遠方に住む老親の孤食問題。親に作り置きを届ける「親つく」を上手にこなすコツ


人口の3割弱が65歳以上という超高齢社会の日本。一人暮らしのお年寄りも約600万人いるといわれ、孤食がもたらす偏食・栄養失調の問題がクローズアップされています。

そんな一人暮らしの老親の孤食の弊害をなくそうと、子どもが親に作り置いた食事を届けることが一般化しつつあります。

料理教室『アトリエ・グー』を主宰し、「グー先生」の愛称で親しまれている林幸子さんも、その1人。遠くに住む実家の母にはクール便でおかずを送り、隣県に住む夫の母には、つまめる料理や手作りスイーツを持参しており、それが20年あまり続いているそうです。いわば、親向けの作り置き(「親つく」)のエキスパート。周囲からよく「親つく」の秘訣を聞かれるそうです。

林さんが、それまでの経験で得た知識、そして「親つく」向けのレシピをまとめたのが、9月に大和書房より刊行された『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』です。様々なレシピ以外に、「親つく」に便利な小ワザ・コツも網羅されており、子ども世代には参考になります。
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介護じゃないけど、やっぱり心配だから 親に作って届けたい、つくりおき
介護じゃないけど、やっぱり心配だから 親に作って届けたい、つくりおき
1,512円


今回は本書から、「親つく」のコツをいくつか紹介したいと思います。

食べきりサイズで小分け


「親つく」の基本は、1食あたりごはん&一汁一菜(汁物&惣菜を1品ずつ)。単品で小分けにするのが、選ぶ楽しみがあってよいと林さんは述べています。大きな容器だと、親が使った箸を入れてしまいがちで、不衛生というのもあります。
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料理は1回で食べきれるサイズに
Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

容器は使い捨てを用いる


食べ物を入れる容器には、「思い切って使い捨て」を用いるよう、林さんはアドバイスします。

その理由は、食べ終わった容器を洗うのが親にとって負担となり、それを回収するのは子どもの負担になるからだそうです。

そこで、100円ショップなどで手に入るプラ容器を何種か買い置きすることを勧めています。

電子レンジで温めなおす料理は「電子レンジOK」の容器で。ひと目で中身が見えるよう、ふたは透明感のあるものを。また、お弁当のおかずカップは、少量のおかず用に重宝します。
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料理を入れる容器は100円ショップで手に入る使い捨てのもので
Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

冷凍庫でなく冷蔵庫で保存


ときには1週間分のおかずを作る通常の作りおきだと、冷凍保存が前提です。でも、「冷凍保存のほうが長期保存がきくから便利」は「親つく」では通用しないと林さんは言います。

その理由は、解凍するのが面倒料理のおいしさが伝わりにくいまだ食べなくてもいいと思われる点にあるそうです。対して、冷蔵庫ならそうしたデメリットはありません。

また、マスキングテープ料理名を書いて容器のサイドに貼っておくと、「冷蔵庫を開けるとなにが入っているかすぐわかります」と林さん。
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冷蔵庫を開けてすぐわかるようテープに料理名を書いて貼っておく
Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

マスキングテープにひと言そえて


マスキングテープの使い道は、料理名を記すだけではありません。電子レンジにかける時間の分数賞味期限を記して容器に貼っておけば、「ささやかなコミュニケーションになります」とも。
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「フタなしチン2分」というふうに記し容器に貼っておく
Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

みそ汁、出汁、ごはんも「親つく」で


本書には、毎日のみそ汁出汁(だし)、ごはんも、「親つく」で届ける方法が記されています。みそ汁は、お湯を注いで混ぜるだけできあがる「みそ玉」に、出汁はペットボトルに入れて長期冷蔵保存ができるように、ごはんはラップに包んで茶巾しぼりに、と林さんの工夫が込められています。

例えば、みそ玉は以下の要領で作ります。

【材料(5~6杯分)】

みそベース(1単位)

・みそ:大さじ4

・粉がつお:大さじ1

塩蔵わかめ:10~15g

長ねぎ:10cm

【作り方】

1. ボウルにみそと粉がつおを入れ、ゴムベラでよく練り混ぜ、みそベースを作る。
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Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

2. 塩蔵わかめは洗ってすぐに水気をしぼり、幅5mm~1cmに切る。長ねぎは縦八つ割りにし、端から幅5mm~1cmに切る。
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Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

3. ボウルに1と2を入れて合わせ、練り混ぜる。
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Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

4. 6等分に分けてラップで茶巾にしぼって包む。
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Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

5. ビニタイなどで結んで閉じて保存容器に入れる。
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Image: 『介護じゃないけどやっぱり心配だから 親に作って届けたいつくりおき』

みそ玉は、冷蔵庫で約2週間もちます。


本書には、多数のレシピが掲載されているので、ついつい意気込んで作ってしまうかもしれません。

ですが、林さんは「親つく」を、気負わずに、「おいしくできたから食べてみて」、「自分の作るついでだから」くらいの気軽さでするのが大事だと教えます。

また、親が食べていなかったからと落胆したり、苦情を言ったりするのはNG。1日3食をまかなおうと意気込まず、無理のないスタイルで続けてみるのが一番よいそうです。

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Photo: 南雲保夫

Image: Michael Nivelet / Shutterstock.com

Reference: 総務省, 内閣府

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