『仮面ライダーウィザード』悲しみを胸に秘め戦う、"希望"の魔法使いライダー


現在放送中の『仮面ライダージオウ』(2018年)で20作を数える「平成仮面ライダー」シリーズをふりかえる企画の第14弾は『仮面ライダーウィザード』(2012年)を取り上げる。『仮面ライダーウィザード』は、前作の『仮面ライダーフォーゼ』(2011年)が宇宙飛行士をモチーフとした"メカニカル"なキャラクターだったことを受け、趣向を大幅に変えた"ファンタジー"風味を盛り込んだヒーローとして創造されている。

『仮面ライダーウィザード』は、2012(平成24)年9月2日から2013(平成25)年9月29日まで、テレビ朝日系で全53話を放送した連続テレビドラマである。ウィザードというネーミングのとおり、本作のヒーローキャラクターには「魔法使い」という属性が与えられた。

突如、人間社会に出現した恐ろしい魔物「ファントム」。彼らは「ゲート」と呼ばれる"魔力の高い人間"を狙って"絶望"させることで命を奪い、新たなファントムを生み出そうとしていた。ゲートとして狙われる人々を絶望から救い、自らが"最後の希望"となってファントムに挑んでいく者がいた。それが「指輪の魔法使い」こと仮面ライダーウィザード/操真晴人(演:白石隼也)であった。

仮面ライダーウィザードのモチーフは"指輪"と"宝石"で、左手にはめた "指輪"とマスクのデザインが共通している。晴人は「ウィザードリング」と呼ばれる"魔宝石"の入った指輪をはめ、変身ベルト「ウィザードライバー」にかざすことによってウィザードに変身を完了する。基本形態は「火」の属性を持つ赤い"魔宝石"の「フレイムスタイル」で、戦闘状況に応じて「水(青)」のウォータースタイル、「風(緑)」のハリケーンスタイル、「土(黄)」のランドスタイルと、4種の属性形態を使いこなしている。

従来の平成仮面ライダーは全身を硬い装甲で覆った武骨で戦闘的な外見が基本であったが、「ロングコート」を身にまとったウィザードはファッショナブルで、華麗に戦う魔法使いのイメージを強調している。魔法を発動させるウィザードリングが常時手にはめられている関係上、「パンチ」技を使うことができないウィザードは、その分「蹴り」のアクションに重点が置かれた。コートをひるがえしながらファントムを蹴散らしていくウィザードのアクションには優雅さとヒーローとしての力強さの両方が感じられ、観る者に強いインパクトを与えた。

ファントムに目をつけられたゲートは、さまざまな方法(思い出の品を壊される、自分の夢を踏みにじられる、など)で"絶望"に追い込まれ、アンダーワールド(精神世界)から新たなファントムを生む。ファントムはゲートの外見や人格の一部を受け継ぎ、元の人間の命は失われてしまう。ウィザードはゲートが完全に絶望してしまう前に「エンゲージ」のウィザードリングを使ってアンダーワールドに入り込み、ゲートの命を救うのである。第1話では、警視庁刑事・大門凛子(演:高山侑子)、そして第2、3話では魔法使いに憧れる奈良瞬平(演:戸塚純貴)というゲートが晴人に救われるが、これがきっかけとなって2人は晴人の仲間(瞬平は魔法使いの弟子入り志願)となり、その後のファントム関連の事件に関わっていくことになる。

晴人の安らぎの場所は輪島繁(演:小倉久寛)の経営する骨董店「面影堂」で、そこには人間に化けたファントムを見分ける能力を持った不思議な少女・コヨミ(演:奥仲麻琴)がいる。人間的な感情に乏しく、他人と関わろうとしないコヨミだが、晴人にだけ心を開いている。コヨミは晴人から魔力を分け与えてもらわなければ個体を維持することのできない存在で、ストーリーの進行と共にその謎めいた正体が明らかになっていく。

日常では移動ドーナツ店「はんぐり~」のプレーンシュガードーナツを好み、ひょうひょうとした態度でふるまっている晴人だが、魔法使いになった経緯は過酷かつ壮絶なものだった。半年前、晴人を含む大量のゲートが一か所に集められ、それぞれが絶望に追い込まれファントムを生み出す「サバト」が行われた。そんな中で晴人はアンダーワールド内のファントム「ウィザードラゴン」を抑え込み、絶望から脱したことによって謎の"白い魔法使い"からウィザードライバーとウィザードリングを与えられ、魔法使いとなった。

望むことなく魔法使いの能力を得た晴人だが、ゲートとなった人々を絶望から救い出すのを自身に与えられた使命として、自らの危険をかえりみずファントムに挑んでいく。見た目の明るさの裏に悲しい過去を隠している晴人の人物像は実に魅力的で、各エピソードに登場するさまざまな事情を抱えたゲートたちとの絡みによって、人間の感情に訴える熱きドラマが多く生み出された。

第17話からは新たな魔法使いとして、仮面ライダービースト/仁藤攻介(演:永瀬匠)が登場する。仁藤は、偶然にもビーストドライバーの「扉」を開いたことにより、体内のキマイラにファントムを食べさせ続けないと生きられない身体になってしまった。当初はウィザードがファントムを倒してしまうと、「食事の邪魔をした」と憤る様子を見せていたが、やがて晴人と意気投合し、よき相棒として共にファントムと戦うことになる。「みなまで言うな!」が口癖の、かなりおおざっぱな性格をした豪快な若者で、何にでもマヨネーズをかけて食べるのが好きという特徴がある。わりと真面目な晴人と、徹底的にアバウトな仁藤のコンビは好対照を成した。

ストーリーが進行するにつれて、ファントムを増やそうと企む黒幕「ワイズマン」の真の目的や、謎に包まれた正体が明かされていく。終盤では晴人と同じく絶望を抑え込んで「魔法使い」になる資格を得た者たち(稲森真由、飯島譲、山本昌宏)が「仮面ライダーメイジ」に変身するが、彼らはふたたび「サバト」が開かれるための道具として利用される存在だった。大勢の人間の命が奪われる危機を救うため、晴人はサバトを阻止するべく強大な"敵"に立ち向かっていく。

『仮面ライダーウィザード』の物語としては第51話「最後の希望」で完結しているが、続く第52、53話では『仮面ライダーディケイド』(2009年)の門矢士(演:井上正大)と歴代平成仮面ライダーが総登場するスペシャルなエピソードが作られた。第53話のクライマックスには、翌週から始まる『仮面ライダー鎧武』(2013年)も先行登場。ここでウィザードは「すべての人の自由を守る戦士の名」だと「仮面ライダー」の本質を語る"名言"を残している。

次回は、「フルーツ」を模した鎧に身をつつんだ複数のアーマードライダーたちが、それぞれの理想と正義をかかげて激しくぶつかりあう「ライダー戦国絵巻」というべき意欲作『仮面ライダー鎧武』の概要をご紹介したい。

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』は現在大ヒット公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

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