<試写室>「私のおじさん―」一家に一人欲しい“妖精”エンケン

ザテレビジョン

2019/1/11 05:00

「おじさん」って聞いてしっくりくるのは何歳からだろう。

“三十路”は結構グッとくるものがあるし、30歳くらいか?

例えば男性著名人で30歳(1989年生まれ)といえば岡田将生、内村航平、香川真司…あまりおじさん感ないな。

じゃあ35歳(1984年生まれ)はというと、赤西仁、水嶋ヒロ、速水もこみち…うん、ないな。

いやいや40歳(1979年生まれ)は? 堂本剛、窪塚洋介、三宅健…なんか、ますますなくなってきた。

うん。チョイスもあるかもしれないが、芸能界の方々は若々しいから参考にならないですね。

でも、芸能界でも“おじさんのプロフェッショナル”的な人は少なからずいる。その中でも失礼ながらよくも悪くも「おじさん」という言葉が特に似合う男こそ、エンケンこと遠藤憲一だ。

そんな彼が“ただのおじさん”ではなく、“妖精のおじさん”になる異色作がいよいよ始まる…。

各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。

今回は1月11日(金)にスタートする岡田結実主演ドラマ「私のおじさん~WATAOJI~」(毎週金曜夜11:15-0:15ほか、テレビ朝日系)を取り上げる。

■ Introduction

同作は、ポンコツ新人アシスタントディレクター(AD)の一ノ瀬ひかり(岡田)が、ある日突然現れた妖精を名乗るおじさん(遠藤)から、毒のある応援を受けながら過酷な仕事に取り組んでいく“お仕事コメディー”。

恋にやぶれ、働き口もなくし、人生崖っぷちのひかりが就職したのは、「テレドリーム」という名の制作会社だ。

入社式もそこそこに超過酷ロケで有名なバラエティー番組「限界MAX★あなたも私もヤッテミー!!」に配属されたひかりは、裸足に革靴の適当プロデューサー・泉雅也(田辺誠一)の雑な指示で、早速ロケ現場へ。

しかしそこには、理不尽過ぎる“デブチーフ”ADの出渕輝彦(小手伸也)、働き方改革を盾にするイマドキADの九条隼人(戸塚純貴)、通称“ババア”のお局アシスタントプロデューサーの馬場桃花(青木さやか)、そしてやり手だが“超クソ男”の番組ディレクター・千葉迅(城田優)といった、ヤバ過ぎる面々との出会いがあった。

無理難題ばかり押し付けられ、一生懸命頑張っても怒られるばかり。「もう辞めてやる!」とトイレの個室に泣きながら駆け込むと、「おじさんが慰めてあげようか?」という声が。

恐る恐る振り向くと、便器に座ってほほ笑むおじさん(遠藤)の姿が…。

「え、変態!? ストーカー!?」と絶叫するひかりに、おじさんは自らを「妖精」と名乗る。

その日から、ひかりにしか見えないらしき“妖精おじさん”は、会社でもプライベートでも四六時中そばにぴったりと張り付き、何かにつけて横から愚痴や文句を挟んでくるようになる。

そして、言いたいことも言えず、何事も笑ってやり過ごすひかりに「うれしくないのに、何で笑ってるの? ムカついたんじゃないの?」と言い放ち…。

■ 独断と偏見のレビュー

このドラマの情報が解禁になった時「エンケンさんが妖精になる」と聞いて…名バイプレーヤ―に一体何をさせるんじゃテレ朝さんは!と思ったもので、そっちに気を取られて正直内容があまり入ってこなかったのだが、なるほどそういうことか。

このDVDを見終わった今ほど「百聞は一見にしかず」という言葉を使いたくなったことはない。頭の周辺にプカプカ浮いていた疑問符たちが一気に消えていった。

それにしても、三度の飯よりドラマが好きな筆者としては、エンケンさんよりむしろ主演=岡田結実ということに驚いたものだが、「女優宣言」の第一歩としてここで起用したのはうまいかも。

女優としては新人同然の彼女だが、もともとバラエティーで引っ張りだこの人気タレント。

彼女がドラマに慣れていない部分を業界慣れしていない新入社員の“オドオド感”で相殺し、バラエティー畑の彼女がバラエティーのADをやるという何とも言えない適材適所感。おかげで過去の出演作と比べて自然体の演技に見えた。

おまえは何様やねんという声がチラホラと聞こえてきたので、ここらでブレイク。

そして何はともあれエンケンさんですよ。バナナは駄目。いや、バナナは駄目よ。大事なことだから2回言ったけど、階段に座ってバナナは…あかん。

さておき、エンケンさんといえば、ふと笑みを消せば震え上がるくらい怖い顔…いや、怖い演技を見せてくれる名優なのだが、スイッチを切り替えると一気にコメディーまっしぐら。

かわいくて仕方ないエンケンちゃんになってしまうからあら不思議。あの笑顔は人を幸せにするし、確かにつらいことがあってもあんなふうに一緒になって敵に文句を言ってくれたら、たとえ解決しないとしても気が楽になりそうだ。一家に一人、エンケンありの時代がくるといいな。うん、怖いね。

それにしても「誰なんですか?」「妖精だよ」って、この二人のやりとりだけでも十分に楽しめるが、本作もキャラの宝庫だ。

イケメンは何でもありか!の城田のキラースマイル&ドSっぷりに、見た目は紳士なのにテキトー男が似合う田辺、もはや素なのか役なのか分からない戸塚の現代っ子感、“お局あるある”を地でいく(?)青木も捨てがたいが、個人的には2018年のフレッシュおじさんオブ・ザ・イヤーに選びたい“コテシン”こと小手伸也のキャラにひかれた。

恥ずかしげもなく言えば、「コンフィデンスマンJP」(2018年、フジテレビ系)で初めて顔と名前が一致した役者さんだが、それからあの独特のフォルム…じゃなくて存在感のある演技、ダンディーな声、まろやかな語り口、一歩間違えばゆるキャラグランプリに出場しそうなチャーミングさ…こんなにクセの強い俳優を見落としていたとは、われながらまだまだ甘いな。

イケメンの無駄使いならぬ、コテの贅沢使いとはこのことだってくらい、彼の“魅力”がふんだんに盛り込まれたキャラだ。喋り方もそうだし、クレームをつけられた時の木陰を利用した軽やかな責任逃れ、さすがとしか言いようがない。

相変わらず三輪祐見子GP、貴島彩理Pの“おっさん”の扱いのうまさには頭が下がる。

そしてアクの強いおじさんたちの一服の清涼剤となり得るのが、ドラマデビューの玉田志織。第1話ではちょこっと出ただけだが、一瞬で4月の軽井沢のように爽やかな風が吹いた。

さて、冒頭の話じゃないが、自分ではまだまだ若いと思っていてもそろそろ徹夜が堪えるような体になってきた筆者はもうおじさんなんだろうか。

でも、たとえ面と向かって「おじさん」呼ばわりされてもいいから、岡田結実をそばで見守るというポジションになりたいものだ。

え? 駄目なの?

あ、もう閉店ガラガラですか。(ザテレビジョン・文=人見知りシャイボーイ)

https://news.walkerplus.com/article/175077/

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