「うちの子、天才!」と思う“親バカ”の方が、子どもが賢くなる理由

ウレぴあ総研

2019/1/7 10:30

あなたは自分の子どもに対して、特に理由はなくても、「あの子はすごい力がある!」「うちの子はすごいかも!」という『前向きな期待』を持てていますか?

前向きな期待を持った子育ては、実際に大きい成果が得られるようです。

一方、「あの子は本当に何をやってもダメ…」「この先、不安で仕方がない…」と不満や不安のほうが大きい場合は、要注意です。その不満や不安こそが、子どもの才能や可能性をつぶしてしまう何より大きな要因になるかもしれません。

心理学者の植木理恵先生の著書『やる気を育てる!』と、植木先生のお話を元に、「子どもに前向きな期待を持つことで得られるものと子どもに期待しないことで生じる恐ろしい結果」、そして「子どもに前向きな期待を持つ方法」についてお伝えします。

■ウソが本当に!? 実験で証明された「期待を持つこと」のすごい力とは?

期待を持つことの大切さについて、植木先生は、ある有名な実験を紹介してくれています。

心理学者ローゼンタールが、小学生のクラスを対象に行った実験です。

ローゼンタールは、クラスの名簿からランダムに何人かの生徒をピックアップして、「先生、この生徒たちはすごい才能のある子どもですよ」と、学級担任にウソの断言をしました。

心理学者からそんな情報を伝えられると、学級担任は当然「この子たちはすごい才能のある子なんだ」と思い込み、期待をします。

そしてその結果、驚くべきことが起こります。一年後、本当にその子どもたちの成績は大きく伸びていたのです。

ランダムに選ばれた偽物の情報なのに、先生が抱いた期待感が暗に子どもたちに伝わり、現実の結果を生んだわけです。

最初から相手を「すごい」と期待して接していれば、教師は“自然な形で”相手のやる気を高める言動をします。あれこれ細かく指示せず、子どもの自主性を大切にし、前向きな言葉がけをするでしょう。そういった態度の違いが、結果の違いにつながったと分析ができます。

■「期待を持たない」ことで生じる恐るべき結果とは?

前述の心理学者ローゼンタールは、「どうせダメでしょう」という思い込みで、本当に成績が下がることも実験で証明しています。

彼は、今度は本当に「成績の良いクラス」と「成績の悪いクラス」の2つを分けて作りました。

そして、先生にはまたウソの情報を伝えました。成績の良いクラスのことを「成績の悪いクラスなんですよ」と伝え、成績の悪いクラスを「成績の良いクラスなんですよ」と、逆のことを断言したのです。

先生たちはその情報をまったく疑わず指導することになります。

その結果、どうなったか?

本当は成績の良いクラスは、大幅に成績が下がりました。

そして、本当は成績の悪いクラスは、成績が上がったのです。

周りに期待されないと、子どもは本当に成績が下がってしまうというわけです。恐ろしいですね。

ちなみに、心理学用語で、良いと信じれば良い結果につながることを『ピグマリオン効果』、悪いと信じれば悪い結果につながることを『ゴーレム効果』と言います。

■子どもに前向きな期待を持つ「具体的な方法」とは?

子どもには前向きな期待を持って接することが大切。

そうは言っても、

「やっぱり子どもに対して前向きな期待が持てない…」「ネガティブに考えてしまう…」というママも少なくないでしょう。

植木先生は、子どもに前向きな期待を持てないのは、『何事も平均値(もしくは平均値以上)を期待しすぎているからでは?』ということを指摘してくれています。

たとえば、「勉強もある程度できて、スポーツもある程度できて、明るくて、社交的で、友達ともいつも良い関係を築ける」…こんなできた子どもは、まあ滅多に存在しないわけです。

ところが、そんな「平均的になんでもできる子」を親は望みがちです。心当たりはありませんか?

そして、この中のなにか一つが欠けていると、そこばかりが目について「うちの子は本当にダメ!」となってしまいます。

『子育ては、平均値を望むのではなく、どんな子どももなにかひとつは持っている“良いところ”に期待し、褒めることが大切』だと、植木先生はおっしゃっています。

子どものなにかひとつの良いところを褒めることで、“やる気のスイッチ”が入ります。すると、『エネルギーの全体値』が上がり、他のところも底上げされてどんどん伸びていくのだそうです。

たとえば、国語・算数・理科・社会・英語の中で、国語だけは点数が良い子だとしたら、「漢字すごいよく書けているね」「国語よくできるよね」と褒めます。すると、国語はもちろん、他の教科に関しても点数が上がる傾向が、実際によく見られるそうです。

『“何事も平均値や平均値以上”を期待するのではなく、“一点集中期待”をする』…これならできるのではないでしょうか?

***

植木先生の著書を読み、そしてお話をお伺いする中で、子育てや子どもの教育で大切なのは「やり方」ではなく「あり方」だということを強く感じました。

今まで「やり方」にこだわっていたというママは、これからは「どういう気持ちで子どもと関わっていくか?」という方向にシフトチェンジしていくべきかもしれません。

植木先生の著書には、子どもとの関わり方のヒントがたくさん載っています。すべて心理学的見地と植木先生のカウンセリングの実体験から来ているものなので、子育てで参考にできるところがたくさんあると思います。

ぜひご覧になってみてください。

【取材協力】植木 理恵(うえき りえ)

心理学者、臨床心理士。東京大学大学院教育学研究科教育心理学コース修了後、文部科学省特別研究員として心理学の実証的研究を行う。日本教育心理学会において最難関の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を史上最年少で連続受賞。現在、東京都内病院でカウンセリング、慶應義塾大学で講師をつとめる。また、「ホンマでっか⁉TV」にて心理評論家として人気を博す。

学術的研究にとどまらず、『本当にわかる心理学』(日本実業出版社)、『シロクマのことだけは考えるな!』(新潮社)など、一般向けに心理学を解説した著書多数。

当記事はウレぴあ総研の提供記事です。

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