杉田水脈議員は新宿2丁目を訪れ交流も…小川榮太郎氏、松浦大悟氏、稲田朋美氏と考える”LGBT法案”

AbemaTIMES

2019/1/8 08:00


 昨年夏、『新潮45』に掲載された杉田水脈衆議院議員の論文『「LGBT」支援の度が過ぎる』が波紋を呼ぶ中、「私は、LGBTの方々が自分らしく、人として尊重され、活躍できる社会を実現するため、特命委員会を立ち上げた。今、この委員会ではLGBTの理解増進のための議員立法の作業中だ。私は多様性を認め、寛容な社会をつくることが『保守』の役割だと信じる」とTweetした、稲田朋美衆議院議員。

杉田論文の騒動から約半年。5日放送のAbemaTV『 みのもんたのよるバズ! 』では、稲田議員の他、『新潮45』の特集企画にも寄稿した小川榮太郎氏と松浦大悟氏を招き、改めて自民党のLGBT政策とその問題点について議論した。

■「新宿2丁目を訪れた」杉田水脈議員の現在
 タレントのフィフィが週刊誌上での対談を杉田氏に申し込むも断られたことを明かすと、小川氏は「本人は出て喋りたいけれど、自民党執行部に止められている。"生産性"という言葉一つで、あらゆる電波を使って杉田議員の家族も含めた人格否定をやるのは社会の病気だ。私はこの番組を含め(AbemaTVに)3度出たが、他のメディアは私を隠したまま批判した。杉田さんが出てきて言いたいことを言った時には、議論ではなく致命傷になるところまで騒がれるだろう。その悪循環が起こっている。もう少しきちんとした議論ができる冷静な空間があれば、自民党も怖がらない」との見方を示した。

LGBTの当事者でもある元参議院議員の松浦大悟氏は「実はこの間、小川先生と一緒に新宿2丁目のゲイバーに行って、大変意気投合した。コミュニケーションが大事だと思う。左派の皆さんは杉田議員のバッシングばかりするが、実は杉田議員も新宿2丁目を訪れ、ゲイの皆さんとの交流の場を持ち、理解しようと努めている。自民党のLGBTの特命委員会にも出席され勉強をしている。人は誰でも間違える。その後の報道が大事だと思う」と話す。

稲田議員も、杉田議員が党の委員会で勉強しているとした上で、「執行部が止めているということはないと思う。ただ、騒ぎにしたくないというような気持ちは党にあると思う」とコメントした。

■自民党、稲田氏のスタンスとは
 自民党は2016年、2017年の選挙公約に「性的多様性を受け入れる社会の実現」を掲げ、2016年には稲田議員ら党の特命委員会が「LGBT理解増進法案」を検討。しかし、党内の反対意見は根強く、国会提出には至らなかったという。

一方、"伝統的な家族制度、結婚制度が崩壊する恐れがある"として、党としては一部の野党が主張する同性婚の法制化については否定的な立場を取っている。安倍総理も2015年4月、憲法24条を念頭に「憲法との関係において結婚は両性の合意となっている。慎重に議論をしていくべき課題だ」と答弁。稲田議員も同性婚については"時期尚早"との立場だ。

 稲田議員は「特命委員会を作ったのは3年前のことで、今ほどは注目されていなかった時期だ。防衛大臣時代もずっと取り組んできたが、なぜLGBTの理解を増進するという法案が出せなかったのかというと、"自民党がLGBT問題に取り組むこと自体が保守とは相容れない"とか、"病気や嗜好の問題を法律にする必要は全くない"といった反対の声が大きかった。私は人権の問題、生きていく上での"核"の問題として捉えているので、まずは党内の理解を増進していく必要があると思った。ただ、自民党は杉田さんがおっしゃった"LGBTを優遇するために税金を使うのはおかしい"というような主張はしていない」と説明する。

そんな稲田議員が主導する新「LGBT法案」は、「性の多様化への理解増進」「基本計画や施策を策定し実施する」といった内容を方針としている。

 稲田氏は「法案が出せなかった時に、省庁や教育現場でこういうことをやってくださいという33項目の要望を自民党から出して、それで随分改善した。しかし、省庁の取り組みや学校の教育の中でしっかりと教えていくことを法律でやらないと、LGBTの子どもたちがいじめられたり、それを苦にして自殺をしたりということが起こる。この問題は人権やアイデンティティの問題だということが理解されない限り、一足飛びに法律を作ったとしても実効性がないというのが自民党の考え方だ」と話す。

「自民党が目指しているのは、カミングアウトをしなくていい、カミングアウトしても"あ、そう。だから何?"と言える社会。権利を拡大するとか、差別を禁止するとか、予算をつけるとかではなくて、LGBTの問題が趣味とか病気とかいつでも変えられるものではない、本当に生きていく芯だということを理解してもらおうということだ。この問題を考えることは、親子関係を考えることにもつながる。私は血のつながりが全てではないと思う。血がつながっていても虐待する親もいる。親子関係はもっと社会的なもので、血のつながりがなくても子どもだ、家族だと思って大事に育てれば成り立つ。そういう色々な問題を考えるきっかけにもなる。法案は通常国会での提出を目指している。このように議論をすることが非常に重要だ。私もレインボーパレードに参加したが、みんながとても幸せそうだった。安倍総理も理解されていると思う」。

