『平成ジェネレーションズFOREVER』山口恭平監督、『仮面ライダー電王』佐藤健と交わした10年前の約束


●平成仮面ライダー20作記念の映画にプレッシャーも
平成仮面ライダーシリーズが『仮面ライダージオウ』(2018年)で20作を数えたことを記念して製作された映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』が、2018年12月22日より公開中である。"仮面ライダーを愛してくれたあなたへ"というキャッチコピーがつけられたこの映画は、『仮面ライダークウガ』(2000年)から現在の『仮面ライダージオウ』まで18年間、20作品にわたって続いたすべての「平成仮面ライダー」を愛してくれたファンに感謝をささげるという、「平成」という時代が終わってひとつの区切りを迎える"今"でしか描けない、スペシャルな作品となっている。

ここでは、歴代「平成仮面ライダー」シリーズ各作品に助監督時代から深く関わってきた俊英・山口恭平監督にインタビューを行い、平成仮面ライダーの集大成とも言える本作のメガホンを取ることが決まった際の気持ちや、20人もの平成仮面ライダーが結集するクライマックスシーンの演出意図など、さまざまな興味深いお話をうかがった。

――『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の監督を……というお話が来たとき、率直にどのような思いを抱かれましたか?

いよいよ僕にも劇場版を監督する機会をいただけたんだな、という感慨が、まずありました。テレビシリーズをやりながら、いつかは劇場版も……という思いを持っていましたから。よしやるぞ!と気合いが入ると同時に、平成最後の仮面ライダー映画、しかも20作記念の映画ということで、すごくプレッシャーを感じました。劇場版がやれるぞ、やったー!というのと、ドンとプレッシャーが乗っかってきた。うれしさとプレッシャーの、両方の気持ちを持ちながら現場に臨みました。

――山口監督は『仮面ライダービルド』のテレビシリーズでも、いくつかのポイントとなるエピソードを手がけていますが、『ビルド』のストーリー展開は1話ごとにめまぐるしいまでに進んでいって、少し離れるとキャラクター配置や勢力図などがガラリと変化していたりして、驚かれませんでしたか。

そうなんです。第9、10話をやったあと、第15、16話に入ったのですが、展開がずいぶん変わっていたのでびっくりはしましたね。最初のうちからこんなに飛ばしていて、脚本の武藤(将吾)さんはネタが尽きてしまわないのかなと、勝手な心配をしていました(笑)。武藤さんはずっとそのペースのまま、1年間のストーリーをお一人で書かれたのですけれどね。一応、担当する話の前後の流れを確認しながら、今回はこういう展開でというのを踏まえてやっているんですけれど、やっぱり1話の中でも展開が速かったという印象でした。

――『仮面ライダージオウ』のキャスト陣とは、今回の映画で初めて顔を合わせるかたちになったとうかがっています。ジオウチームのみなさんの印象はいかがでしたか。

常磐ソウゴ役の奥野とは、番組開始前のPR映像撮影のとき、変身ポーズなどの演出をつけたことがありましたが、その他のキャストは初めて会いました。みんな初々しい印象を受けました。『ビルド』チームはみんな役の年齢も実際の年齢も例年より高めだったのですが、『ジオウ』はメインキャストの平均年齢がぐっと下がりました。歴代仮面ライダーの中でも低いほうに入るんじゃないかな。みんなフレッシュでありつつ、やっぱり慣れていないというか、粗削りな部分がどうしても出てきますので、「こういうところはこうやったほうがいいんじゃない」みたいなフォローをいくつかさせていただきました。これから先、どんな風に成長していくのか、が楽しみですね。

●印象深かった『仮面ライダー電王』

――今回の映画は、平成仮面ライダーを内側と外側から観るような"メタ"演出だったり、現在と過去を行き来して平成仮面ライダーの歴史を変えようとするスーパータイムジャッカー・ティードが現れたりと、かなり複雑な物語が大きな特徴ですが、下山健人さんによる脚本はどのように固まっていったのでしょうか。

