甘えることは一つの強さ…ロスジェネ世代が下流に落ちないための5か条

日刊SPA!

2019/2/13 15:54



バブル崩壊後の’93~’05年の就職氷河期に社会に放り出され、その後のキャリア形成期にデフレとなり、給料が上がらないまま36~48歳の中年になったロスジェネ世代。就職、結婚、資産形成など人生におけるさまざまな局面で辛酸を舐め続けたロスジェネ中年たち。「失われた20年」という泥沼に陥った世代がもう一度這い上がるために必要なものとは!?

◆甘えることは一つの強さ、“受援力”を身につける

『下流老人』『貧困世代』などの著書でも知られる社会福祉士の藤田孝典氏。ロスジェネ世代が下流に落ちていく姿も目の当たりにしているという同氏は、彼らが抜け出すための生存術として“受援力”を説く。

「ロスジェネ世代は重労働や貧困に陥ったことで、視野が狭くなっている印象があります。常時うつ病のように、短絡的思考になりがち。こういうときに、相談に行くことを恥ずかしいと思ってはダメです。社会保障の制度にアクセスして、援助を受ける力、これを僕たちは“受援力”と呼んでいます。甘えることは、強さです」

受援力を身につけるために、まず大前提が“健康”だと話す。

「月並みですが定期的に健康診断に行き、健康管理をすること。酒やギャンブル、向精神薬以外にも適切なストレス発散法を見つけること。心身の健康を取り戻せば、自然と“受援”にまつわる情報は入ってくるようになります。また、家族や友人、趣味など依存先を分散させることも重要です」

視界が明るくなったことで、ようやく頼れる“支援”、“社会保障”が見えてくるという。ただし、その時も見極めが必要とも。

「ロスジェネ世代に向けた公的な支援制度は、残念ながら現時点ですべて手遅れ感が強いと感じます。例えば彼らに向けた就労支援の中身も、結局は低賃金・長時間の労働者を再生産する仕組みになっています。仕事の中でも介護や看護など需要は多いのですが、資格を取得しても低賃金労働。これではいくら頑張っても抜け出せない」

そこで藤田氏が挙げるのが「理論的な就活」だ。

「資格や専門性など自分の強みをつくるのはもちろんですが、それと同時に産業の動向に目を配ることが求められます。『就職四季報』に目を通すのも有用ですね。例えば一見キラキラしたIT系企業で300人雇用されても、5年後には5人しか残らないというケースもザラ。

逆にブラックな印象がある飲食業の中にも、従業員の平均勤続年数が20年以上という優良な企業もあります。しっかり見極めて、自分に合い、生活が安定する仕事を見つけてほしいです」

また家計面では、住宅費の割合にも目を向けたいとも。

「手取り収入から住居費を差し引いた残りを“アフター・ハウジング・インカム”と言います。日本は家賃やローンなどの住宅費負担が多く、この額が少ない国です。収入の3割を住宅費が占めてしまうようになると、おのずと生活が破綻していく。収入に占める住宅費の割合は、全体の1~2割以下に抑えて、残った分は貯金や自身の教育費に回したいですね」

一発逆転を狙いすぎずに、無理せずできる範囲を自分でやることは大前提と藤田氏。

「同じような境遇のロスジェネ中年たちで集まり、意見交換もするべきです。みんなで自助や共助だけでなく、公助としての社会保障や社会の役割を考えていく必要性があると思います」

<生き残るための5か条>

1.甘えることは強さ、受援力を高めよ

2.ストレス発散して健康管理も怠るな

3.人間関係の依存は複数に分配する

4.産業の動向に注視。就活は理論的に

5.家賃などの住宅費は収入の1~2割以下

【社会福祉士・田孝典氏】

’82年生まれ。20歳の頃からホームレス支援を始め、現在、さいたま市を拠点に生活困窮者の相談業務を行うNPO法人ほっとプラスの代表理事を務める。著書に『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新聞出版)など

― ロスジェネ中年の絶望 ―

取材・文/青山ゆずこ アケミン 佐口賢作 塩野芽生子 高島昌俊 姫野 桂 松嶋三郎 井上幸太 撮影/笠井浩司(KKフォトグラフ) 時永大吾 イラスト/神林ゆう

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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