闇金で億単位を稼いだ男の転落と再生……処女作が話題の“伝説の不良”の素顔

日刊サイゾー

2018/12/29 19:30


 平成最後の年の暮れ。『歌舞伎町 阿弥陀如来』という自らの半生を綴った著作を刊行し、話題を呼んでいる“伝説の不良”がいる。背中には、阿弥陀如来の刺青。根城を新宿・歌舞伎町としていたことから、「歌舞伎町 阿弥陀如来」の異名を轟かせてきた藤井学氏だ。

札付きの不良を経て、20代で闇金で大儲けし、億単位の金を手にするも、仲間の裏切りやドラッグの罠に陥り、一度は地獄を見た男。著書にも克明に描かれている“ネオ・アウトロー”の半生は誰よりもドラマティックだ。そんな藤井氏の横顔とは──。

──アングラで生きてきた藤井さんが、自分が表に出よう、書籍を出そうとしたきっかけを教えてください。

藤井 ぼくは裏の世界の人間だと自覚をしていました。だけど、それではいけないと周りの人からいろいろ言われて、しょせん人生なんか短いし、面白おかしく生きれば勝ちじゃないですか。それで楽しく人生を振り返ることができればいいかな、と思ったのがきっかけですね。ほかの人たちが、ぼくの人生を面白がってくれたり、そこから何かを得てくれたりしたら本望です。

──裏の世界の人間というのは?

藤井 ガキのころから悪さばかりしていて、周りでは「誰が刺された。さらわれた」とかの事件は日常茶飯事に起こっていました。そんなのは真っ当に生きていれば味わえない世界じゃないですか。別に自分がそのような生き方を選んだのではなくて、気が付いたらその最前線を走っていた。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという自分に正直な生き方をしているだけなんですけどね。

──暴力団ではないですよね?

藤井 ぼくは違います。個人的に縁を持っているのは、本の後書きにも名前を出させていただいた棚本清己氏、亡くなられましたが、漫画の『代紋TAKE2』のモデルといわれている阿久津雄治氏。この2人の任侠がいわゆる世間でいわれる暴力団ですが、ぼくが暴力団の一員として扱われたり、お付き合いしたりとかは一切していないです。

──裏の世界の人だった藤井さんは、最初、ネットメディアの「R-ZONE」で連載を開始して名前が表に出るようになりました。反響はありましたか?

藤井 メチャクチャありましたね。藤井学はどこに向かっているんだろうとか、そんなこと言われましたね(笑)。

──自身では、それまで動画配信などもしていましたが、それとは違う感触でしたか?

藤井 あれは本当に遊びでやっていて、別にぼくの生き方を左右するようなことではなかったので。

──藤井さんの人生を変えたきっかけはなんですか?

藤井 さきほど名前を挙げた、棚本氏、阿久津氏をはじめとした人との縁ですか。それと本の後書きにも名前を出しましたが、親友だった(桜井)義光との出会い、そして彼の死がぼくの考え方、生き方を変えましたね。こいつが生きるはずだった人生を、ぼくは背負わなければいけない。それは何だとかは細かくは人には言いませんが、ぼくは義光の人生を背負って今も生きています。ぼくが死んだ時に義光に「学、ありがとな」と声を掛けられるかは、死んだあとなのでわからないですが。「余計なことしやがって」とかも言われるかも知れないですけどね(笑)。

──藤井さんが生まれた昭和51年や、その前後数年に生まれた、東京の不良少年史に名を残す有名な人間大勢いますよね。『歌舞伎町 阿弥陀如来』では、当サイトでもおなじみの瓜田純士や関東連合のメンバーなどと交友関係があったような記述が見られますね。

藤井 そうですね、好き嫌いは別にして、顔見知りですね。東京だけじゃないですよ。埼玉から神奈川、千葉の同年代の人間とは付き合いはあります。

──本を出版して何か変わりましたか?

藤井 変わらないです、人からは「本を出したね、応援するから」とかいろいろ言われますが、ぼくは今まで通り、自分の生き方を曲げる気はありません。

──本に書ききれていないことはありますか?

藤井 ありますけど、それは言う気もありません。ぼくが何か言ったり書いたりすると傷つく人間もいますから。

──まだまだ裏の部分はありそうですね。

藤井 それは当然ありますね。だけど何でも書けばいいというものじゃないですか。人の悪口を書くのは簡単だし、表に出ていないことで見てきたことはたくさんあるので、それを書くのも簡単です。だけどそんな曝露をするために本を書いたわけではありません。この本は裏社会の暴露本ではありません。そこはみなさんに理解をしてもらいたいです。

──最後に本を読んだ読者、これから読んでもらいたい読者にメッセージはありますか?

藤井 人間誰もが生きていれば壁にぶつかることがあると思います。その時に逃げるのは簡単です。だけど、ぶつかれば必ず解決します。逃げたら逃げ癖がつくし、周りからそんな人間だと思われてしまいます。ぼくは逃げずにぶつかり正面から戦った。勝ったとか負けたとか、そんなのは結果であり、どうでもいいんです。戦うことが大切なのをわかってもらいたい。そんな人たちに、少しでもぼくの生き方が参考になればと思っています。

* * *

現在発売中の『実話ナックルズ』(大洋図書)では、藤井氏と同じくネオ・アウトローと呼ばれる、歌舞伎町を根城に裏社会に生きてきた工藤明生氏との対談も掲載されているが、それも併せて読めば、平成という時代の社会の裏街道を彼らがどう生きてきたかがわかるはずだ。マスコミでは決して語られない、時代のひとつの側面を理解する上でも『歌舞伎町 阿弥陀如来』必読の一冊であろう。

『歌舞伎町 阿弥陀如来 闇東京で暴走を続けるネオ・アウトローの不良社会漂流記』
著者:藤井学/発行:サイゾー/定価:1300円+税

当記事は日刊サイゾーの提供記事です。

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