ホン(脚本)作りはけっこう苦戦しましたね。やはり平成が終わるということと、平成仮面ライダーが20作を迎えたということ、それらを踏まえて、いつも以上に何か大きな意味を持つ作品にしたいというのが、スタッフみんなの思いだったんです。ただ仮面ライダーがたくさん出てきて、悪の軍団にワーッと立ち向かって……というものとはちょっと違うテイストで「平成仮面ライダーよ、ありがとう」みたいな感じのものができないかということを念頭に、お話を作り上げていきました。

白倉(伸一郎/プロデューサー)さんが「平成ライダーって言い方が、そもそもメタだよね」と言われたのが始まりなのですが、仮面ライダーのいる世界がわれわれテレビを観ている側からすればフィクション、虚構の世界なんだという、特殊な世界構造のストーリーになりました。時間の移動に加えて「現実→虚構」への世界の移動があり、脚本を読んだだけでは少し複雑な話ではあったので、演出する側としては観ている方々が混乱せず観られるように、気を配って撮影していきました。

理解できずに話が進んでしまうと、映画の魅力が半減してしまいますからね。ソウゴたちがいまどのような状態の中にいるのか、世界観としてこのシーンはどういう状況なのかなど、なるべく丁寧に描かなければ、という思いで取り組んでいました。

――『仮面ライダー龍騎』(2002年)より助監督として現場に入られている山口監督だけに、歴代平成仮面ライダーそれぞれに強い思いがあるのではないでしょうか。そんな中で、特に愛着があったシリーズを挙げるならば、どれになりますか。

確かに、助監督として、監督として毎年やってきていますから、各作品でその都度印象深い出来事、楽しい思い出がたくさんあります。そんな中で、特にというならば『仮面ライダー電王』(2007年)はいろいろな意味で印象に残っています。あのころ僕はセカンド助監督で入って、最後のほうでチーフをやらせてもらったという時期。モモタロスをはじめとするイマジンが毎回面白おかしい芝居をして、あれが本当に楽しかった。それでいて、楽しいだけの作品ではなく、ストーリーがちゃんとしていて、しっかりと見せる内容だったでしょう。毎回、新しい脚本が来るのが楽しみでしたから。

――今回の映画でも『仮面ライダー電王』でテーマとされていた「人々の"記憶"が時間を作る」という要素が用いられ、仮面ライダーを愛する人々の思いに応えるかのように歴代平成ライダーたちが次々に登場を果たすシーンが感動的に描かれていましたね。アナザーデンライナーやアナザー電王、新イマジンのフータロスなど、『電王』がらみのキャラクターが出てくるのも印象的でした。そして何より、サプライズゲストとして野上良太郎役の佐藤健さんが出演されたのには、ほんとうに驚かされました。

偶然ではあるのですが、今回『電王』がフィーチャーされているというのは自分にとってうれしいことでした。モモタロスの関(俊彦)さんをはじめとするイマジン声優のみなさんとは、助監督時代のつきあいでしたから、今回僕が監督をやりますと話したら「おめでとう!」と言ってくださって、ほんとうにうれしかったです。

(佐藤)健くんとは『電王』をやっている当時に、僕が監督をする時には出演してくれるという約束をしていたんです。もう10年近くも前の約束でしたが、健くんはその約束をまだ覚えてくれていました。とてもうれしかったですし、お互いのその約束が果たせて本当に良かったです。

この映画をやることで、自分としても今まで一緒に歩んできた「平成仮面ライダー」に恩返しがしたい、ありがとうの気持ちを返したい、という思いでやらせていただきました。

●平成仮面ライダーへの恩返し

――白倉さんもおっしゃっていましたが、今回の映画はまさに平成仮面ライダーの「送り手」と「受け手」が等しく「ありがとう」という感謝の気持ちを抱くことのできる作品になっているんですね。

本当にそうなんです。映画の中では、平成仮面ライダーを愛しているみんなの思いによって仮面ライダーたちが出現するという演出なのですが、どのカットも「愛」にあふれているというか「平成仮面ライダーへの恩返し」という、みなさんの愛を僕たちなりに注入させていただいています。スタッフ全員がそういう気持ちになって臨んでいました。

――桐生戦兎役の犬飼貴丈さん、常磐ソウゴ役の奥野壮さんの先輩・後輩ライダーの共演についてはいかがでしたか?

