尼神インター・誠子、「結婚よりお笑い」「オンナとして不幸」発言に見る“芸人としての力量”


羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「オンナとしては幸せになれない」尼神インター・誠子
『さんま・女芸人お泊り会 人生向上の旅』(フジテレビ系、12月1日)

テレビで、年長者や成功者が、後輩からの質問を受け付けるという企画を時々見かけるが、これって質問する側のセンスが問われる企画ではないかと思うことがある。

カメラが回っていない場所でなら、好きなことを聞いていいだろう。しかし、テレビで放送されることを考えると、まず質問がおのずと制限される。かつ、その質問がほかとかぶらず、番組の趣旨に沿っていて、答える側が話しやすいものでなくてはならない。簡単なようで“腕”が必要なのではないだろうか。

12月1日放送の『さんま・女芸人お泊り会 人生向上の旅』(フジテレビ系)は、その名のとおり、明石家さんまと後輩である女芸人が1泊旅行をする企画だが、女芸人の質問のうまさ(ヘタさ)が如実に出たと言ってもいいかもしれない。

同番組内では、「さんまに何でも質問していい」というコーナーがあった。いとうあさこは「葬式についてどう考えているか」、フォーリンラブ・バービーは「年賀状やお歳暮は誰に送っているのか」、オアシズ・大久保佳代子は「自分の番組の視聴率が悪い時は、どう考えるのか」について聞く。葬式について聞けるのは、ある程度親しい関係でないと無理なので、貴重な話を聞きだせるはず。また、バービーの質問は、さんまの実例を知ることにより、自分の贈答の範囲が決められるので実用的という意味で有益だろう。大久保の質問は、いちいち自分の評価が気になりがちな一般人にとっても参考になる。“死”や“義理”、“評価”についての質問はさんまにとっても答えやすく、視聴者にとっても新鮮だったことだろう。

が、それに比べると、キャリアの差というべきか、尼神インターの誠子は、ヘタだったのではないか。誠子は「みなさんに聞いてみたい」という形で、先輩を含めたオンナ芸人に「女の幸せって何なんやろうなと思うんです」と切り出す。誠子は「大好きな人に『結婚するから、お笑いやめて』と言われても、やめられない」そうで、「オンナとして幸せになれないのかなと思って」と結んだ。

先輩たちが仕事について聞いたので、かぶらないようにと、“女子らしい”話をしようと思ったのかもしれないが、誠子の発言は「結婚とお笑いなら、お笑いを取る。結婚を選ばない人生は、オンナとして不幸なのではないか」と解釈することもできるわけだ。独身の先輩をバカにしているだけでなく、テレビの向こうの女性たちをもコケにすることにつながると、気づいていない。

また、この話に先輩後輩がコメントしやすいか、限られた時間の中でオチがつくのかについても、考えていない。本人が腹の底でどう考えていようと勝手だが、テレビに出て話す際は、二重三重に配慮が必要なのである。

あさこが「30歳前だから、揺れ動く時期かもね」とうまい具合に話を逸らすが、先輩陣はツッコミを忘れない。相席スタート・山崎ケイは「相手不在で、これ考えてるんですよ」、椿鬼奴は「誰からも仕事辞めろって言われてないんでしょ? なら仕事してればいいんだよ」と、誠子の悩みが想像上のものだから気にする必要はないとオチをつけた。

それでは、なぜ誠子は起きてもいないことで悩むのだろうか。オンナ芸人も結婚して出産する人が増えている中、名前の知れたオンナ芸人が「結婚するから芸人を辞めます」と選択することは、ほぼないだろう。男性の立場から考えてみても、売れているオンナ芸人はそれだけ収入も高いわけだから、自分が左うちわで暮らせるというメリットがある。オンナ芸人が仕事を辞めない方が、男性側も助かるわけだ。

実際に起きてもいない、また身近な事例で考えてみてもほとんどないケースで誠子が悩むのは、未来が明るいと信じているからではないだろうか。

生死に関わること、また金銭問題などの苦労から悩みが生まれることもあるが、誠子の悩みはその手の深刻さはない。結婚するからお笑いを辞めろと迫られることは、大前提として売れ続けていることが条件で(仕事が月に1~2度しかなければ、辞めるという話にはならないだろう)、かつ恋愛では相手に強く求められていると見ることもできるから、甘美な響きがないこともない。つまり、自分の仕事は好調で結婚したいと思える相手に出会えると信じているからこそ、この悩みが生まれるわけだ。

かつて、オンナ芸人は、自分のブスさを自虐してネタにしていたが、今は「ブスなのにいい女気取り」を笑う方向にシフトしつつある。しかし、このキャラは“ブス”と“いい女”を天秤にかけた時、ちょうど釣り合っている状態を保たないと、芸人として成立しないだけでなく、人から「本当に自分のこと、いい女だと思っている」と思われ、叩かれる可能性も秘めている。同番組で、さんまは「お笑いはほかの人より下と思われることで、笑ってもらえる」と話していたが、誠子が「本当にいい女」になってしまうと、笑えないのだ。

ネタを見せる番組が少ない今、芸人の人気は好感度に支えられている。匙加減を間違うと、一気にバッシングの対象になる、なんてことがないとは限らない。今の芸人に一番大事なんは、誤解を招かないという意味の守備力なのかもしれない。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの

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