『科捜研の男』フジ月9のプライド捨て“火曜サスペンス劇場”化…主演は船越英一郎


 今クールの“フジ月9”ドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)の第1話が7日、放送された。

科学捜査研究所(科捜研)の新米法医研究員・沢口ノンナ(新木優子)は出勤初日、日頃からスタンドプレーが目立ち科捜研内で浮いた存在の真野礼二(錦戸亮)が、ある事件で警察の許可を得ず勝手に死体を捜索しに行くのに付き合わされる。そこでバラバラにされた五十嵐美加の死体を見つけた沢口は、真野と共にこの殺人事件を担当することになる。

2人は、ベテラン刑事・虎丸良平(船越英一郎)が死体の解体場所だとにらんだ、美加が滞在していたホテルの浴室を捜索するも、証拠が出てこない。すると虎丸ら刑事たちが去ったあと、真野は部屋のなかにあるあらゆる物を勝手に科捜研に持ち帰り、調査を行う。真野と沢口は徹夜で調査を行い、それを知った虎丸は激怒するが、実は美加の母親が美加の死の直前に、そのホテルの部屋で美加と会っていたことが判明した。

さらに美加と母親が、美加の父親にDVを受けていた事実をつかみ、さらに美加が死の直前、母親をホテルの部屋に残したまま実家のマンションに行き、父親と2人で部屋に入っていったあとから消息が不明になっていることが、防犯カメラの映像から判明。虎丸は、父親が実家で美加を殺害したあとに浴室で遺体を解体したと読み、家宅捜索を行うが、またもや証拠は出てこない。その帰り際、憤りを感じた沢口は、感情的になって母親に本当のことを話してほしいと訴え、虎丸から再び激怒される。

しかし翌日、母親は、父親が美加の頭を殴ったガラス製の灰皿を警察に差し出し、虎丸は父親に事情聴取を行うが、父親は否認。真野は、もし美加が実家で父親に頭を殴られて、遺体発見現場まで運ばれたのであれば、マンションの廊下にその血痕が残っている可能性があると考え調査すると、血痕の状況から、美加は実家を出た直後に隣の部屋に連れ込まれたことが判明。捜査の結果、その部屋の男性が美加を殺害して遺体を遺棄していた事実が明らかとなったのだ。

そして無事に事件を解決した沢口は、嬉しそうに「やっぱり正義は勝つ」と発言すると、真野は何か“引っかかった”ような表情を見せるところまでが放送された。

●全体的にあまりにグロテスク

フジ月9といえば、1990年代のトレンディードラマブームを牽引した枠として知られ、これまでも主に若者をターゲットにした恋愛モノがメインとされてきたが、本作にはこれまでのフジ月9のテイストは皆無で、暗くて重苦しいサスペンスものに仕上がっている。主演は錦戸なのだが、終始ボソボソと話し存在感がなく、それゆえに、尋常じゃなく“クサい演技”でわめき散らかしまくる船越ばかりが目立ち、もはや“主演・船越”状態だ(それにしても、船越は今、毎週月曜~木曜に3時間生放送されている『ごごナマ』(NHK)にMCとして毎回出演しているが、それを続けつつ、さらにほぼ出ずっぱりの連ドラの撮影をこなすなんて、58歳にしてどんだけハンパない体力と気力の持ち主なんだろうか。やっぱり正真正銘の“サスペンスの帝王”だね)。

そして「船越といえばサスペンス」「サスペンスといえば船越」だけに、途中からは完全に“火サス”(『火曜サスペンス劇場』<日本テレビ系>)を見ている気分に。若者のテレビ離れが叫ばれるなか、フジはついに月9のターゲットを、テレビのメイン視聴者層といわれる50代以上へと完全に切り替えたのだろうか。それはそれで戦略として理解はできるのだが、“フジ月9としてのプライド”を自ら捨てたともいえるだろう。

また、確かにDVや犯罪の残酷さをリアルに伝えようとする意図は理解できるのだが、やたらとバラバラ死体の画像が入り込んだり、沢口の下痢&嘔吐ネタが多かったり、暗い表情で美加に長々と“価値のない人間”だと諭す父親(吹越満)に辟易したり、その父親が熱々のシチューが入った鍋をつかみ、それを泣き叫ぶ美加と母親に垂らしたり、美加を部屋に監禁した隣人男性がヤバい表情で「美加が悪いんだよー、言うこと聞かないからー」などと言って抱きつき、ナイフで刺し殺したりと、全体的にあまりにグロテスクで、正直言って最後まで見るのが本当に辛かった。

明らかに従来の月9路線をかなぐり捨てたと思われる『科捜研の男』。視聴者の反応が気になるところである。
(文=米倉奈津子/ライター)

当記事はビジネスジャーナルの提供記事です。

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