竹内結子「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」視聴率急落原因を考えてみた。本当に女性の味方なのか2話

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竹内結子主演の木曜ドラマ「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」。情報を操作してクライアントのピンチを救う“スピン・ドクター”が主人公。キャッチフレーズは「天才トラブルシューターが女性の危機に立ち向かう」。

現実にあった出来事や事件をモチーフにして、女性の危機を華麗に救う……というコンセプトに期待したのだが、視聴率は第2話で5.8%にまっさかさまに急落。何がおかしいのか考えてみた。

モチーフは電通・岸勇希氏のパワハラ問題
先週放送された第2話のテーマは広告業界のセクハラとパワハラ。氷見(竹内結子)らが所属する鈴木法律事務所・危機管理部のクライアントは、大手広告代理店Dcideの人事部長・藤原(国生さゆり)とクリエイティブディレクターの谷(波岡一喜)。女性契約社員・佐藤(成海璃子)へのセクハラとパワハラが明らかになったのだ。

モチーフになっているのは、作家のはあちゅう氏による電通のクリエイティブディレクター、岸勇希氏へのセクハラ・パワハラ告発。「Dcide」のDは電通のDだろうし、「岸勇希」と「谷将輝」って名前も似せている。佐藤が受けていた「夜中に呼び出されて正座させられ、罵倒される」というパワハラもはあちゅう氏が受けていたパワハラとほぼ同じ。佐藤がSNSのインフルエンサーだという部分も、はあちゅう氏に寄せている。

谷は佐藤に「体を使う仕事に変えてやろうか? なぁ」とも言っていたが、これは偶然にも松本人志の「お得意の体を使って~」という炎上発言と被っていた。どこにでもこういうことを言う人っているんだなぁ……。

佐藤の要求は谷の謝罪。だが、藤原と谷は一貫してセクハラ・パワハラの事実を認めようとしなかった。そうこうしているうちに、佐藤は暴露本を出版することになる。タイトルは『ブラックダイアリー』。元ネタはジャーナリスト・山口敬之氏からのレイプ被害を告発した伊藤詩織氏の著書『Black Box』だろう。

ところが、顔と実名を出して告発を行った佐藤に対して世間は「売名行為」「ビッチ」と大炎上。実はこの大炎上、氷見が版元の編集者をそそのかして仕向けたものだった。あれ? 「天才トラブルシューターが女性の危機に立ち向かう」んじゃなかったっけ? 氷見のパートナー・与田(水川あさみ)も「ああいう女には絶対裏があるの! 野心の塊だから」なんてことを言っている。『リーガルV』の米倉涼子と同じこと言ってるな……。

盗作三昧のクリエイティブディレクター
事務員の真野(斉藤由貴)によって谷による作品が実は盗作三昧だったことが判明する。これはクリエイティブディレクター・佐野研二郎氏の盗作問題がモチーフだろう。大手広告代理店はノルマ達成のため、谷の盗作を看過していた。そして盗作が露見しそうになると、谷のセクハラとパワハラを認めて切り捨てようとする。

また、かつて谷と佐藤が交際していたことも判明した。佐藤は自分の野心のために谷に接近したが、谷の才能を見限って別れを告げていた。谷は自分を振った若い恋人を逆恨みしてパワハラを続けていたのだ。

クライアントの要求にしたがい、氷見は佐藤に暴露本の出版を撤回するよう諭すが、「女性の地位向上のため」と言い切る佐藤は取り合わない。このとき、氷見は「谷さんとの素敵な思い出もあるんじゃないですか?」と説得するのだが、このフレーズはパワハラ・セクハラされた相手への説得の材料にはなり得ないだろう。家庭内でDVを受けていた女性に「旦那さんとの素敵な思い出もあるんじゃないですか?」と言うようなものだ。

結局、代理店に切られた谷は藤原とともに謝罪会見を開き、その後退社。代理店の上役たちの要求どおり、盗作については隠蔽されたままだった。盗作の被害者の立場は……。そして谷と佐藤の交際が大々的に報じられ、暴露本の出版は中止になる。これで一件落着となっているが、別に交際があったところでハラスメントはハラスメントなのだから、出版が中止にはならないと思う。ドラマ側は、交際があったからセクハラもパワハラも訴え出るに値しないとでも言いたいのだろうか?

どうでもいいが、合コンのシーンの水川あさみが吉岡里帆のモノマネをしているようにしか見えなかった。


『QUEEN』の問題点を考える
第2話にして、ドラマのコンセプトとストーリーがこんがらがっているように感じる。

今回、スキャンダル専門弁護士の氷見たちに依頼するクライアントは制裁を受けるべき「加害者」のほうだった。氷見たちはクライアントの要求にしたがって「加害者」を守るために火消しをしつつ、「被害者」を助けることになる。だが、「被害者」の救済に力点を置くと、氷見たちは「加害者」からの依頼に応えたのか? 彼女たちは有能なのか? という疑問が湧く。つまり、ゴールの設定がはっきりしていないのだ。

『QUEEN』のような1話完結ドラマを観る視聴者たちは「スッキリ感」を求めている。『水戸黄門』を観ていた人たちのメンタリティと変わりない。だが、ゴールがわからない『QUEEN』にはスッキリ感がなく、さらに話の運びに疑問がいくつかある。

ラグジュアリーな大手弁護士事務所という設定にしたため、クライアントは高額報酬を支払うことができる組織(人)のみになるが、これも「女性の危機に立ち向かう」というテーマと矛盾を起こしている。何なら、駆け込み寺のような貧乏弁護士事務所の弁護士たちが駆けずり回って、男社会や組織に苦しめられている女性の危機を救う話のほうが痛快で良かったんじゃないだろうか。

竹内結子演じる氷見のキャラクターもイマイチよくわからない。でっち上げを匂わせる編集者に「さすが敏腕編集者」「被害者って言葉は強いですからねぇ」とお愛想を言っているのだが、それ、いる? したたかさを演出しようとしているのかもしれないが、醜悪なやりとりだった。そもそもクライアントを守るため(風向きを変えるため)、被害女性である佐藤の顔出しを薦めて炎上させたのは氷見である。とても「逃げ場を失い崖っぷちに立たされている女性の心に寄り添い、手を差し伸べ、危機を救うべく奔走」(公式サイトより)しているようには見えない。

彼女のスピン・ドクターという仕事を考えれば、本当の敵は興味本位で炎上させる大衆ということになるのだろうが、佐藤に対する世間のバッシングは収まることはないだろう。野心がある女は叩かれても仕方ないとでもいうのだろうか? また、次々と事実が発覚し、氷見たちはその対応に振り回されているようにも見える。「数手先まで物事を予期する策士」にも見えないし、出来事の羅列になっているから登場人物の心情も掘り下げられない。

スピン・ドクターを描くというコンセプト、大手弁護士事務所という設定、社会で問題になっている事件をモチーフにして「女性の危機に立ち向かう」というテーマが齟齬を起こし、脚本がそれを落とし込めていないように感じる。第3話以降、立て直すことはできるのだろうか? 今夜10時から。
(大山くまお)

「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」
脚本:倉光泰子、三浦駿斗
音楽:SOIL&"PIMP"SESSIONS、田熊理秀、ハセガワダイスケ
主題歌: YUKI「やたらとシンクロニシティ」(エピックレコードジャパン)
プロデュース:貸川聡子(共同テレビ)、櫻井雄一(ソケット)
演出:関和亮、横尾初喜、山岸聖太、戸塚寛人
制作著作:共同テレビ

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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