医学博士が回答! 抗生物質は腸内細菌にどう影響がある?

マイロハス

2019/2/13 16:30

抗生物質
Stuart Bradford/The New York Times

健康に関するさまざまな疑問に、アメリカの専門家が答えます。今回は「抗生物質の服用後、腸の細菌叢(腸内マイクロバイオーム、腸内フローラとも)はちゃんと元にもどるのでしょうか?」について、リチャード・クラスコ医学博士が回答します。

Q: 抗生物質を服用すると、腸内細菌叢にはどんな影響がある? また、腸内細菌叢は完全に回復しますか?


A:ほとんどの腸内細菌はすぐに回復しますが、抗生物質服用の影響が長く続くこともあります。ですが、その変化はかならずしも有害とは言えません。

腸内細菌叢とは、消化管に存在する約10兆から100兆個の細菌やその他の微生物のことで、ビタミンの合成や薬の代謝を行なったり、病原体と戦ったりして健康の維持に貢献しています。「善玉菌」と「悪玉菌」の両方を殺す抗生物質のように(腸内)バランスを崩すものは病気を引き起こす可能性があります。

子どもが抗生物質を飲むと……

子ども
image via shutterstock

2016年のある研究データでは、幼児期に抗生物質にさらされると腸内細菌叢が変化し、その後の免疫反応が弱まることが示されています。

また、ほかの複数の研究でも、子どもの抗生物質の服用とぜんそくや肥満、炎症性腸疾患の生涯リスクが上がることが関連づけられています。これらの症状は、腸内細菌叢が媒介していると考えられています。

大人にも影響があるようです

薬
image via shutterstock

抗生物質は大人にも長期的な影響を与えることもあります。

スタンフォード大学のチームは、抗生物質シプロフロキサシンを服用した健康な男女の便から集めた90万個を超える遺伝子サンプルを検査しました。4週間後には大部分の腸内細菌叢が通常レベルに戻ることが判明しましたが、6か月たってもまだ数が減少したままの細菌もありました

もっと長期で大規模な追跡研究では、「(腸内細菌叢が)抗生物質によって乱されることで、それまでとは異なった環境ができて、それが安定するという変化も起きるのかもしれません。その影響の全貌はまだ明らかではありません」と締めくくられています。

一方、メリットもある

腸内フローラ
image via shutterstock

腸内細菌叢の変化が有益な影響をおよぼす例としては、抗生物質が心臓病のリスクを高めるある分子の形成を抑制するという科学的根拠があるそうです。

アメリカ国立衛生研究所のヒトマイクロバイオーム・プロジェクトでは、最新の遺伝子技術を使って、腸内細菌叢のすべての遺伝物質の配列を解明しようとしています。

新しいデータが増えるにつれ、微妙なことがわかりつつあります。それは、抗生物質は腸内細菌叢によい影響と悪い影響の両方を与えるようだということです。

腸内細菌、たいせつに。


(C)2018 New York Times News Service[原文:Does the Gut Microbiome Ever Fully Recover From Antibiotics?/執筆:Richard Klasco, M.D.(医学博士) ](翻訳:ぬえよしこ)

当記事はマイロハスの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