2019年元旦から京都・南座で幕を開ける松竹新喜劇『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』について久本雅美にインタビュー!渋谷天外、藤山扇治郎のコメントも

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2018年11月、約3年の改修工事を経て新開場した南座。2019年の始まりを飾るのが、松竹新喜劇による『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』だ。劇団代表の渋谷天外、NHK連続テレビ小説『まんぷく』で主人公・福子の同僚、野呂幸吉を演じ一躍人気を博し、宝塚歌劇元トップスター、北翔海莉との結婚でも話題を呼んだ藤山扇治郎ら劇団員に加え、久本雅美もゲスト出演。劇団創立70周年にふさわしい、『裏町の友情』『お祭り提灯』という代表であり人気の2作品を上演する。


渋谷天外は「新装開場した南座で、歌舞伎の顔見世興行の後に上演させていただくのは光栄です。八坂神社での初詣の帰りに、日本最古の劇場である南座で初笑いをしていただければ。“笑う門には福来る”で、福を持って帰ってほしい」といざなった。藤山扇治郎は「前回は、南座の改修工事の前の2016年の元旦から公演させていただきました。その時も久本さんに出ていただきました。今回もお正月から公演させていただき、久本さんとご一緒させていただけて嬉しいです。たくさんのお客様に観ていただけるよう、頑張ります」と意気込んだ。そして、新しくなった南座も隅々まで楽しんでほしいと呼びかけた。

南座で元旦から芝居ができることを女優冥利に尽きると喜びを語るのは久本雅美。「大好きな松竹新喜劇に呼んでいただき、感謝の思いでいっぱいです。劇団員の皆さまと楽しんで、お客様全員に笑っていただいて、最高な1年の始まりにしてください」と意気込んだ。

「久本さんはワハハ本舗で笑いを勉強して、うちの劇団では我々とは違うアプローチをされる。でも、芝居の枠からはみ出ることなく、ちゃんと笑わせてくれます。何も言うことがありません!」と久本の印象を語る天外。扇治郎も「久本さんがいらっしゃると稽古場が明るくなります。劇団というチームプレーの中で、自分がどこにいたらいいかなど常に考えておられて、喜劇役者としても尊敬しています」と話した。


また、創立70周年の松竹新喜劇について久本は、「70年も続けるなんてなかなかできないこと。伝統を受け継がれていて素晴らしいと思います。育てていくことも大事ですが、情熱を持って引き継いでいくという後輩たちの思いもあってのこと。ただただ、感動と尊敬の思いでいっぱいです」と語った。

『裏町の友情』では婦人会の元子を、『お祭り提灯』では金貸しのおぎんを演じる久本。作品について、さらに話を聞いた。
久本雅美 撮影=森好弘
久本雅美 撮影=森好弘

――松竹新喜劇へのご出演は今回で7回目となり、南座は2回目ですね。『お祭り提灯』での金貸しのおぎんの役も2015年の新橋演舞場以来、2度目です。おぎんは本来、金兵衛という男性でした。久本さんのために「おぎん」という新しい設定を作られたそうですね。

そうなんです。最初は演じるのは無理だと思いました。『お祭り提灯』は大好きなお芝居で、面白いなぁってケタケタ笑いながら観ていて。最後はスコーン!と痛快に終わるので、気持ちええなって。そう思っていたお芝居にまさか自分が出るなんて…と。「え~! そんな大役できるの!? 自信ないわ~」と言いながら、でもチャレンジさせていただこうと思って2015年に挑戦させていただきました。

――2回目ということで、役作りはどのようにお考えでしょうか?

前よりもどうやってパワーアップして、おぎんのテンションをどういうふうに上げていくか。そういう意味ではまた1からやり直しという感じですが、雰囲気は掴んでいます!

――『裏町の友情』では、婦人会の女性の役ですね。

仲の悪いクリーニング屋と炭屋さんのところに行って町内会費を集める役で、1シーンだけなんですけど、せっかく出させていただくので何か面白いことをせなあかんなと思っています。ワンアクションだけでもしようと。もちろん、舞台の邪魔にならないように。

――天外さんから「新喜劇とは」みたいな教えを受けることはあるのでしょうか?

全くありません。「久本さんがやりたいようにやってもらわないと意味がないから」とおっしゃってくださいます。役柄とか、話の道筋から離れたことはもちろんNGですが、ちゃんとそこに応じながら膨らませることに関しては、自由にやっていいよと。

――松竹新喜劇も、お役ごとにキャラクターが全然違いますよね。いろんな久本さんが楽しめます。

一つの役をいただけるということは、それだけ考え抜いてくださっているわけですから、それに見合ったようにお応えしていきたいと思いますし、それを面白がっていくのが役者だと思っています。どういう役でも。面白がって、お客様に喜んでもらうことを第一に頑張ってきたいと思います。

――今では松竹新喜劇にもすごくなじんでいらして、なくてはならない存在のようにも思えます。

それは劇団員の皆さんのキャパの広さゆえです。本当にありがたいです。最初はド緊張でしたから。でも、皆さんがウェルカム状態で、稽古場での私のお芝居もゲラゲラ笑ってくださって。受け入れてくださったからこそなので、本当にありがたいです。
久本雅美 撮影=森好弘
久本雅美 撮影=森好弘

――ご出演されるようになって以降、松竹新喜劇そのものの見方が変わるなど、何か変化はありましたか?

