岡田准一、裏では妻夫木聡を「ブッキー」? 同い年の2人、互いへの思い


●『木更津キャッツアイ』以来の共演『来る』
この冬注目のホラー映画『来る』が、12月7日より全国で公開される。第22回日本ホラー小説大賞を受賞した、澤村伊智の小説『ぼぎわんが、来る』(角川ホラー文庫刊)を、中島哲也監督が実写映画化した同作は、得体の知れない「あれ」への恐怖と、人間の業、ミステリーのような展開に、予想のつかない迫力シーンなど、見どころがいっぱいの怪作となっている。

主演の岡田准一は、オカルトライター・野崎を演じ、久しぶりの現代劇で、髭面&ド派手な柄シャツ姿に。また「あれ」に怯え家族を守ろうとする会社員・田原秀樹を演じる妻夫木聡とは、久しぶりの共演で、初めてじっくりと同じシーンで絡むこととなった。20年以上も第一線で活躍し続ける同い年の2人は、今回の作品で互いについてどのように感じたのか、インタビューした。

○「人間の業」描く魅力

――今回はホラー作品ですが、人間の怖さが描かれているのかと思いました。お二人が考える怖さや、ホラーの魅力はどういう点でしょうか?

妻夫木:昔はホラーって、「うわあ、怖かったね」と言って、そのあとはご飯を食べて寝て終わり……という感覚だったと思うけど、今は余韻を残して、考えさせられるような作品が多くなっているように思います。死ぬまで考えていかなければいけない、人間の業に焦点が合ってきているのかな。

岡田:……まさにね! その通りだと思いました。ジャンルにカテゴライズされて、好きなものばかり集まる時代になる中で、壁を壊してジャンルフリーになるものを作っていくことを、作り手は問われているんだと思います。監督ご自身も、世間や物事をまっすぐ見てない方だと思うので……と言ったら、怒られるかもしれませんが(笑)

妻夫木:断定しちゃって(笑)

岡田:でも、オファーをいただいた時点で「人間の怖さがある中に、ホラーの要素を足したい」と伺っていましたし、それを前提としてお話を受けました。最後の方の”祓い”のシーンは、監督が「観る人がライブを観ているような感覚になればいい」とおっしゃっていましたけど、エネルギーが混ざり合ってる感じで、日本映画でこういうことができるのは中島監督ならではの面白さですよね。

――『木更津キャッツアイ』以来久々の共演、しかも同年齢というお二人ですが、昔の印象と現在の印象の違いなどはありましたか?

妻夫木:岡田くんは”深度”が、深まったと思います。僕よりも全然前から活躍されてた方だし、いっぱい主演もやっていて、本当にお芝居が上手な方だなと思って観ていたし、芝居に対する真摯さがどんどん深くなっているんだろうな、と。どんどん、”ストイック”じゃ片付けられない深さが出てきてる。『木更津キャッツアイ』では共演しましたけど、シーンも一瞬で、車の中での掛け合いくらいでしたからね。いきなり車に乗せられて、何をしゃべればいいのかわからない、という感じでした(笑)。

岡田:妻夫木くんが演じていたリトル山田とは、昔は仲良かったけど今は疎遠で、という設定だったよね。リトル山田は現在は成功してる、という役柄で。

妻夫木:昔はすごいダサかったのに……という。犬みたいな柄のニットを着てた(笑)

岡田:懐かしいですね(笑)。リトル山田は、プロ野球選手になったんでしたっけ?

妻夫木:そうそうそう!(笑)

岡田:僕は、妻夫木くんのことを昔から知っていて、同い年なのでシンパシーもあるけど、2人とも主演をやるようになると、なかなか共演できなくて。でもずっと観てきたし、身近に感じています。「誰と同い年ですか?」と聞かれたら、「妻夫木くん」と言っていましたし、裏で「ブッキー」と呼んでますから(笑)。普段は言わないけど、裏では「ブッキーね」って。

妻夫木:俺は「岡田くん」なのに……(笑)

岡田:裏ではね(笑)。だから今回初めてちゃんと共演できて、楽しかったですね。互いに探ってる感じが役柄にも合ってた。監督もすごく気に入ってくれてましたし、遠いようで近い、同じ歴史を見てきた感覚があります。

●20代にはできない、監督へのツッコミ
――具体的に刺激を受けあった、というような点はあったのでしょうか?

妻夫木:そういうところがないから、楽しかったのかな。そわそわした感じはあったんですよ。それが役に通じた部分もあって、「噛み合ってるような、噛み合ってないような」という空気が面白かった。でも積み重ねてできることではないし、仕掛けてやることでもない。作品をやっている中で生まれた、自然現象だと思います。仕掛けてやると面白くならないし、監督が「面白かった」と言ってくれたのも、僕たちの空気感についてだったのかも。

岡田:役者としてのあり方は、羨ましくも思ってます。幅を広げて、自由に飛び回れるつながりを作って、楽しんで役を演じられてることが素敵だなと思いました。

――今回岡田さんが演じた野崎は、原作だと欠落を抱えていますが、映画では真逆の立場にいるのかな? と思いました。その印象の違いなど、どう感じて演じられていたんですか?

