30年間を総まとめ!男の子の人気名前ランキングTOP10

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2019/1/5 16:45

平成の30年間で人気のあった男の子の名前TOP10とともに、30年間の名づけの特徴から読み取れる、平成の社会についての考察と、今後の名づけの傾向について考えてみたいと思います。

平成の30年間総まとめで!男の子の名前人気ランキングTOP10

明治安田生命より今年の名づけランキングとともに、平成の時代のランキングも発表されました(出典:明治安田生命発表の名前ランキング2018)。

でも実はどんな名前に人気があったかという順位よりも、むしろそれをもとに、どのような発想の「名づけ」が行われたのかを知ることのほうが意味のある重要なことなのです。

平成30年間の名づけの特徴

名づけには、いつの時代でも一定の数の人がしている名づけがあります。たとえば、家の習慣や家族の繋がりを大事にする名づけ(例:親子で同じ字を使う)、また人間の能力や性格、目標などを表現する名づけ(誠、修、学、博、優、秀、真などの字を入れる)、また字画占いに従う名づけなどです。

そして年号を記念する名づけもあり、大正時代は「正」の字が、昭和の時代には「昭」「和」の字が名前に多く使われました。平成になった後は「翔平」という男の子の名が流行しましたが、平の字はもともと昭和の時代から男の子によく使われていた字で、実は平成の時代にとくに年号を記念する名づけが増えた、という形跡はありません。

また人気の名前というのは、年によって順位が変わることはあっても、名前そのものはあまり大きく変化はしません。しかし「名づけ」に関しては平成の30年間の中では特徴的な傾向というものも見られました。次より傾向を1つずつ考察していきます。

平成の時代は、音やイメージから作る名前が主流に

昔の男の子の名づけといえば、好きな漢字を決め、それに単純に「男」「夫」「雄」などの字をつける、ということが多かったのですが、昭和の終わりごろからそうした名づけのパターンが崩れ、平成になってからは、漢字ではなく、音やイメージを浮かべながら名前を考えることが主流になりました。この名づけは親の好み、本音が表現されやすく、平成の名づけの良い所といえます。

ちなみに「ゆうゆう」「ゆったり」という言葉が示すように、ユの音はゆとりをあらわしますが、平成の終わり頃になりますと「ゆうき」「ゆうか」「ゆうすけ」などユウで始まる呼び名が男女全体の15%近くになっています。公園で「ゆうちゃん」と呼べば7人に1人が振り向くわけです。

また昭和の時代は、男の子で「たかよし」など4音の呼び名がよくありましたが、平成の時代は「こうた」「りく」など3音、2音の呼び名が多くなったのも大きな流れと言えるでしょう。ゆとりと開放感を感じさせる、シンプルな音の呼び名が好まれたということです。

平成の時代は、自然界を表す字が爆発的に増えた

人気の名前には、その時代、その社会に足りないものが表現されます。たとえば「実」「稔」「茂」「豊」などの一文字の名前が多かった時代は、日本全体が食糧難の時代でした。

平成の時代も名前に使われる字に大きな特徴が見られました。それは自然界に関する字が非常に多かったことです。昭和の時代にも男の子で「樹」の字など、自然界を表す人気の字はありましたが、平成に入るとなかば常識のように、海、空、太陽、星、季節、動物、植物、色、音、風などに関する字で名前が作られるようになりました。

■男の子に人気のある自然界に関する字
翔、陽、輝、生、晴、樹、汰、蒼、也、朗、颯、瑛、琉、柊、馬、湊、貴、陸、駿、隼、海、理、煌、空、蓮、泰、楓、光、晃、音、雄、惺、碧、寛、英

自然界の文字が爆発的に増えた背景は、日本全体が都市化され、自然と接する機会が少なくなったこと、そして自然環境が破壊されていくことへの不安の表れと見ることができます。また自然を表す字は言い替えれば、結婚式場や旅館の部屋の名前にもよく使われる和風の字でもあります。