小さい頃は、松竹新喜劇は大人の芝居だと思っていました。でも、年齢を経て、どっぷり中に入らせてもらった時に、ようできた芝居やなと思いましたね。もう感心と感動ですよ。戦前、戦後の脚本も、お客さんに分かっていただけるよう、喜んでもらうよう劇団の皆様や演出家の方々が今の時代に合わせてリニューアルされていて。松竹新喜劇ならではの人情劇は宝やと思います。こういう芝居は他にないですから。泣いて笑って、笑って泣かせて、感動させて。本当にザ・喜劇です。。

――主人公も市井の人々で。

庶民の間でいろんな友情が芽生えたりとか、嘘ついて、ごまかして、最後はバレるとか、日常にありそうな面白おかしい人情劇です。そこに人間の悲哀や愛情、笑い、怒りなど、いろんな思いが描かれていて。1作品もそんなに長くない。これがすごい。普通は3時間ぐらいやるじゃないですか。それを1作品1時間15分くらいでまとめられていて。なかなかできるものじゃないですよ。それでも見ごたえは十分ありますから。展開の速さと、内容の深さ。ようできているとつくづく思います。

――ワハハ本舗と松竹新喜劇はベクトルが全く違いますが、笑わせるという点においては何か通じるものはありますか?

ワハハ本舗は、どこまでくだらなく、どこまで嫌なことを忘れさせるかということに集中します。いい意味で、テーマを持たないというか。ただ、喜劇をやる人間としては、こういう松竹新喜劇の舞台に出させていただくことは本当にありがたいですし、どこまでも喜劇は深いなと実感させていただいています。言い方一つ、間の取り方一つ、表情の一つで全く変わることもありますし、天外兄さんが「喜劇は、リアルはいいけど、シリアスはあかん」とおっしゃっていて、あの一言はすごく心に響きましたね。お話を運んでいくためにはちゃんとした芝居をしないかん。やけどシリアスになり過ぎたらお笑いでなくなってしまう。お話を運びながら、いかに喜劇として楽しんでもらうか。そういうお芝居を演じられるかどうか。これは喜劇をやる人間の根本やなと思いましたね。

――久本さんはテレビなどのバラエティ番組でご活躍されているお顔と、ワハハ本舗で自由奔放にされているお顔、松竹新喜劇で喜劇女優としてのお顔など、いろんなお顔をお持ちだなと思うのですが、それらの中でご自身をどう分析されていますか?

自分で思うのは真面目やなと思います。真面目というのは堅いということではなくて、何に対しても誠実でありたいと。そういう意味では、バラエティにおいても、ワハハにおいても、松竹新喜劇においても、やっている内容は違っていても自分に嘘つきたくないというか、100%の力を出したいと思っています。それが下ネタやったり、司会やったり、あるいは松竹新喜劇で見せる舞台の顔であったりという、見せ方が変わるだけであって、根本はそういうとこだと思います。
久本雅美 撮影=森好弘
久本雅美 撮影=森好弘

――テレビの久本さんに見慣れている方は、舞台の顔も見てほしいですね。

本当にそう思います。舞台はお金とエネルギーと時間がかかります。観に来てくださる方には本当に感謝です。私自身、なかなか舞台を観に行く時間がありませんが、「この舞台を見に行きたい!」と思ったら、「あと何日で観に行けるやろう」という喜びがあります。客席に座って、今から見る舞台はどういうものやろうとワクワクする。自分が出演する舞台でも、幕の裏でスタンバっている時に「お客様はどういう思いで待ってはるかな」と思ったら、いい意味の緊張感があって、絶対に応えて行きたいっていう気合いが入りますよね。

――会見で、前回南座での松竹新喜劇にご出演された際に、京都のタクシーの運転手さんが、「今度南座に久本さんが来るんやで。うれしいわぁ」とおっしゃっていたとご友人から教えてもらったとお話されていて。そういう思いもうれしいですよね。

もう電話でその話を聞いて泣きましたよ。初めて松竹新喜劇で南座に立たせてもらう時で。友達がお仕事で京都に行っていて、タクシーで南座の前を通った時に運転手さんがそう言ってくれたんですって。まだ幕が上がる前ですわ。あれは、すごい励みになりましたね。その時は『えくぼ』という演目でしたが、舞台が始まってからも、終演後に京都の町で観に行ったお客様に囲まれることが何回かありました。「見たよ~!」「よかったわ~」言うてね。あれもうれしかったですね。京都のお客様はどちらかというとあまり声をかけないイメージがあったんですけども、何人かのお客様に寄ってきてくださって、「面白かったわ~、松竹~!」って感想をいただいて。本当にうれしかったですね。

取材・文=岩本和子 撮影=森好弘

当記事はSPICEの提供記事です。

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