時代を反映“恐ろしい女”演じ続けた市原悦子さん 役者の哲学ひょうひょうと

 ◇市原悦子さん死去

 市原さんとの出会いは忘れられない。今から22年前。「家政婦は見た!」が初めて連ドラ化され、撮影現場へ会いに行った。

 カメラマンがドラマの役柄風な写真を撮りたくて「木陰からのぞいてみてください」と要望。すると市原さんが「あらっ…」と遠くを見つめて驚くので、カメラマンと2人で視線の先を追ったが何もない。「どうしました?」と尋ねたら「だって演技しろって言ったでしょ」。カメラマンと2人で「背筋が凍った…」と漏らしたほどの演技力だった。

 魅力の一つに、低い声で語尾がやさしく消える語り口があるが「本当はもっと高いの。でも役者として声の幅が欲しくて出せるようにしたの」と秘話を明かしてくれた。そして常に意識したのは「時代」だった。

 「なぜ“恐ろしい女”を演じ続けるのか?それは現代を表しているから。やはり時代を反映する役者じゃなければ意味がない」。役者としての哲学を現(うつつ)を遊ぶかのごとく、ひょうひょうとした風情で体現した、凄い人だった。(編集局次長兼文化社会部長、阿部 公輔)

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