大きな目標にこだわっても成功できない。目標を立てるのに必要な“たった1つ”の要素とは?ーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー(→)。今回は、三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第31回目です。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただけたら幸いです。

(C)三田紀房/コルク

【本日の一言】

「成功するのは町一番のパン屋を目指した経営者だ」

(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第4巻 キャリア33より)


龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を輩出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが…。

正しい戦略があってこそ、努力は実を結ぶ

井野は、桜木の事務所を訪ねる途中、本屋で立ち読みをしている桜木を見つけます。2人で表へ出ると、1軒のパン屋がありました。それを見た桜木は、井野に対してこう問いかけます。「3人のパン屋がいたとする。1人目は世界一のパン屋を目指し、2人目は日本一のパン屋を目指し、3人目は町一番のパン屋を目指した。この中で、成功するパン屋はどれだと思うか?」と。

この問いを聞いて、「目標は大きく持つべきだ」と考えた井野は、「世界一のパン屋」と回答。しかし桜木の答えは「町一番のパン屋」でした。桜木は理由をこのように説明します。「世界一や日本一と言っても、何をどう目指したらいいのかがわからない。けれど町一番のパン屋なら、どのようなものか想像することができる。その町の人々の生活レベルに合わせて味や値段を決められるし、工夫もしやすいから成功確率が高まる」のだ、と。

桜木は、「むやみに目標を高くするだけでは、人は最初から『手が届かない』とあきらめてしまう。ポイントは、戦略が立てられる目標であること。戦略が立てられれば、高い目標にも近づくことができる」と語ります。井野に向かって「努力は、正しく立てた戦略があってこそ実を結ぶものだ」と話すのでした。

ほとんどの夢が叶わない理由

大なり小なり、心に何かしらの夢を持っている人はたくさんいます。けれど多くの場合、叶えられずに終わります。それは能力の問題というよりは、「どのように叶えたらいいのかわからない」ことが要因です。

通常、大きな目標であればあるほど、「こうなったらいいな」というレベルでは到達できません。具体的に、順を追って目標に近づいていく方法を考える必要があり、これを“戦略”と言います。戦略がリアルだと、それだけ行動にも弾みがつきます。

例えば、会社で事業のプレゼンテーションを行う時の様子を思い浮かべてみてください。

プレゼンとは、いわば自分の頭の中に描いている未来を、ほかの人と共有することです。「この事業を立ち上げればどんな人が喜ぶか?」「会社の成長にどれくらい寄与できるか?」といったことを、プレゼンを通じて観ている人にも体感してもらいます。相手にそれを感じてもらうためには、文字情報だけでなく、図を入れたり、カラーにしたり、動画を取り入れたりするほうが、よりリアリティが増し、それだけ事業のイメージも伝わるはずなのです。

広告・通販業界はユーザーに「想像させている」

ものごとは、リアルに感じればそれだけ実現の可能性が高まります。これをビジネスの世界に応用したのが広告業界です。広告にはイメージ広告と言って、商品名も、何に使うのかも言わないものがたくさんあります。タレントなどに身につけてもらったり、使っている様子を撮影したりして、視聴者が自分とタレントを重ね合わせて考えられるような工夫が施されています。

また最近、流行っている手法で、ストーリーテリング広告というのがあります。ストーリーテリングとは、その商品が持つコンセプトや開発者の想い、ユーザーの体験談などをストーリー仕立てにして、購入前の人に商品を強く印象付ける手法です。中には、まるで雑誌の記事かと思わせるような読ませる内容の広告もあります。

その他、基本は広告のみで、宣伝から商品の選択・販売までを行う通信販売があります。かつて通販と言えば、商品とその説明を箇条書きにしているものが主流でした。一方、新たなストーリー型の通販は、ユーザーの“欲しい”という気持ちを呼び起こすために多くの誌面を割いています。

想像できなければ、具体例を見る

このように、“想像力”というのはビジネスに限らず、あらゆる場面で重要なカギになっています。

よく、自己啓発セミナーなどで「思考は現実化する」と言いますが、それは「成功すると念じれば、本当に成功できる」という意味ではありません。そうではなくて、「成功を実現するために、どのようにして成功に近づいていけばいいのか?」と想像することを指しているのです。

仮にあなたが、「自分の成功がイメージできない」ということであれば、もっとも手っ取り早いのは、成りたい存在に出会うことです。こういう風に成りたいというイメージを目の前にすることができれば、それが自分の頭の中で映像にしやすくなり、「少しでも近づくためにどうすればいいか?」という発想になるのではないでしょうか。

俣野成敏(またの・なるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン(→)』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?(→)』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」(→)』を上梓。著作累計は42万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

俣野成敏 公式サイト


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