久保王将、オキテ破りの6二王 ゴキゲン中飛車8手目いきなり

 ◇第68期王将戦7番勝負第1局第1日(2019年1月13日 静岡県掛川市・掛川城二の丸茶屋)

 3連覇を目指す久保利明王将(43)に5期ぶり復位を狙う渡辺明棋王(34)が挑戦する、平成最後の7番勝負が開幕した。振り駒で先手番を得た渡辺の居飛車に対し、久保はゴキゲン中飛車を選択。角交換後は細かな駆け引きが続き、駒がぶつかることなく渡辺が43手目を封じた。シリーズの流れを決める開幕局は、14日午前9時開始の2日目に指し継がれる。

 平成最後の7番勝負は、時代を締めくくるにふさわしい重厚なスタートとなった。大方の予想通り、戦型は居飛車と振り飛車の対抗型。久保は4手目に[後]5四歩と5筋の歩を突き、角道を開ける「ゴキゲン中飛車」を選択した。本命の一つながら、8手目[後]6二王に控室から「早くも珍しい手が出た」と声が上がる。その主は、2年連続で開幕局の正立会人を務める郷田真隆九段(47)だ。

 2年前に王将位にあった郷田は久保を挑戦者に迎えた。同じ手順で進んだ開幕局、後手の久保の8手目は定跡の[後]5五歩だった。タイトル戦の久保を誰よりも知る郷田がうなる工夫の一手。渡辺も「序盤で構想から外れた」と、駒組みにじっくり時間をかけた。

 久保は1手損を承知で、自ら角を交換。左桂を跳ねて飛車を2筋に転回し、相手の飛車先交換を防ぎながら左銀を中央に進めた。その久保が美濃囲いから銀冠に組み替えようと8筋の歩を突いた瞬間を狙ったか、渡辺が飛車を2筋から[先]4八飛と回った。久保が[後]2四歩と仕掛けると同時に戦いが勃発し、穏やかな初日が一転激しい展開になる。一方で、郷田がふと「千日手があるかも」とつぶやいた。久保がこの日最長となる53分の長考で38手目[後]4一飛と4筋を受けると、控室が色めき立った。

 以下[先]2八飛[後]2一飛…と繰り返されれば千日手となり、先後を入れ替えて指し直し。だがその4分後、渡辺はあっさり[先]7五歩と指を左辺に動かした。「手詰まりのようで、そうではない局面が続いている」と渡辺。高レベルな押し引きが続いた。

 久保が飛車を2筋に戻した局面で渡辺が24分考え、手を封じた。「先手番なので打開しなくてはいけない。手得を生かす展開にしたいが、どうなっているか。すぐ終盤になるような将棋ではない」と渡辺は持久戦を覚悟。久保も「早い展開になるか、まだ駒組みが続くかは見えてこない」として、開戦の時期を挑戦者に委ねた。

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