今やあらゆる意味で世界が日本に関心を向けており、私たち日本人も外国をまねることより、日本の良さを守りたいという意識が強くなっているはずです。この傾向はおそらく今後も続くことでしょう。

平成の時代は、おおらかで優しい人間関係を表す字も多かった

人は、生きている環境に欠けていることを表す字が好きになり、名前に使いたくなるものです。たとえば戦国武将の名に「信」の字が多かったのは、人を信じにくい時代だったからです。

平成を通じて男の子で高い人気を保ってきた字に、「大」「優」の字があります。今は単身世帯が増え、買い物ですら無言でする時代、人間同士のコミュニケーションが急速に薄れ、何十万人もの高齢者が行方不明という先進国では珍しい社会になってしまっています。

陰湿ないじめやストーカーも多く、図体のでかい男が老女のバッグをひったくるような犯罪も珍しくなくなった中で、多くの人が人間のスケールの大きさ、優しさを願ってきた時代と見ることができます。

平成の有名人の影響を受けた名前

人気順位が上がった名前は、著名人の影響だと言われることが多いですが、名前の順位というのは常に動くもので、必ずしもそのように断定はできません。ただ明らかに著名人の影響で世の中に増えたとか、また順位を押し上げ、人気を持続させたと考えられるケースはあります。

2006(平成18)年、悠仁(ひさひと)様のご誕生のあと、悠の字がますます人気が上がりました。そのほか名前の人気を維持させたり、さらに押し上げたと思われる有名人は、内村航平さん、福士蒼汰さん、藤井聡太さんなどです。

また「結」の字は、もとは女の子の名前にしか使われませんでしたが、最近は結斗、結人など男の子の名にも多く使われています。これもスケートの羽生結弦さんの活躍が無かったら起きなかったことでしょう。

キラキラネームや読めない名前が増えた

平成の1つの特徴として、いわゆるキラキラネームと呼ばれた超奇抜な名前の増加が挙げられるでしょう。これは新しいトレンドのようにも言われましたが、実は大正から昭和の前半にもよく見られた古い名づけの1つなのです。これが平成に入ってから再び少しずつ増えて平成20年代には全盛期に入りました。

といってもつけた人は全体から見れば少数派ですし、平成も終わりに近づく頃には、そういう名前を見ても誰も驚かず、むしろ陳腐になって頭打ちになってきたようです。キラキラネームは今後は衰退しそうです。

ただし特別に奇抜ではなくても、辞典に無い読み方で人に読めない名前は依然として増えつつあります。それは、平成の中頃からは名前の人気ランキングの中にも入ってきました。平成30年発表の名前を見ても、約12%の男の子に辞典に無い読み方の名前がつけられています。

ただし辞典に無くても、人気の名前になったために多くの人に読める、という名前もあらわれてはいます。たとえば平成の大人気の名前の1つである「大翔」は「ひろと」と読まれることが多いですが、もともと翔の字に「と」の読み方はありませんでした。

でもこの字を多くの人が「とぶ」と読むようになり、ついには「とぶ」の読み方を載せる辞典も出ました。大翔(ひろと)の名を多くの人が読めれば、あまり不便はなくなります。名字の東海林(しょうじ)さんや長谷川(はせがわ)さんみたいなものです。

ちなみに、「名前の読み方に関する法律は無いから、どう読ませても自由だ」という話も流れています。でも漢字の読み方は個人が勝手に決めるものではありません。名前のふりがなも親の良識にまかされていて、わざわざ法律で決めてはいませんが、法律が無いから良識を捨てていい、ということではありません。

男女の分からない中立的な名前が増えた

さらに、これもあまり良いこととは言えませんが、男女両方につけられる、いわゆる性別不明の名前も平成を通じて少しずつ増えています。平成30年発表のランキングでも、男の子の18%ほどに性別不明の名がつけられています。