■小川榮太郎氏「稲田さんの考えには反対だ。拙速だと思う」
 これに対し、小川氏は「私は稲田さんと同じ保守だし、民間の立場で安倍政権を応援しているから、スタンスは近い。しかし、この問題についての稲田さんの考えには反対だ。拙速だと思う。欧米では法律を制定したり、様々なことをする必要があったが、日本社会は全文明の中でも歴史的に先進国だ」と指摘する。

 「この問題を最も先鋭的に批判し、罪としてきたのはキリスト、イスラム教という一神教だ。その延長で、特に男性の同性愛はごく最近まで犯罪とされてきた。宗教上の罪でもあるし、かつ刑法犯でもあるということだ。さらに国連でも1980年代まで同性愛は精神病理だった。これはおかしい。好きになってしまうものを犯罪や病気にされたらたまらないし、私も同じ立場に立って戦う。そして、これを犯罪ではないという形で解放してあげるためには、法律制定運動をせざるを得ない。だから欧米は過激で、今まで犯罪者だった人を、30年間でいきなり結婚ができるまでに持っていった。しかし、日本はそうではなかった。権力を持っている人にそういう人もいたし、社会に居場所あって許容されてきた。もう少し社会にヒアリングをし、議論を深めるべきだ。カミングアウトをしていない人、将来にわたってカミングアウトをするつもりのない人も含め、緩やかな合意がどこに出てくるのか、ということをもう少し揉んだ方がいい。そもそも全てを法律化していくことは全体主義だ。政治が色々なところで法律の網の目を作っていくことはむしろ危険だ。社会において、ある特定のカテゴリーのものを法律で"これは差別をしてはいけない。これは理解しなければいけない"ということをやっていくと、人々の中で逆の作用が起こってくる」。

 フィフィは「欧米は宗教的な価値観が強いので、日本とはちょっと性質が違う。法律まで制定しなければ、その意識が解放されないと思っていたからそこまで極端な動きになる。でも、愛の形やその表現の仕方は人それぞれ。法律ではなく、教育でやるべきだ」と主張する。

「自民党は、具体的に何をやりたいのか。理解の増進は学校のカリキュラムに入れていけばいい。色々な人が共存できるような素晴らしい社会にしましょうと言うが、他人事だ。本当は親にもそういう教育が必要だ。いざ自分の子どもにカミングアウトされたら、というようなことまで考えた教育にはなっていない。また、メディアも存在を特別扱いしていると思う。テレビに出てくる同性愛者は特異な表現をする。カミングアウトした途端、"オネエなんでしょ、その言葉で喋って"と言われると新宿2丁目で聞いたことがある。メディアの責任も大きい」。

■松浦大悟氏は立憲民主党の"罰則"に懸念
 この自民党案に対し、野党・立憲民主党が提出する方針の「LGBT差別解消法案」では、「差別解消は国・自治体の責務」で、公務員が故意に個人情報を漏洩すれば1年以下の懲役か50万円以下の罰金を科すという内容が盛り込まれている。また、「企業に採用の機会均等、解雇の差別禁止を求める」とし、勧告に従わなければ企業名を公表するとしているほか、学校長には相談体制整備を義務付けるとしている。

 松浦氏は「先日、東京の美容院で、美容師さんに"LGBTって何ですか?"と聞かれた。私の地元・秋田のおじいちゃん、おばあちゃんは誰も知らない。それが今のこの国の状況。だから、知ってもらうことから始めないといけない」とした上で、「自民党は無理解からくる世間の偏見をなくすために教育や自治体の啓発活動によって変えようとしているボトムアップの法案だが、立憲民主党は罰則を設けて差別を禁止することによって世の中を変えようとしている。国家主導で、トップダウンでそれをやることはどうなのか」と懸念を示す。

 「LGBTが差別だと感じるものについては社会的障壁として撤去しようというのが立憲民主党の法案だ。その中には"慣行"も含まれていて、たとえば小さな女の子を除いて男性しか参加できないようになっている大阪の岸和田のだんじり祭はどうなるのか。もしトランスジェンダーやレズビアンが参加したいと言った時に参加させなければ、この法案では差別になる。あるいは宝塚市の中川智子市長が女性であることを理由に相撲の土俵の上での挨拶を断られたが、この法案ができればトランスジェンダーやレズビアンだった場合は断ることができなくなる。そうなると、中川市長はどうなるのだろうか。私は差別だと思うし、地域の皆さんが形を変えていくのはありだと思う。ただ、こういうことを国が主導して決めていいのだろうか。個人ではなく、公務員や事業者に罰則が課せられるが、事業者に出版やメディアが入ってくる可能性もある」。

さらに松浦氏は「一橋大学の大学院生がゲイだということをアウティングされ、お亡くなりになった事件を受け、国立市がアウティング禁止条例を作った。これが非常に問題だと当事者の間では言われている。LGBTの人に告白されたら、それを墓場まで持っていけというのか、当事者間であっても会話が成立しないじゃないかと」と指摘した。

 レズビアンであることを公表、同性婚の結婚式を挙げたことでも話題になったタレントの一ノ瀬文香氏は「個人を罰するわけではないので、その意味では立憲民主党のLGBT差別解消法案がおかしいとは思っていないし、自民党の理解増進法もLGBTを応援するものなので、どちらにも期待している」とコメントしていた。

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