「結婚式の準備から地獄が始まった」キレて絶叫する妻に、30代夫は…

女子SPA!

2019/2/13 15:47



【ぼくたちの離婚 Vol.9 あなたのせいで、わたしは不幸 #2】

2017年8月の同居・入籍直後から、妻・皆子さん(仮名、現在43歳)のモラハラに苦しめられることとなった田崎博さん(仮名、現在38歳)。二人とも職業は、“言葉を使うクリエイター”だ。しかしその言葉によって、一分一秒たりとも気の抜けない、地獄のような新婚生活が続いていた。

「あなたは視野が狭い、能天気すぎると、よく怒られました。一緒に雑踏を歩いている時、すれ違った人が皆子の肩に少しだけぶつかったりすると、まず僕が怒られるんです。『私、ぶつかられたんだけど、見てなかったの? 本当に視野が狭いんだから!』

電車内では、こんなこともありました。吊革につかまっていたら、隣にいた皆子からLINEが来たんです。『さっきまでそこにいた気持ち悪い中学生がつかまってたつり革なのに、信じられない。あなたは本当に視野が狭い!』

転居直後、マンションが外壁工事をやるというので、不動産会社に詳細を問い合わせたんですが、数日返事がなかったんです。そうしたら、皆子がめちゃくちゃ不機嫌になって、催促しろと僕に言ってくる。別に生活するぶんには支障ないから、もう少し待ってもいいんじゃない?と言ったら、『私がこんなに怒ってるのに、あなたはなんて能天気なの!』と強く叱責されました。連絡したいなら自分ですればいいのに、それは絶対にしない。全部僕にやらせて、少しでも気に入らなかったら僕を無能扱いするんです。

今にして思うと、皆子は自分のイライラを人のせいにする天才でした。どんな状況でも、自分が不快なのは僕のせいってことにする。僕に罪悪感を抱かせてコントロールするのが抜群にうまい。僕は毎日ビクビクしていました」

◆「まさか、自分の娘が結婚できるなんて」

こんな状況でも結婚式の準備は着々と進められていた。2017年の秋、ふたりは皆子さんの母親が住む山陰の某県へ、結婚の挨拶に行く。行きの新幹線車中でのこと。田崎さんは、皆子さんの母親と会うにあたって、数年前に他界したとだけ聞いていた皆子さんの父親がどんな人だったのか、仕事は何をしていたのか、確認しようとした。すると皆子さんは、見たこともない鬼のような形相で、「それって何? 田崎家から聞いとけって言われたの?」と冷淡に言ったそうだ。

「やんわり流すというよりは、“金輪際、その話をするな”という空気を出してきました」

モヤモヤを抱えたまま母親が一人で住むマンションを訪れると、またも田崎さんを違和感が襲った。

「向こうのお母さんが異常に緊張してるんです。ボケてるわけじゃなんですが、何を話しても上の空。会話も全然弾まない。聞けば、緊張でここ2日ほどろくに眠れてないって言うんです」

あくまで筆者の印象だが、田崎さんは決して相手を緊張させるタイプではない。物腰は柔らかく、相手の話をよく聞く優しい男性だ。

「結婚については喜んで承諾してくれたんですが、気になることが二つありました。ひとつは、皆子の子供の頃の話やお父さんの話が、母親である彼女の口から一切出なかったこと。もうひとつは、『まさか自分の娘が結婚できるなんて、夢にも思わなかった』とか『本当に、本当にありがとうございます』といった言葉を、不自然なくらい連発していたことです」

当日は市内のホテルに泊まることにした田崎さんと皆子さん。田崎さんは、皆子さんの母親が地元の食材を山のように送ってきてくれていること、公になった皆子さんの作品をすべてチェックしてくれていることを挙げて、「親子仲いいんだね」と言った。すると皆子さんは短く「いや、違うの」とだけ答えた。そして田崎さんに「うちの母、結婚式に来ないかもしれない」と告げた。

「びっくりして、なんで? と聞くと、高齢だし、いつもテンパってるし、あなたの家族に会えるとは思えないって言うんです。家で皆子から受けるストレスもあったので心が折れそうでしたが、結婚式まではバタバタして衝突も多いものだと友人からも聞いていたので、結婚式さえ終われば……と自分に言い聞かせました。絶対大丈夫だよと繰り返して、なんとか皆子をなだめました」

生真面目な田崎さんは、またも頑張ってしまった。しかしその結婚式は、準備段階から田崎さんにさらなる地獄を味あわせる。

◆結婚式は田崎さんの地元で

「僕の実家・新潟に皆子と挨拶に行って東京に戻ると、うちの母親から電話で『もし結婚式をやるなら、新潟でやってくれるとありがたい』と言われました。親戚も兄家族もみんな新潟だからと」

一方の皆子さんは「母親が結婚式に来ないかも」発言も含めて、田崎さんから見ても、あまり親族を呼ぶ気がないようだった。

「母親がこんなこと言ってるんだけど、と皆子に伝えました。ただ、強制力はないし、皆子が嫌なら東京でやるのでも、もちろんいい。僕はどちらでも構わないと言い添えました。腫れ物に触るように、慎重に言葉を選びましたね。君の気持ちが最優先だからね、と何度も念押しして」

