フレンズ、全世代を巻き込むグルーヴで“実質ツアー・ファイナル”大成功

SPICE

2018/12/7 19:00

~コン・パーチ! Release Tour~ シチュエーション・コメディseason 3 
2018.11.29 TOKYO DOME CITY HALL


9月30日のツアー初日が台風で延期になったにも拘らず、スケジュールをやりくりして訪れたファンの熱量に感銘を受けた。今、フレンズは新しいエンタテインメントとして、ライブハウス・ビギナーやバンドのライブ・ビギナーまでを巻き込んでいる。その勢いが伝わる「ほんとはツアー初日のはずだった、実質ツアー・ファイナル」の様子をレポートしよう。

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

ホールのエントランスには、メンバーを描いたイラストと写真が撮れるフォトスポットや、日常使いできるツアーグッズなど、ライブが始まる前からお楽しみが満載。開演のギリギリになってフロアが満杯になったのも、お楽しみが多いせいかもしれない。フレンズのライブはいい意味でユルい。何が何でも、人をかき分けてまで前に行こうというムードは感じられない。実際に3階席から観ていても、アイデア満載で、ちょっとした綻びすら笑える2時間半が過ぎていったのだから。

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

オープナーはアルバム『コン・パーチ!』同様、「常夏ヴァカンス」。アーバンで夏の夜を思わせるグルーヴィなナンバーで、さっそくおかもとえみ(Vo)、ひろせひろせ(MC/Key)、三浦太郎(Gt/Vo)各々の個性が際立つボーカルも堪能。そのままアルバムの曲順どおり「NO BITTER LIFE」をプレイ。<No BitterLife>に返されるフロアからの「イエー!」の大きさに、「ツアー回ってきて、こんな強く当たってくる『イエー!』初めてだわ」と、嬉しそうなひろせ。そのまま思わずステップを踏みクラップしたくなる「コン・パーチ!」まで一気に披露する。長島涼平(Ba)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr)のリズム隊に加え、サポートの山本健太(Key)を含めた6人の音の抜き差しが心地よく、えみそんの伸びやかなボーカルや自由奔放なステージングが、2700人規模のホールをアットホームなムードで包む。

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

「初日にしてファイナル」というレアケースを何度も強調するひろせとえみそん。優秀なスタッフのおかげで、当初の予定どおり、彼らの目標である東京ドームのお膝元のTOKYO DOME CITY HALLでの開催が叶ったことにも何度も感謝していた。何度も、といえばメンバー紹介の多さもフレンズ・ライブの見どころだ。ひろせの一問一答に5秒で答えながらの自己紹介では、リーダー・長島が「好きなお菓子は?」「麩菓子!」と答え、山本は「最近凝ってるピアノのフレーズ」に対して、ドラマなどで不穏な場面の演出に使うようなフレーズ。ひろせが「それ、おかしくなっちゃった時のドラえもんでしょ?」と拾ったせいで、自らドラえもんの真似をする羽目になり滑るという、グダグダな展開が待っているわけだ。

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

MCでも全力で笑わせにくる彼らだが、そこへ猿に扮した4名(匹)が手に手に大きな葉っぱを持って、三浦以外のメンバーを風でステージから追い出してしまう。背景のビジョンには、妙にかっちりしたマチュピチュの画像が。三浦のピン・ボーカルによるお芝居めいた「元気DCT~憧れのマチュピチュ~」だ。美声すら笑いの源になってしまう。歌詞のストーリー通り、財布を失くしたくだりは会場付近のコンビニで撮影。メンバーも登場してミュージカル仕様な曲を生演奏するのはさりげないが、なかなかすごい。出オチ感あふれる曲だからこそ、構成も凝っていて嫌味がない。前作の「元気D.C.T~プロローグ~」がまさにプロローグだったことが理解できるが、このコーナーがどこまで加熱していくのか……結構、大事な気がしてきた。

