ポスト安倍首相に菅官房長官が浮上…入管法改正ゴリ押しの菅長官に、安倍首相が警戒


 臨時国会最大の懸案事項となっている「入管法改正案」を衆院で強行可決させると、安倍晋三首相はG20の開催されるアルゼンチン・ブエノスアイレスへ飛び立った。

弱小野党の下、国会審議は安倍首相の外交日程を優先して決まる。日露首脳会談で1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させることでプーチン大統領と合意し、「二島先行返還論」が浮上してきたことも影響したのか、このところ内閣支持率も上昇傾向だ。

そんな安倍首相が胸の内に抱える心配事は、首相官邸で存在感と権力掌握を強める菅義偉官房長官だという。

もともと2人の意思疎通は心もとない。そこへきて、9月の自民党総裁3選後、「ポスト安倍は菅」という記事が雑誌を中心に散見された。内閣官房参与の飯島勲氏も「プレジデント」(プレジデント社)で連載するコラムで、「『次の総理』は石破茂ではなく菅義偉」と書いた。

「安倍首相は、菅長官が自分のあとを狙い始めた、ということを警戒し始めている。加えて、今の政局の中心になっている入管法改正案も北方領土問題も、菅長官が勝手に進めていて、自分はそれに振り回されている、という不満があるようです」(自民党関係者)

入管法改正案の審議が国会で紛糾している最大の原因は、「来年4月施行」が決まっていることだ。来年4月施行なら、時間的にもこの臨時国会中に成立させることが絶対だが、これは今年6月に経済財政諮問会議で外国人労働者の拡大を決定した後、翌7月に菅長官が講演で「来年4月から実現できるよう法案を準備している」と発言したことに端を発するという。

「菅長官と親密な経済人には、外国人労働者拡大対象となっている14業種の関係者が多い。急ぐのは親密な業界への配慮。一方、安倍首相が近しい経済界関係者は経団連加盟の大企業で、今回の14業種とはあまり関係しない。そのうえ、『移民ではないか』という批判がシンパの右派から沸き起こっているので、安倍首相としては是が非でも急いで法案を通したいわけではない」(別の自民党関係筋)

●菅長官中心に回る官邸

北方領土の「二島返還論」についても、来年の参院選前にロシアと平和条約を締結したあとに選挙になだれ込むべし、と安倍首相に訴えているのは、菅長官だという。

安倍首相が自らのレガシーづくりのために前のめりになっているように見えるが、シンパの日本会議は「日本固有の領土 北方領土をとりもどす」と題したパンフレットを発行し、「四島一括返還」論を掲げている。安倍首相としては、日本会議など保守層との板挟み状態にある。

一方で、3選の目的だった憲法改正は一歩も進んでいない。11月29日、衆院の憲法審査会が開かれはしたが、野党は欠席。与党の幹事を決めただけで、わずか数分で終了した。ここまでこじれたのは、自民党の下村博文憲法改正推進本部長が、憲法審査会をめぐる野党の態度を「職場放棄」と言ったことが理由だが、安倍首相は今さらながら、子飼いの下村氏を憲法改正推進本部長にしたことを後悔しているという。

官邸内ではますます菅長官の権勢が拡大し、官僚も菅長官ばかりを見るようになった。「総理を目指さない男」と呼ばれてきた菅長官だが、ここへきて「野心が出てきた」という見方が広がっている。

安倍首相はそんな菅長官が気に入らない。菅長官中心に官邸が回ることも気に食わない。だが、菅長官に頼らずに官邸が回らないのも事実なのである。
(文=編集部)

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