すると皆子さんは、「それなら新潟でご両親と食事した料亭が結婚式場も併設してるから、そこでいいんじゃない」。田崎さんは「キレられなくてよかった……」と、心からほっとした。

「半年後の2018年3月に式場を予約して進めていきました。式場との連絡や予算・スケジュール管理は僕が一括して担当。皆子と相談しながら招待客、衣装、料理などを決めていきました。ところが、年末くらいから皆子が僕に強く当たりだしたんです。仕事が忙しいのに、なんでこんなことまでやらなきゃいけないんだ、と」

◆「あなたのせいで、私の結婚式はめちゃくちゃ」

準備に関しては、ほぼすべての仕切りが田崎さんで、皆子さんは希望を言うだけ。ちなみに、式の費用は全額田崎さん負担である。にもかかわらず、皆子さんの機嫌は悪くなる一方。ある時、皆子さんはかんしゃくを起こし、「新潟なんて遠くでやるから、やり取りが煩わしくなる。東京でやればよかった」と言い出した。

「え? と思い、だって君が新潟でいいと言ったから……と言いかけると、『誰が新潟なんかでやりたいもんか!』とものすごい剣幕で怒鳴りはじめたんです。『新潟なんかでやるから、私の親族が来られないじゃない!』と。4ヶ月前と言ってることが180度違う。もう、気分なんです。理屈じゃない。その瞬間の皆子の気分で、今までのことがすべてひっくり返される。一貫性のかけらもない。そして全部僕のせいになる」

田崎さんは「あなたのせいで、私の結婚式はめちゃくちゃだ。一生後悔する。どうしてくれるの!」とすごまれた。

「式まで2ヶ月を切っていましたし、招待状も送付済みでしたが、こんな状態で式なんて無理だと思ったので、キャンセルして別のところを探そうと提案しました。すると今度は、『そんな簡単に諦めちゃっていいの!?』と怒る」

田崎さんはなんとか皆子さんをなだめ、当初の予定どおり新潟で式を行うことを渋々承諾してもらう。不機嫌な皆子さんの指示で、式場側の担当者は2回も変えさせられた。変えてほしいと連絡するのは、もちろん田崎さんだ。こういう時、皆子さんは決して表に出てこない。

◆夫の母を「あの女」呼ばわり

「結婚式直前、皆子の希望で彼女がブライダルエステに通うことになりました。これも僕の全額負担です。ある時エステから帰ってきた皆子は、またも激しく荒れはじめ、『離婚する』と言い出しました。聞くと、私はまだ新潟で結婚式を挙げることに納得していない。このまま強行したら必ず遺恨が残って離婚することになる、と。

僕は最初に何度も『新潟でいいよね?』と念押ししましたし、キャンセルも辞さないと言った。でも皆子のなかで、それはなかったことになっている。自分は不本意なのに、僕が勝手に進めたことになってるんです」

結婚式まで残り数日。今キャンセルすればキャンセル料を何十万円も取られる。しかし皆子さんのメンタルは尋常じゃない。悩み抜いた田崎さんは、実家の両親とお兄さんにメールで事情を説明した。「なんとか最後まで説得を試みますが、もしかしたら式ができないかもしれません。もしキャンセルになったら、本当にごめんなさい」

「たくさんの人に迷惑がかかる、大金が無駄になると皆子にいくら説明しても、『だって私の親戚は来れないんだよ。私の気持ちはどうなるの?』『私は一生後悔するんだよ。納得してるのは田崎家とあなただけじゃない!』とがなり立てる。言ってることが、めちゃくちゃです。ほとんど錯乱と言ってもいい。最後には、僕の母親を“あの女”呼ばわりして、『あの女のせいだ。私たちが断れないことを知ってて新潟でやれと言ったんだ』と……」

◆厄介者の引き取り手

困った田崎さんは皆子さんに「当日、どうしてもやりたくないと思ったらやらなくていい。ただ、皆集まってくれるから、食事会だけは出てくれないか」と懇願し、了承を取り付けた。そして式の前日。東京駅で皆子さんの母親と待ち合わせ、皆子さんと3人で新幹線に乗り込んだ時、また事件は起こった。

「僕がバタバタしていて、皆子が東京駅の構内でミネラルウォーターを買う時間がなくなってしまったんです。するとものすごくキレはじめて、新幹線車内で荷物を床に叩きつけたんです。バーン!って。家の中はともかく、公衆の面前で暴力的な行動に出たのは、これがはじめてでした」

ところが、それを見ていた皆子さんの母親は何も言葉を発さなかったという。義理の息子を前にした我が娘の感情的な行動に、普通なら「やめなさい」だの「落ち着きなさい」だの発してもよいはずだが……。

「そこで確信しました。皆子の母親は、皆子が小さい頃から“こういう子”だということを、ちゃんと知っている。はじめて会った時に皆子の子供の頃の話をしなかったのも、皆子が結婚するのが意外だと驚いていたことも、過剰に感謝されたことも、すべてがつながりました」

田崎さんはため息混じりに言った。

「あの驚きと感謝は、“よくこんな厄介者を引き取ってくれました”って意味だったんですよ」

※続く#3は、2月20日配信予定。

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

【稲田豊史】

編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。

【WEB】http://inadatoyoshi.com

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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