Snapdragon 8cx 、発表。本当の意味で「ノートPCのために作られた」と言える、新世代ARMベースチップ



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Image: Qualcomm

来年でもいい、その真価を見せてくれ。

Windows on Snapdragonのおかげで、Qualcomm(クアルコム)をラップトップ向けプロセッサビジネスを一年ほど続けてきました。Asus Nova GoやSamsung Galaxy Book 2には欠点がありますが、AMRベースチップのメリットを実際に見せてくれました。バッテリー持続時間はすばらしく、常時接続のセルラーモデムを内蔵。待機状態からの立ち上げ時間もすばやかったのです。

しかし、こうした長所をもちつつも、Nova GoやGalaxy Book 2のプロセッサはスマホからとってきてラップトップの中にぶちこまれたようなもので、PC向けとしては長期的にみて適切なソリューションとは言えませんでした。これこそがQualcommが「次世代コンピューティング体験のためにゼロから取り組みデザインされた」と語るチップ「Snapdragon 8cx」を生み出した理由です。

基本スペック


先日発表されたSnapdragon 855と「8」という型番を共有していることからもわかるように、8cxはこの携帯向けプロセッサと多くの共通点をもちます。発熱はより穏やかになり、バッテリーはノートPCとしては大きく、携帯電話と比べてもそうだと言えます。

8cxは8コア64bitのKryo 495 CPUとAdreno 680 GPUを備えています(Snapdragon 855はKryo 485とAdreno 640)。Qualcommは、Galaxy Book 2に搭載されていたSnapdragon 850に比べてパフォーマンスは倍になり、パワー効率は60%向上したと主張しています。
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Image: Qualcomm

こうした改善は、私たちのような多くのレビュワーの懸念を払拭するのに大いに役立つでしょう。Snapdragonを搭載したWindowsマシンは、パフォーマンスはせいぜいが並で、馬力は足りず、まだ多くのアプリがすぐに動いてくれないという不安感があるのです。

8cxでは、メモリコントローラが64bitから128bitになる一方で、7nmプロセスルールで製造されており全体的な効率は向上しています。

でも、8cxにゲーミングPCのようなパフォーマンスを期待してはいけません。今のところ、8cxがディスクリートグラフィックス(システムとは別個のグラフィックプロセッサ・メモリを使用すること)に対してどんなサポートをしているかはわかりませんから。前世代からパフォーマンスが格段に向上しているとはいえ、最新大作ゲームをプレイできるほどのパワーはまだないでしょう。

接続性とセキュリティ


8cxはSnapdragon搭載携帯電話と同等の優れたセルラー/ワイヤレス接続能力を備えています。4G LTE接続に対応し速度は最大で2Gbps、Wi-Fiは802.11 a/b/g/n/ac/ad。スリープ状態でも接続は維持されます。
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8cx搭載機の参考デザイン
Image: Qualcomm

ただ、近々登場するであろう8cx搭載ラップトップはデフォルトでは5G接続に対応しないようです。チップの標準設定は、Qualcomm X50 5Gモデムの代わりにSnapdragon x24モデムになっているのです。

セキュリティー面では、4G LTEを内蔵しているので空港や地元のカフェの怪しげなWi-Fiを利用する必要がありません。8cxはWindows 10 Home/Pro/Enterpriseを動作させるようデザインされているとともに、仮想マシンを実現するハイパーバイザサポートやリモート管理、光学式生体認証に対応で登場します。

その他の特徴


ほかには、高速充電技術「Qualcomm Quick Charge 4+」やBluetooth 5.0にNFC、複数のUSB 3.1ポート、拡張規格として高速なPCI-Eへの対応が特徴として挙げられます。しかし、Thuderbolt 3がサポートされていません。Intel主導のインターフェースであり、8cxはまだそのライセンスを受けていないのです。

将来的にどうなるか


伝統的なx86製品が失速しているという認識がある中で、ARMベースの別の選択肢があるのは非常に価値のあることです。典型的なラップトップ購入者にとってはそのメリットがまだ現実離れしているとしても。
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Image: Qualcomm

そう遠くない将来、Apple(アップル)がMacBookのチップを今のIntel製品からARMベースのAシリーズチップに置き換えるだろうという憶測がすでにあります。8cxがあれば、Windowsマシンもそうした転換に、少なくともx86チップとARMベースのシステムが共存する環境には備えられるでしょう。

Snapdragon 8cx自体は等式の一部に過ぎません。Windowsはまだx86チップ向けにデザインされたソフトウェアに苦しんでおり、Microsoft(マイクロソフト)はARMへの移行をより簡単にしようとしていて、EdgeのようなアプリをARMでネイティブ動作させるためにリデザインしようとさえしています。長い道のりになることでしょう。

8cxの発表が2018年末の今あったわけですが、実際にこのQualcommの新しいチップを搭載したラップトップには来年の秋までお目にかかれないでしょう。よくても2019年の夏といったところかと思います。

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