刀剣男士流“東西祭り対決”の行方やいかに── ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ 日本武道館公演レポート

SPICE

2018/12/16 18:00


福井・東京・宮城・大阪・千葉の全国5カ所で行われたミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~。12月16日の最終公演まで日本中の審神者(さにわ)と共に盛り上がった刀剣男士たちのパワフルなステージより、日本武道館での“戦い”の模様をレポート!

お祭りメドレーで一気にヒートアップ!


お堀を越える少し急な坂を上り切り大きな田安門をくぐれば、屋根の真ん中に擬宝珠を戴いた日本武道館が目の前に──この、現代に残る歴史の息吹を感じさせてくれるアプローチはまさに“刀ミュ本丸”への道。待っているのは18振りの刀剣男士たち。さあ、平成の世の戦=ライブの始まりだ。

オープニングは巴形薙刀(丘山晴己)の幽玄な弔いの舞。顕現してから体験した幾多の戦とそこで命を落とした者たちへの鎮魂、祈りの気持ちをひとり舞に込める。そこへ続々と集まって来る刀剣男士。和泉守兼定(有澤樟太郎)と陸奥守吉行(田村 心)のよさこい祭りを巡る言い争いから「日本には西にも東にもいい祭りがたくさんある」と全員が盛り上がり、三日月宗近(黒羽麻璃央)の「では東西に分かれてどちらがより盛り上がるか対決しよう」という一言でさっそく東西祭り対決を行うことに。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

西軍は三日月宗近、小狐丸(北園 涼)、石切丸(崎山つばさ)、岩融(佐伯大地)、今剣(大平峻也)、蜂須賀虎徹(高橋健介)、にっかり青江(荒木宏文)に陸奥守吉行。東軍は大和守安定(鳥越裕貴)、和泉守兼定、堀川国広(阪本奨悟)、長曽祢虎徹(伊万里 有)、千子村正(太田基裕)、蜻蛉切(spi)、物吉貞宗(横田龍儀)、髭切(三浦宏規)、膝丸(高野 洸)と組み分け。どちらにも属さない巴形薙刀を行司に据えて、祭り衣裳でのお祭りメドレーがスタート!

まずは西。舞台センターから「コンチキチン」という鉦の音と共に「刀剣乱舞-ONLINE-」のマスコットキャラクター・こんのすけも飾られた祇園祭の山鉾が登場。対する東はねぶた祭り。「ラッセーラー、ラッセーラー!」と、巨大こんのすけデザインのねぶたが引かれると、その可愛さに客席がワッとわく。ゴージャスなねぶたとそれを彩る温かな照明の色とが相まって、実際に夜祭りの喧噪に巻き込まれてしまったかのよう。気持ちが高揚し、自然と場内からも掛け声が飛び出せば、武道館はいよいよ祭り一色だ。ステージ上ではさらに西と東のプレゼンテーション合戦が続き、阿波踊りの連~少しクールダウンしてしっとりと雪祭り~そこから再び鳴子も粋なよさこい祭りでビッグウエーブを起こし、蜻蛉切の勇ましい掛け声を合図にYOSAKOIソーラン祭りへとなだれこんでいく怒濤の展開へ。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

この導入は大正解! 伝統的な踊りの仕草や声出しに現代的な振りとサウンドを融合させたハイブリッドな祭りメドレーは躍動感にあふれ、体内グルーヴも加速の一途。作品に初めて触れる人にも入り口としてとても入りやすく、刀剣男士たちのクールでホットな“煽り”に会場中の緊張も一気にほぐされ、見事な一体感が生まれた。ちなみにここではまだ巴形薙刀による勝敗はつかず。巴形薙刀は祭りに「楽しい」だけではない“なにか”を感じ、ジャッジをためらっていたのだ。過去の物語を持たない薙刀の集合体であるゆえ、今だ掴みきれない人の身・人の世への自問自答を舞に込める巴形薙刀。そこに現れた、亡き歴史上の人物たちと共に薙刀を振るい、祭りとは彼岸と此岸の境目だと悟る。祭りはあちらとこちらが共に相手のために祈り合う時間、すべてを呑み込んでくれる特別なときだと。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

ここからは祭り対決の余韻を受けつつ怒濤のライブパートへ突入! 約1時間半、これまでの本公演で披露してきたおなじみのナンバーに新曲もプラスされたノンストップのパフォーマンスが繰り広げられた。

刀剣男士たちの全力を受け止めて


控えめに言ってもみどころは全部(笑)。たとえば……石切丸・岩融・今剣の「断然、君に恋してる」は、ミュージカル本編ではなかなか観ることの出来ない刀剣男士のキュートでラブリーな面をフィーチャー、ダンスが冴え渡る髭切・膝丸の「Just Time」は『双騎出陣2019』への期待度をさらに上げてくれるキレの良さとコンビネーションが素晴らしく、和泉守兼定・巴形薙刀がジャジーにスイングする「誰のモノでもない人生」の他の楽曲にはないアダルトなムードも素敵。大和守安定・蜂須賀虎徹・長曽祢虎徹・陸奥守吉行による棒踊りのパフォーマンスが力強かったのは「漢花、美しき日々よ」だ。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

