指原莉乃卒業でその処世術を考える! オヤジ目線を内面化し女性を攻撃、エライ人には全面同調

リテラ

2018/12/17 06:57


 指原莉乃のAKBグループ卒業が発表された。メディアでは、スキャンダルからの総選挙1位、総選挙通算4度のトップに3連覇、プロデュース能力も発揮、トーク力でMCとしても確固たる地位を獲得したことなど、その功績が盛んに取り上げられている。

たしかに、指原がかわいさや歌やダンスのスキルを売りにした正統派アイドルとは違う、これまでにないアイドル像を確立したことは事実だ。

しかし、それは手放しで評価できることではない。なぜなら、指原の“オルタナティブなアイドルとしての成功”は、男社会の玩具という存在から脱却して確立したものではなく、逆。むしろ、男の論理、オヤジの論理の内面化をしたことによるものだったからだ。

その典型が、彼女が「ブス」という形容を受け入れたプロセスだ。指原は2015年に出版した新書『逆転力~ピンチを待て~』(講談社、2015年)で自分のことをこう語っている。

〈私の周りのみんなに「ブスって言わないでください!」と言ったとしたら、「ううん。別にいいけど、他に言うことないよ」と腫れ物扱いされかねないじゃないですか。でも「ブスでOKです!」と言っておけば、イジッてもらえるかもしれない。(中略)そうやって世の中に出てきたのが、指原という女です〉

指原がブスを自称し始めたのは、仕掛け人の秋元康がアンチファンによってネット上に書き込まれていた“ゲロブス”という指原の蔑称を知り、大いに気に入ったらしく、「ゲロブスいいよ」「ゲロブスっていえば指原、っていうのを定着させたい」と言い出したことだった。秋元のセンスのなさ、致命的な下品さはいまさら言うに及ばないが、指原はこのようなおじさんたちにイジられることを受け入れたにすぎない。

そして、タチが悪いのは、その男社会の論理の受け入れを他の女性たちにまで強要していることだ。指原は同書でこんなことも述べていた。

〈おとなしい美人には意味がないって言いましたけど、親しみやすさのないブスって最悪だと思う〉

問題は美醜だけで女性の価値を判断する男社会の側にある。ブスは性格が良くなくてはいけない、親しみやすくないといけないなどというのも、結局は強烈な外見至上主義のなかで、「男性に選ばれるにふさわしい外見がもてなかった者」の生きる道として「気立てのいい女」になるという選択肢を、勝手に男たちが用意しただけにすぎない。にも関わらず、それを「親しみやすさのないブスは最悪」と、女性の側の責任にして断罪する。まさにこれはオヤジそのものといっていいだろう。

セクハラ問題でも「ハニートラップの可能性」と

しかも、女性に責任を押し付けるこうした指原のオヤジ的姿勢は、さまざまな番組でコメンテーターとして重用されるにつれて、どんどんエスカレートしていった。

とくに『ワイドナショー』(フジテレビ)では、男権マッチョの松本人志に媚びるように、セクハラを擁護する発言も連発していた。

たとえば、2016年、HISによる「東大美女図鑑の学生たちが、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれる!」というキャンペーンがセクハラだと批判を受け、企画が中止された一件を取り上げた際も、そうだった。

HISの企画は女子大生を接待要員として扱っておりセクハラとの批判は当然のものだったが、このときも指原は、
「それよりも、それに乗っかった一般の学生さんが気持ち悪いなって」
「私はセクハラとは思わないし、女性差別? なんて言うんだろう、そういうのは思わないんですけど、ただただチヤホヤされたいんじゃないのかなと思って、その女子大生が気持ち悪いって思っただけです」

などと、企画そのものよりも、企画に参加しようとした女子大生のほうを非難したのだ。

同番組では、2017年にもセクハラを擁護している。地方自治体の首長2人(福井県あわら市の橋本達也市長と岩手県岩泉町の伊達勝身町長(当時))によるセクハラ事件について取り上げた際、この2つのセクハラ事件の感想を求められた指原がこんなことを言い出したのだ。

「もちろん女性が被害に遭うことに違いないし、絶対あってはいけないことだと思うんですけど。でも立て続けにこうなると、市長さんとか町長さんだと、よく思っていない人も多いじゃないですか。だからハニートラップの可能性も今後増えてくるかもしれないじゃないですか」

さらに、橋本市長のセクハラが、女性が運転する車の中で起こったことに触れ、「ドライブに行ってるわけじゃないですか」と、女性の落ち度をあげつらうようなコメントまでしたのだ。