ソウゴと戦兎が雨の中で芝居をしているシーンがあるのですが、そこでは劇中の設定というより、俳優・犬飼貴丈として後輩の奥野に、仮面ライダーの先輩として思いを繋げると言いましょうか、「伝える」つもりで演じているな、と思いました。もちろん、表面上は台本のセリフを犬飼が言って、奥野がそれを受けているだけなのですが、それ以上の"メッセージ"を先輩から後輩へと伝えていると感じられたのがよかったですね。2人の心情を表すのに「雨」でいきたいと思って降らせたのですが、だんだん寒くなってきた時期で役者たちは大変だったと思います。それでもすごく雰囲気の出た、よいシーンになったと自負しています。

――平成仮面ライダー20人が大集合するというクライマックスのビジュアルが圧巻ですが、そこに至るまでに、クウガからエグゼイドまでの18人の仮面ライダーにもそれぞれの見せ場が盛り込まれていて、それぞれの仮面ライダーに思い入れのある人にとってはたまらない演出が観られますね。

限られた時間しかないですから、20人もの平成仮面ライダーにそれぞれの見せ場を与えるのは本当に難しかったですね。しかしアクションシーンに関しては、すべての仮面ライダーが活躍できる場面を作れるように努力しました。ポーズや決めゼリフなど、立ち回りのスタイルでも当時の動きをできるだけ取り入れました。

好きな方は「テレビで観ていたとき、この仮面ライダーはこんな戦い方だったよね」とか、すぐわかってもらえるような演出を意識的にやらせてもらいました。各仮面ライダーが「ライダーキック」も出すのですが、それぞれ放送当時と同じようなエフェクトを使っているので、これをご覧になった方はぜったい「懐かしい!」と思っていただけたと思います。

今回は、敵に対して一斉に20が同時にワーッ!とキックするのを避け、何人かに分けて仮面ライダーたちがキックしていく演出にしています。各仮面ライダーはみんなキックが個性的ですから、できるだけ1人ずつ見せたいと思ったんです。さらに、テレビシリーズではあんまりキックをしていない仮面ライダーも、今回の映画でレアなキックを見せますので、そういった部分も楽しんでもらえると思います。

――歴代平成仮面ライダーがそれぞれの専用マシンに乗って疾走するシーンもあり、大迫力でした。

あれこそ、僕が監督として参加して最初のころ、脚本が固まる前から「こういうことをやりたい」とお願いしていたところなんです。"仮面ライダー"ですから、みんなバイクに乗って走ってきてほしいと。そこで、現存している仮面ライダーのマシンがどれだけあるのか、捜すところから始めています。10年以上も前のマシンを掘り出してきて、可能な限り修理してもらって使ったものもありました。これだけのマシンが勢ぞろいしているのって、今までにはなかったんじゃないでしょうか。また、映画ならではといえば、20人の平成仮面ライダーがそろった背後でナパームの大爆発をやりましたね。あれだけの大爆発もなかなかできる事ではないので、ぜひ映画館の大スクリーンであの迫力を体験してほしいです。

――では最後に、改めて山口監督が映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に込めた"思い"をお聞かせください。

この映画では、なかなか歴代平成仮面ライダーが1か所に集合しません。最初から一気にドカッと集まって勢ぞろい、みたいな演出にしたくなかったんです。じらすようになかなか集まらなくて、何人かの仮面ライダーが小チームを組んで戦っていく中で、最後にバーンと結集する。20人の平成仮面ライダーを群として扱うのでなく、一人一人が"見える"ように描きたかったんです。平成仮面ライダーはどれも個性的ですからね。

今回、仮面ライダーのことが大好きな高校生・アタルが出てきますけれど、この映画ではみんなアタルの気持ちに乗っかってくれたらいいな、と思いながら撮っていました。平成仮面ライダー20作、どの作品が好きな方でも等しく楽しめる映画になっています。

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』は現在大ヒット公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

「ジオウ&ビルド」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映

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