岡田:そうですね。なので、原作者の方にお会いするときは「変えたのは僕じゃないんです、監督なんです! 監督なんです!」というオーラを出します(笑)。でも今回は監督を信じていましたし、監督がイメージしているものを演じられたら、と思っていました。自分を空っぽにして、実際に衣装を着てみて、妻夫木くんと顔を合わせて、初めて「こういう感じなんだ」と。ホン読みもなかったです。

妻夫木:あれ? 俺、1回あった。(黒木)華ちゃんと、ムネ(青木崇高)と3人で。でも、中島監督も「人生で初めて」と言ってました。「もう2度とやんねえ」とも言ってましたけど(笑)

岡田:僕らは、全くなかったです。

妻夫木:いや、いらないと思う。本番で全く違うこと言ってたよ!(笑)

岡田:もう、衣装合わせの時に「後は現場で!」という感じでした(笑)。でも、空っぽで行こうかな? と思って。それでいいかなと思える監督で、それは監督の才能に溺れている、ということなのかもしれません。「この方が監督だったら、なんとかしてくれるだろう」という安心感がありました。
○監督のすごさに「幸せ」

――ちなみに妻夫木さんがホン読みに参加しての印象はいかがでしたか?

妻夫木:本番で「全然逆じゃん!」と思うことばかりでしたよ!(笑) でもきっと、その時にやっていることが全てで、すごく直感的に動いている方なんでしょうね。全然寝ないし、根っからの映像好きな監督です。だから段取りもなしに、「はい、ここから"あれ"がくる、驚く、スタート!」みたいな感じで(笑)。

岡田:こういう大事なシーン(恐怖する岡田)も朝一で撮影してますから!(笑)

妻夫木:細かいつながりについて、「家に入る時、靴どうします?」とか、こっちが聞くところから始まるから(笑)。でも上がりも面白いし、編集もすごいので、岡田くんの言う通り、僕たちはできるだけ空っぽの状態で行って、監督色に染まれた方が、より人物が冴え渡る。それくらい群像劇としてはっきりしているので、余計なことをするよりも、良いのだと思います。

岡田:幸せですよね。

妻夫木:でも今回は、自分以外のシーンを楽しみにしてたところもありました。僕は、松(たか子)さんに会ったの、打ち上げですから。松さんと電話で話すシーンもあったんですが、全部助監督の声だったので、ほんときつかったです。しかも、電話越しじゃなくてすぐそこにいるから、全然臨場感ない!(笑)

岡田:しかも、わざとなのか、棒読みだったよね。あれ、すごくうまい人だったらやりやすいのかな?(笑)

妻夫木:めっちゃ手抜いてていいから、松さんの声だったら感情を入れやすいんですけど、1回「今俺はこういう世界に入ってるんだ」と言い聞かせないと、助監督の声にしかならないので、大変でした(笑)。

――共演のシーンについて、何か印象的だったことはありましたか?

岡田:あっという間に終わったよね。女優さんには細かく指導しているのを見たんですが、「監督、僕らに興味ないな」と(笑)。

妻夫木:たまに「OK」すらも言わないから、「あ、今のOKなんだ」って(笑)。

岡田:僕らは年上の方とやるのに慣れてるんです。なので、妻夫木くんがいいタイミングで監督をいじったりしてるのを見ると、「さすがだな」「ベテランの域だな」と思っていました。絶対に向こうが怒らないタイミングで、言葉を挟み込んでいくなんて、20代には絶対できないことですね。

妻夫木:(木村)大作さんとかもそうでしょう?

岡田:そうそう。経験だと思うんですけどね。

妻夫木:でも、結構大事なんですよね。そういうのがないと、現場がピリピリしすぎて窮屈になるから。5秒に1回くらい「つまんねー!」とか言うので、こちらがちょっとツッコミ入れるだけで、ホッとするじゃないですか。

岡田:周りがクスッとできるよね。ガーッと言われて、「またまた~!」と返せる世代だから。自分もやってたりすることもあるし、同じ年で同じ時を過ごした経験が見えて、さすがでした。

■岡田准一
1980年11月18日生まれ、大阪府出身。1995年にV6のメンバーとしてCDデビューし、歌手活動以外にもドラマ・映画・ラジオ・バラエティなど多岐にわたって活躍。2002年、ドラマ『木更津キャッツアイ』(TBS)が人気を集め、2度映画化される。14年には、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』にて主演・黒田官兵衛を演じた。第40回、第41回の日本アカデミー賞で続けて優秀主演男優賞(『海賊とよばれた男』、『関ヶ原』)を受賞。2018年は今作のほか『散り椿』に主演し、2019年に『ザ・ファブル』の公開も控えている。5夜連続ドラマスペシャル『白い巨塔』(テレビ朝日)が2019年放送予定。

■妻夫木聡
1980年12月13日生まれ、福岡県出身。1997年「超ビッグオーディション」の第1回グランプリを獲得し、芸能界デビュー。1998年、テレビドラマ『すばらしい日々』で俳優デビュー。2001年、映画『ウォーターボーイズ』で映画初主演し、第25回日本アカデミー賞では優秀主演男優賞・新人俳優賞をW受賞し、以来国内外のさまざまな賞を受賞、2009年にはNHK大河ドラマ『天地人』で主演を果たす。近年は映画『愚行録』(17)、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(17)主演、「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」(18)、ドラマ『イノセント・デイズ』(18)、舞台『キネマと恋人』(16)、『贋作・桜の森の満開の下』(18)などに出演。

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