また、指原は、自身がセクハラやパワハラの被害にあったことはないかと問われ、当然のようにこう答えたのだ。

「本当にないです。言われたことないですし、まわりもたぶんない」

セクハラが自分にもまわりにも一切ないって……。これまでにも指原の周辺では元AKB役員がメンバーの着替えやシャワーを盗撮した画像や映像が大量に存在することが発覚した事件が報じられ、その大量画像のなかには、運営幹部や電通社員の接待をさせられている画像も見つかっている。その際、当時20歳の高橋みなみがひげ面の男性に抱きつきその勢いからかした着が見えてしまっているものや、当時18歳で未成年だった峯岸みなみが飲酒して幼稚園児のコスプレで男性の膝に座っている姿まであった。ああいうのは一般的に言えばセクハラそのものではないのか。

ところが、指原は自分だけでなく、まわりもセクハラ被害にあってないと言い張った。これは明らかに、「権力を持った男たち」に媚びているとしか思えないだろう。

●AKB落下事故を「本人の不注意」と自己責任論で運営擁護

指原のこうした姿勢はセクハラだけではない。愕然としたのが、AKB落下事故のときのコメントだった。

これは2018年3・4月、さいたまスーパーアリーナで行われていたAKB48グループのコンサートにおいて、アリーナ上に設けられた3メートルほどの花道から出演者が転落したというもの。HKT48の秋吉優花が足の薬指と小指の中足骨を骨折し、AKB48の稲垣香織は頭蓋骨の後部にあたる後頭骨を骨折した。稲垣に関しては後頭骨という危険な箇所の怪我ということもあり、経過観察のため入院するという重大事故だった。

ネットでは、当然、運営の安全対策や管理責任を問う声が上がったのだが、指原はこんな「自己責任論」をツイートしたのだ。

〈対策も何もないです、こればかりはステージに立つ人間が気をつけるしかないです。イヤモニでずっと「落ちないでね!気をつけてね!」と声がけはしてくれてます。気を引き締めてステージ立ちましょ!〉
〈本人たちは絶対に自分の不注意だってわかっているから。。なんでも運営運営っていうのは違うんですよねえ。。〉

また、『ワイドナショー』でも、このツイートを受けて松本人志から「じゃあ、指原にして見れば、『落ちてんじゃねえよ、バカ』っていう?」と煽られると、「そういうことじゃないですけど」と否定しつつも、笑いながらこのように続けた。

「他のアーティストやアイドルの方って落ちるか?っていうのがあって。いままであんまりないじゃないですか? あんまり落ちるっていうのは」

怪我を負っているメンバーに対して、心配するどころか、バカにして本人が悪いと言わんばかりの物言いをするとは、いったいどういう神経をしているのか。

ちなみに、指原はHKT48のメンバーであると同時に、尾崎充氏と共にHKT48劇場支配人を務めるプレイングマネージャー的なポジションにある。表向きは同じメンバー代表のようなポーズを取っているが、その内面は完全にアイドルをもののように扱っている運営側なのだ。

いや、ある意味、それは運営側よりも悪質と言えるかもしれない。自ら現役のアイドルである指原はこうした物言いをすることで、運営を免責し、ほかのメンバーが異を唱えづらくなる抑圧として機能してきたのだ。

●安倍首相に「子どもを産めるだけ産んで、国に貢献したい」発言

そして、女性や被支配者・弱者に対するこうした姿勢と対照的なのが、“大人のエライ男性たち”への同調姿勢だ。

それがよくみえたのが、『ワイドナショー』に安倍首相が出演したときだった。松本から「子ども何人くらいつくろうとしてるの?」と問われた指原は、「産めれば産めるほど産みますよ。国に貢献したい」「身体の限界が来るまで産みます」「安倍さんの話を聞いて、私もちゃんと子どもを産んで、しっかりお母さんにならなきゃって思いました」と前のめりになって発言している。

その上、この指原の言葉に大満足な表情を浮かべていた安倍首相は、「かつ仕事もね」と念押し。女にあれこれ押し付ける前に産みやすくて働きやすい社会を先につくってよ!と多くの女性はツッコんだことだろうと思うが、指原は「はい、しっかり仕事もします」と即答した。

女性にばかり負荷をかけようとする安倍首相の姿勢に疑問を呈するどころか、その負荷を与える抑圧装置として機能してしまったのだ。

もちろん、こうした指原の姿勢は、彼女が男性優位社会のなかで身につけざるを得なかったという側面はあるだろう。“大人のエライ男性たちの意見を疑問視せずに内面化すること”を自らの処世術とし、様々な場面で“大人の男の論理”を代弁することで、指原はここまでかけあがってきた。

しかし、繰り返し指摘したように、指原のそれは単に処世術にとどまらず、被害を受けている女性や弱者に対する抑圧、権力を独占するものたちの補完として機能してしまっている。

しかも、指原がもたらすこの害悪は、今回の卒業によってさらに増大する可能性がある。情報番組やワイドショーのコメンテーターとしてひっぱりだこになり、社会問題で、権力の味方をし、弱者を攻撃する姿勢を全開する、そんな姿を想像してしまうのだ。いや、もしかしたら、もっと将来的には自民党から出馬なんてこともなくはないだろう。
(本田コッペ)

当記事はリテラの提供記事です。

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