また、三日月宗近と小狐丸がふたりでじっくりと歌う「Timeline」は、直前のアクシデントで小狐丸役の北園 涼が声のみの出演となってしまった『阿津賀志山異聞2018 巴里』パリ公演のリベンジともいえ、同じ舞台に立てる喜びをわかちあうふたりの思いが溢れ出る穏やかな表情も忘れ難い。物吉貞宗が幸運をお裾分けしてくれる「Don’t worry,don’t worry」から一転、パープルライトに照らされた「解けない魔法」では、にっかり青江と千子村正が大人の色気でじっくりしっとりと情感を届けてくれる。真っすぐな堀川国広の歌声から始まり蜻蛉切のソロパートも印象的な新曲は、小さな灯りに照らされた聖夜を思わせるウインターワルツ──と、キャラクターの組み合わせや各々の個性によってクルクルとステージ上の雰囲気が変化し、選曲も非常にカラフル。コール&レスポンスが楽しい新曲では内番姿でタオルを振る刀剣男士たちが客席通路にまで飛び出し、間近で歌ってくれるサプライズも忘れない。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

もちろん、真剣乱舞祭恒例、歴史上の人物たちのコーナーもHOTだ。今回はなんといってもポップアップでの登場でインパクトたっぷりな榎本武揚(藤田 玲)が大活躍。本編でも突然のグランドミュージカル突風を吹かせてくれた「To the North」を武蔵坊弁慶(田中しげ美)、源義経(荒木健太朗)、源頼朝(冨田昌則)、藤原泰衡(加古臨王)、近藤 勇(郷本直也)、土方歳三(高木トモユキ)、中島 登(新原 武)でハイテンションに披露、刀剣男士たちの戦いに大いに華を添えてくれた。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

クライマックスは歴史上の人物の太鼓と刀剣男士による「獣」。大きな炎の特効の中、これ以上熱くなれない! とばかりにインナー姿でビジュアルポイを巧みに操り、ステージ狭しと大熱唱。歌唱後にめでたく大きな「誉」がついた。ここで改めて巴形薙刀に軍配を預けるが……結果は「無勝負」。ここは「楽しいのがなにより」と、全員一致で納得し、盛大な宴も笑顔でお開きとなった。
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会
ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2018~ (C)ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会

祭の終わり。初めに歌われた曲で再び舞う巴形薙刀は、去ってゆく亡き者―歴史上の人物たちを見送り、「また会おう、この祭りで」と言い残してゆく。そして流れ出す、やさしいお別れの歌──。

もっともっと“魅せて”欲しい


最初の祭りメドレーだけでも充分見応えがあったくらいなんとも盛りだくさんのライブだった。振り返ればカーテンコールの『刀剣乱舞』まで全34曲と、構成も中身も超濃厚。物語世界の背景と和物ならではのニュアンスをきちんと生かしつつ、アイドルソング風、ほのぼのとしたミディアムナンバー、R&B調にEDMスタイルと楽曲のタイプも幅広く、ダンスやアクロバットもたっぷり。お茶目に、スタイリッシュに、戦闘的に……と、曲ごとにキラキラと表情を変えていく刀剣男士たちと彼らに負けじとステージから貰ったパワーを応援で返していく客席の熱気の交歓も愛おしい。

一番始めにライブパートがお披露目されたトライアル公演での初々しいパフォーマンスを思い返すたび、刀剣男士たちのこの成長の度合い、当初ルーキーが多かったキャスト陣にミュージカル界でも絶賛活躍中の“少し先輩”キャストが加わっていることも大きいが─揺るぎないたくましさ、サービス精神とショーマンシップの確かさには目を見張る。それくらい、特にここ1年ほどの刀剣男士たちの経験値の上げ方のスピードは凄まじかったし、彼らを取り巻く環境の変化も、応援する人たちの増殖ぶりも目まぐるしく動き続けているということだ。この勢い、悪くない。これからもさらに“魅せる”ことに磨きをかけ、本編の芝居はもとより魅力的なショーを届けていって欲しい。

審神者的にはこの祭り勝負、西も東もひっくるめて圧倒的に“真剣乱舞祭”に軍配! ひとまずここで貰った熱は大晦日の紅白歌合戦出演(!!)への応援パワーに繋げつつ、年明けの『三百年の子守唄』までじっくりと慈しむとしよう。

取材・文=横澤 由香

当記事はSPICEの提供記事です。

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