これは知らずにつけてしまう人も多いですが、実は男女不明の名のほとんどは、男の子に女の子の名がつけられたことから起きています。たとえば「あおい」「はる」「ひなた」「みずき」「しおん」「まひろ」などの呼び名は、平成の初めには女の子にしかいなかったのが、次第に男の子にもつけられてしまったものです。最近でも「玲」「楓」という女の子の名が男の子にもかなりつけられています。

つまりもともと女の子の名であったものが男の子に増えたために、性別不明の名になってしまったのですから、女の子につけた親に落ち度はなく、男の子の名づけの時にこそ注意してほしいことなのです。

逆に平成の初め頃に男女両方につけられていた「れん」という呼び名は、その後次第に男の子に多くなって、平成の終わり頃には圧倒的に男の子の名になっています。

平成に増やされた漢字の影響は?

名前に使える漢字の数は法律で決められていて、その数は平成の間に7回増やされています。そのうち表にあげた漢字は、その後名前によく使われるようになった人気の字です。このように使用できる漢字が追加されたことも名づけに影響を与えています。

ただよく誤解もされるのですが、これは名前に使いたいという私たち国民の希望をもとに漢字が増やされて、それが流行したのではありません。名前に使える漢字が増やされる時は、希望が多いかどうか、名前に向く字かどうかはまったく吟味されません。無作為に大量に増やされた後で、たまたまそのうちのごく一部の漢字に人気が出てきたということです。


しわしわネームの意味するもの

平成も終わりに近づく頃、古風な響きの名前に人気が出始め、しわしわネームなどと呼ばれてもいますが、この呼び方はあまり適切ではありません。人気の出ている古風な名前というのは、決して老人臭い名前ではなく、隆景(たかかげ)とか、智則(とものり)とかいう戦国武将のような名で、むしろ歴史的なロマンを感じさせる名前なのです。

今失われつつある伝統的な日本の姿を守りたい、そして男の子に武士のような颯爽とした姿を重ねる、という発想が表現されている名づけです。これが今後増えるか減るかは予想がつきません。

名づけの傾向から見た平成の社会とは?

以上のように、平成の名づけで良い特徴は、音やイメージを浮かべて名前を作ることが主流になったことでしょう。これは音や映像に囲まれて暮らしている今の環境をよく表しています。

逆にあまり好ましくないことを挙げれば、一部にですが、社会を意識できない名づけも増えたことです。名づけの際に初めから「人に読めるかどうかは気にならない」「男女はわからなくてもいい」と言われる人もいます。これは実は古い発想で、小さな村で顔見知りの人とだけ暮らす人が多かった時代は、そういう名づけでも良かったのです。

ただ今の時代の私達は、イヤでも広い社会とつながっています。知らない人に電話をしなければならなかったり、厳粛な場で大勢の前で名前を呼ばれたり、意識不明の状態で病院に運ばれることだって無いとも限りません。名づけはそうした広い社会の、あらゆる場面を想像しながらやる、という気遣いが必要です。人に読めない名前、男女を間違える名前は、社会で混乱を起こし、多くの人に迷惑がかかります。

そうした名前をわざわざつけようとするのは、社会に対するレジスタンスかもしれません。なぜならその人達がよく口にするのが「個性」と「自由」なのです。誰も干渉していないのに「自由」を叫ぶのは、縛られてきたような感覚があるわけです。そして無抵抗な赤ん坊の名づけが、個性や自由を感じとる最後の砦になっているとしたら、気の毒で深刻な話です。

名づけの傾向は、社会に欠けているものを知る手掛かりでもあります。物質的なことやITやAIばかりが話題にされてきた反面、精神面がなおざりにされてはいなかったか。若い人にみな同じ価値観を押しつけ、同じ競争をさせ、1人1人が自分の生き方についてゆっくり自由に考える環境を奪うようなことはなかったか、平成の名づけはそんなこともうかがわせてもいるのです。
(文:牧野 くにお(赤ちゃんの命名・名づけガイド))

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