安倍首相“時短”し放題、入管難民法改正案7日にも成立か

 外国人労働者の受け入れを拡大するための入管難民法など改正案の審議が6日、参院法務委員会で安倍晋三首相も出席して行われた。与党側は7日の本会議で法案成立を図る方針だが、衆参両法務委審議の時間は極端に短く中身が煮詰まっていない状態。来夏の参院選目当ての見切り発車は否めず、“時短”でやりたい放題の安倍首相に、関係者からは心配の声が上がっている。

 参院法務委員会で2時間にわたった安倍首相への質疑。山下貴司法相が“代弁”するなど徹底してガードする戦法に出た。立憲民主党の有田芳生氏が、法務省の内部資料から2015年からの3年間で技能実習生の69人が亡くなっていることを明らかにし、実態についての考えを問うた際も安倍首相を遮り、先に答弁したのは山下氏。有田氏が「いやいや、総理に聞いてるの」「総理、総理」と山下氏の発言の間、まくし立てても涼しい顔だった。

 安倍首相が「なぜ山下大臣に話してもらったかというと…」と口にすると、野党議員からヤジの嵐。これに対してもどこ吹く風で「静かな中でしっかりと議論するべき。委員以外の方が大きな声でヤジを飛ばすのはやめていただきたい」と薄笑いを浮かべるほどの余裕っぷり。69人死亡の事実については「初めてお伺いしたわけですから、私は答えようがない。法務省が受け入れ先を調査すると承知している」と述べるなど実質ゼロ回答だった。

 69人には事故死や病死以外に自殺も含まれ、野党側は実習制度を改善しない状況で、新たな制度を導入すべきではないと批判を強めている。一方、法務省は詳しい状況を省内設置のプロジェクトチームで調べるとしており、あくまで4月から新制度を開始させる方針を変えていない。

 今国会最大の焦点となっている同法案。にもかかわらず、法務委での審議は衆院で15時間45分、参院で20時間45分のわずか計36時間30分。第2次安倍政権以降に成立した重要法案のうち、安全保障関連法(15年)の200時間以上、組織犯罪処罰法違反(17年)の50時間以上などと比べても、極端に短い。改正法の中身も成立後に決める方針と、スタート優先としか思えない状況だ。

 政権が10日の会期末までに成立を急ぐ理由は、来夏の参院選に影響する可能性があるからだ。同法は問題が多方面にわたるため、審議が長引けば“決められない”与党の印象が強まり大敗する恐れも出てくる。永田町関係者は「安倍首相は参院選に向けて決断できる男を強調したいがために、実績づくりに躍起になっているようにしか見えない。大丈夫なのか」と指摘。ブーメランともなりかねない“時短”攻勢に心配顔だった。

 ≪野党、内閣不信任決議案も検討≫法務委は野党側が横山信一委員長の解任決議案を提出したため、与党が目指した6日の委員会採決は見送られた。与党は7日の参院本会議で決議案を否決した上で、同委で改正案採決を強行し、本会議で成立を図る方針。野党側は法案成立阻止を目指し、山下法相の問責決議案を視野に入れるほか首相問責決議案や内閣不信任決議案も検討する。

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