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

さらに渓流釣りを楽しむメンバーの映像から、長島作曲の「fisherman」へ。男性メンバー全員が魚の被り物で、渋いプレイにも笑いが漏れる。そこにワンピースに衣装替えしたえみそんが登場、猿スタッフが同じ衣装と髪型のマネキン二体を運び込む。えみそん曰くコーラス隊らしいのだが、意味不明でまた笑ってしまう。そんなシュールな舞台上で、80sテイストのシンセが映える「またねFOREVER」を、えみそんとひろせの交互ボーカルの、ちょっと懐かしいバブリーなデュエットソングの趣きで魅せる。この曲での長島のベースラインや音色のセンスの良さには、今更ながらにベーシストとしての彼の力量を見る思いだった。

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

そしてえみそんの歌力が発揮されたのは、ひろせ、山本の鍵盤のみの「シルエット」。そしてワンマンならではのアコースティック編成へ。東京ドームを目標とするフレンズ、中でもひろせの野望として、東京ドームでのアンコールの一つの定型として、バンドが「アンコールはいつもと趣向を変えて――」と、アコースティックセットでセルフカバーをする、それに憧れてのことだという。オーガニックな「そんな感じ」、最初のリリースであるミニ・アルバム『ショー・チューン』から、大人っぽいえみそんのボーカルが堪能できる「とけないよ」、音源より少しアッパーなテンポでの「街」までが、アコースティック編成で届けられた。

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

演奏している時間同様、MCもオーディエンスが参加できるのがフレンズのライブの楽しさだが、「街」の演奏を受け、「やっぱ東京いいなぁ」というひろせの言葉から、全国各地から集結したフロアに向かって一斉に「どこから来たか言ってみて!」との問いが発生。突出していたのが、なぜか埼玉と北区。中には会場のある水道橋からという最短な人から、カナダからという最遠の人までいて、その都度みんなで驚き拍手を送る。そのムードも暖かくて居心地がいい。

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

ユルく笑えるMCから一転して、グッとロックバンドのタフさを発揮する「Hello New Me!」や、ブラスの打ち込みもアンサンブルのカラフルさを増す「オールタイムラブ!」。さらにダンスの振り付けをひろせがレクチャーしつつ、「100Kg超える人はジャンプはご遠慮ください。2日後にキます」と自らの経験から注意喚起。そして「塩と砂糖」で、会場全体がそのダンスで盛り上がる。ビジョンには様々な相対する事柄を簡易なMVのように仕立てた映像が流れ、今回のツアーに注いだ彼らの熱量がうかがえた。やりたいことを目一杯盛り込んで、時々、もたついたり、オチがなかったりもするけれど、みんなで笑い、踊り、クラップすれば問題なし! 実際、フレンズのライブが初めての人も、ライブそのものが初めての人も、えみそんの問いかけによると3割ほどいたように見受けるが、それぐらい今のフレンズは間口が広い。メッセージや音楽性が聴く人を限定しないから、わりと気軽に友達や家族を誘えるという人も多いのだろう。そんなバンド、今、とても貴重なんじゃないだろうか。

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

えみそんが言う、フレンズの音楽で繋がるみんなはズッ友だという理想も、彼らのライブを見ていると嘘くさくなく感じる。少なくともこの音楽が鳴っている場所ではズッ友だ。本編ラストはフレンズの本質と言えそうな、ちょっと寂しい夜も超えていく優しい「ベッドサイドミュージック」。それぞれミュージシャンとしてのキャリアを積んで来た彼らが、今、楽しさに特化してチアフルなフレンズというバンドで活動していることの根っこがうかがえるエンディング。彼らがこれまでのバンド活動を経て、今、自分らしく大人のミュージシャンとしてステージに立っている事実に、バンドシーンを観てきた者として深い感慨があった。みんな今を生きている。

フレンズ 撮影=RAY OTABE
フレンズ 撮影=RAY OTABE

アンコールも含め、2時間半のフレンズならではのエンタテイメント・ショー。そして『~コン・パーチ! Release Tour~ シチュエーション・コメディseason 3』は無事、完走。2019年のライブと会場限定発売シングルもアナウンスされ、早くも次なるフレンズのパーティーが楽しみでならない。

取材・文=石角友香 撮影=kondo midori、RAY OTABE

フレンズ 撮影=kondo midori
フレンズ 撮影=kondo midori

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