「死に至る中年の病」が増加…NASH、食道胃接合部がんの恐怖

日刊SPA!

2019/1/13 08:54



40代を超すと「病気」の話題も増えてくる。だが、三大成人病などメジャーな病気に注意していても、耳慣れないマイナーな病気に足元を掬われてしまうことも……。そこで「本当は怖い中年の病気」と題して、真の意味で中年が要注意な病気について紹介していく。第2回は「NASH」と「食道胃接合がん」だ。近年、増加の一途を辿る身近で危険な病気である。

◆予備軍1000万人の「NASH」とは?

NASHとは「非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis)」のこと。北青山Dクリニックの阿保義久院長によれば、近年、患者数の増加が著しいという。

「脂肪肝炎というと、過度な飲酒が原因というイメージがありますが、最近ではアルコールが要因ではない脂肪性肝疾患『NAFLD』が増加中。このNAFLDが重篤化すると『NASH』となります。この病気は2014年ごろから注目され始め、今ではNASHの予備軍であるNAFLDの患者は日本で1000万人もいると推測されています」

たかが脂肪肝と放置していると、生命にかかわる事態にまで発展。

「脂肪肝とは肝臓がフォアグラのようにぶよぶよな状態になることです。この状態から病状が進むと、肝臓の繊維化そして肝硬変につながっていく。最終的には肝臓がんへと進行するリスクもあります。肝臓への負担は主に飲酒が原因と考えられがちですが、NAFLD・NASHは飲酒習慣がなくてもメタボリックな人なら誰でも罹患している可能性がある。肝臓は“沈黙の臓器”と呼ばれているので、自覚症状がほとんどないことも注意を要するポイントです」

「自分は酒を飲まないので肝臓は大丈夫」との思い込みは禁物だ。

「まずは食生活を見直して、暴飲暴食をさけること。そして、定期的な健康診断を心掛けること。最近の医学において肝臓の疾患は早期に発見できれば対策は十分に可能です。中年太りが気になりだしたら、腹回りだけでなく肝臓も気にしてください」

沈黙の臓器のか細い悲鳴を、聞き逃してはならない。

◆胃がんでも食道がんでもない「食道胃接合部がん」

国立がんセンターの最新がん統計によると、日本人男性の部位別死亡数の第1位は「肺がん」、第2位は「胃がん」、第3位は「大腸がん」。がんで死亡する日本人男性の半数近くがこの3部位のがんであるが、前出の阿保院長によれば「近年『食道胃接合部がん』というがんが増加傾向にある」という。

「食道胃接合部がん」とは、読んで字のごとく食道と胃のつなぎ目に発生するがんである。

「胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌の感染減により減少傾向にありますが、日本人の食生活の変化により、胃がん以外の欧米型がんが増えてきています。食道胃接合部がんはその一種。昔は噴門がんとも呼ばれていましたが、この呼び方になったのは最近のことです」

このがんが増加中である原因は、食生活が欧米化し、肥満が社会問題化したことと密接に関係している。

「食道胃接合部がんの原因のひとつは『胃酸の逆流』。肥満などにより腹圧が上昇することで胃酸が逆流するのです。“頸(くび)”“胸”“腹”の3か所を手術するケースが多く、施術の危険性も高い。リンパ系にも転移しやすく、非常に厄介ながんです」

なんとも恐ろしいがんだが、予防など対策はあるのだろうか?

「初期に発見できれば対応できるので、内視鏡による早期発見が第一。このがんにかかわらず、がん対策には定期的な内視鏡検査を強くおすすめします。日本の内視鏡医療は世界でもトップクラスで、日に日に技術が進歩している分野。静脈注射によるほぼ無痛の内視鏡検査を行っている医療機関も増えています。医療関係者の中には、人間ドッグの際にバリウムによる検査をはさまず、直接内視鏡検査に進んでしまう人も多いですよ」

内視鏡大国・日本に住んでいるからには、その利点を生かさない手はない。

【阿保院長プロフィール】

阿保義久

東京大学医学部卒業。腫瘍外科・血管外科医。2000年に北青山Dクリニックを設立。下肢静脈瘤の日帰り根治手術・椎間板ヘルニアのレーザー治療・痛みのない内視鏡検査・進行がんに対する革新的治療―がん遺伝子治療まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。著書に『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』などがある。

― 本当は怖い中年の病気 Vol.2 ―

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