ(ローサ・サラザール)は、サイバー医師のイド博士(クリストフ・ヴァルツ)によって新たな体を与えられ、目を覚ますが…。木城ゆきとの漫画「銃夢」を原作に、製作ジェームズ・キャメロンと監督ロバート・ロドリゲスがタッグを組んで映画化した『アリータ: バトル・エンジェル』が2月22日から公開される。公開を前に来日したロドリゲス監督が映画製作の舞台裏を語った。

-今回、製作のジェームズ・キャメロンとタッグを組んだ経緯と、共同作業の感想を。また、過去に組んだクエンティン・タランティーノと比べていかがでしたか。

キャメロンもタランティーノも、映画を通していろいろなことを達成した巨匠です。ですから、一緒に仕事ができたことはとても光栄なことだと思っています。彼らは、基本的に他の人のためには脚本を書きません。『アリータ~』も、最初はキャメロンが自分で撮ろうと思って脚本を書いたのですが、『アバター2』で忙しくなってしまったので、代わりに私がやったわけです。とてもラッキーでした。ですから、今回は自分では完成させることができなかったキャメロンの映画を、彼のスタイルを引き継いだ形で私が完成させようと思いました。
 また、私と2人は古くからの友人同士であり、とても尊敬しています。私にとっては、いろいろなことを教えてくれるビッグブラザー(=兄貴)のような存在です。彼らと一緒の作業はとてもやりやすくて楽しいです。

-これまでも『スパイ・キッズ』シリーズや『シン・シティ 復讐の女神』(14)など、特撮アクション系の映画を撮っていますが、今回は何か違った点はありましたか。

これまで、3DやCGは使ったことがありましたが、パフォーマンスキャプチャー(三次元空間における人間の動作に加え、表情の変化もデジタルデータとしてコンピューターに取り込む手法)を使ったのは今回が初めてでした。『アバター2』のセットにキャメロンを訪ねたときに、やり方は見ましたが、自分で使ったことはありませんでした。今回使ってみて驚いたのは、パフォーマンスキャプチャーは演技の邪魔になるどころか、より増強させる効果があるということでした。コスチュームを着けたり、メーキャップをしたり、という気をそらす作業がない分、俳優がキャラクターに成り切れるところがあります。それが、見ていてとても面白く、新しいと思いました。

-今回は、監督がこれまで撮ってきた『デスペラード』(95)『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)『グラインドハウス』(07)といったB級テイストの映画とは全く違う印象を受けましたが…。

キャメロンが書いた脚本を初めて読んだとき、「とてもジェームズ・キャメロン的な世界だ」と思いました。つまり、『タイタニック』(97)や『アバター』(09)のような、あらゆる人々の共感を呼ぶ超大作だと。それに比べて、私がこれまで作ってきた映画は見る人を限定するようなところがあります。あらゆる人に向けて映画を作るというのは大変なことです。ですから、最初はキャメロンに「どうすればいいのか」といろいろ質問をしました。
 彼が教えてくれたのは「SFやファンタジーの大作映画を作る場合は、リアリティーに基本を置くことが重要だ」ということでした。なので、今回は『シン・シティ~』などとは全く違うやり方、つまりブルーバックなしでちゃんとセットを作り、ロケも実際にその場所に行って、本物の俳優を使って撮りました。そうすることで、観客は、よりキャラクターを信じることができるし、ストーリーにも没入できます。それは私にとっては新しくエキサイティングな方法でした。キャメロンはとてもいい先生でした。

-監督はこれまでバイオレンス物とキッズ物という、ある意味対極にある映画を撮ってきましたが、今回はその中間的な位置付けになるのでしょうか。

以前から、本作のような、PG-13指定の映画(13歳未満の鑑賞には、保護者の同意が必要)を作りたいと思っていました。『スパイ・キッズ』シリーズはとても小さい子どもが、『デスペラード』や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』は“大きな子ども”(笑)が対象でしたから。実はキャメロンも『ターミネーター』シリーズや『トゥルーライズ』(94)といったR指定(年齢制限)の映画を作ってきました。『アバター』あたりからPG-13になったのだと思います。年齢制限の基準を下げると、幅広い観客に見てもらえるようになります。今回は、PG-13でも強烈なアクションを入れることは可能なのだと実感できました。

-『シン・シティ~』も、今回も漫画が原作でした。漫画の映画化について、また日本の漫画についてはどう思いますか。

日本の漫画は幾つか読みました。私がこの映画の原作で好きなところは、アジアの街には限定せず、地球で最後に残った都市が舞台になっているところです。そこは人種のるつぼで、いろいろな文化や言葉が共存しているので、これを映画にすれば、多様性のあるキャストを組むことができるし、普遍的なテーマを描くこともできると思いました。キャメロンも、原作のストーリーやテーマが、漫画やSFというジャンルを超えているところが気に入ったようです。私も木城さんが書いた物語には、とても共感できると思いました。

-ローサ・サラザール、クリストフ・ヴァルツにはどんな印象を持ちましたか。

どちらも本当に素晴らしい俳優でした。最初に脚本を読んだときに思い浮かべたのがクリストフ・ヴァルツでした。彼と初めて会ったときに、いきなり3時間以上も話し込んでしまいました。彼は悪役を演じることが多いのですが、彼自身はとても温かく、すてきなお父さんだと感じたので、イド役にはぴったりだと。悪役ではない彼を見て観客は驚くはずだとも思いました。
 私は、その俳優がどんな役を演じてきたかよりも、その人がどんな人なのかを見てキャスティングすることが多いのですが、ローサもそうでした。彼女はとても表現力が豊かで、反抗的なところもあり、楽しいところもあるという、アリータの性質を持っていました。アリータはCGのキャラクターで、目がとても大きい。その見た目で観客を引き込んだ後、ローサがアリータに人間味を与えてくれるはずだと思いました。

-では最後に、日本の観客に一言お願いします。

この映画を、早く日本の皆さんに見てほしいと思います。この映画は、長い間アメリカ人に大きなインスピレーションを与え続けてくれた日本の漫画やアニメに対するラブレターです。そして、原作にリスペクトをし、原作の心を大切にしながら作りました。あらゆる人に楽しんでもらえる映画になっていますので、ご家族、友だちなど、いろんな人と一緒に見に行ってください。

(取材・文・写真/田中雄二)

当記事はテレビファンの提供記事です。

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