VTuberがあの有名企業で活躍!? いま知っておくべき導入事例5選【中編】


昨年12月3日、「ネット流行語大賞 2018」が発表された。2018年にインターネット上で流行した言葉を投票によって決定するという同企画において、栄えあるグランプリに輝いたのは「VTuber」だという。

「VTuber」という言葉自体は聞いたことがあるものの、あまり流行っている実感がない、詳しいことはわからないと感じている人も多いのではないだろうか。しかし、そんな人でも知っているであろう有名企業がVTuberを活用するという事例も登場してきているのだ。

本稿では、それらの事例を紹介するとともに、企業側の狙いや今後の展望についてなどを掘り下げていく。
○中京テレビがVTuberアナウンサーを採用!

中京広域圏を放送対象とする中京テレビのアナウンス部には、「大蔦エル(おおつたえる)」と「キミノミヤ」というVTuberが所属している。現在は、それぞれ「ツタエルちゃんねる」と「Japanese HANJO! TV」というYouTubeの公式チャンネルや地上波番組への出演をメインに活動しているとのこと。

中京テレビがVTuberを導入するに至ったのは、5社のベンチャー企業と手を組んだ新規事業の立ち上げが始まりだったという。XR技術を持つアイデアクラウド社と、コンテンツ制作能力を持つ中京テレビがともに実現できるビジネスを探った結果、このようなアイデアが生まれたのだ。

大蔦エルは、ゲーム実況やeスポーツを中心にアナウンス活動を展開している。動画配信プラットフォームの「TikTok」が主催したNo.1 VTuberを決めるイベント「VToker総選挙」では、第1位を獲得するという快挙も達成。

一方、バイリンガルVTuberとして活躍するキミノミヤは、その特異な設定が功を奏して、海外のユーザーを中心に10万人以上のチャンネル登録者を獲得。中京テレビの担当者は、「これは、ローカルのテレビ局としてはこれまでできなかった、新たなファンの獲得だと思います」と語る。

「新たなビジネスツールであるVTuberを運用することで、これまで付き合いのなかったさまざまな企業から声がかかるようになり、大きな収穫となった」と担当者は続ける。

VTuberの導入に際しては、最先端のビジネスであり、なおかつライバルが多い市場でもあるため、とにかくスピード感が大事だと痛感したという。

担当者は「VTuberを使ってどんなビジネスをしていくかを各社が探っている状況で、いかに先手を打つかを考えています。また、ターゲットがテレビの視聴者とは少し異なるという点も、このビジネスの難しさだと思います」と、今後の展望を見据えている。

中京テレビのVTuberアナウンサーは、別のメディアやイベントへの出演、グッズ販売などIP(知的財産)ビジネスにも取り組んでいくとのこと。これからますます目にする機会が増えていくことだろう。

○DMM.com 20周年キャンペーン応援大使「星名こむ」

次に紹介する事例は、オンラインゲームや動画配信などを手がけるDMM.com広報部から「星名こむ」。電子生命体である彼女は、同社の宇宙進出に向けての広報活動を行っている。

年齢は20歳で、好きなものは短いドメイン。幼少期、地球と交信しようとした際に誤って転送され、以来DMM.comのサーバーに寄生しているとのこと。

同社は、2018年に創業20周年を迎え、8月からキャンペーンを展開してきた。その応援大使として抜擢されたのが星名こむ、というわけだ。

「VTuberならではの自由さとコラボレーションのしやすさに導入の手ごたえを感じている」と担当者が語るように、その活動は多岐にわたり、媒体としての機能をしっかりと果たしてくれている模様。

また、視聴者層は20~30代の男性が中心で、動画配信やゲームといった同社の主要なサービスにおけるユーザー層と合致しており、ダイレクトにメッセージを届けることができたという感触も。

一方、VTuberとしての活動をどこまで自由にやってもらうか決めるのに苦労したという悩みもあったそう。

「VTuberである以上、自分で自由に企画を考えたり発言したりして面白い動画を作ってもらう必要がありましたが、同時に会社の看板を背負ってもらうわけでもありますので、あまり過激な内容にならないように注意する必要もありました。ですので、YouTubeのコメント欄や公式TwitterなどSNSでの反応も傾聴しつつ、運用のガイドラインを策定していきました」と、担当者。

これからの動きについては「現在はまだマスに浸透するには時間がかかるだろうと判断し、マス広告での起用は見送っていますが、今後はYouTubeに限らないメディア展開ができればと思っています」と締めくくった。

デジタルコンテンツを生み出す土壌を持っていたDMM.comと、他社とのタッグにより自社のカラーを最大限に活かした中京テレビ。どちらの事例においても、所属部署をはじめとする細かな設定など、ターゲットに刺さるための工夫が随所に散りばめられていたのが印象的だ。次回、【後編】では、競合他社に先駆けてVTuberの導入に踏み切った製薬会社と飲料メーカーの事例をお届けする。

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